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カミーユの精神崩壊の原因だった? 「Zガンダム」の画期的な性能が招いた悲劇

マグミクス / 2021年4月25日 9時50分

カミーユの精神崩壊の原因だった? 「Zガンダム」の画期的な性能が招いた悲劇

■Zガンダムが「変形するMS」になった理由

『機動戦士Zガンダム』の主役MS(モビルスーツ)である「MSZ-006 Zガンダム」は、初めてガンダムシリーズに「変形」を取り入れただけでなく、初代である「RX-78 ガンダム」と異なるデザインを多く取り入れたことで、後のガンダム系デザインの方向性を示したMSです。そのスタイリッシュな細面のフェイスを「Z顔」と呼ぶファンも多くいました。カラーリングも青が多い、ガンダムには珍しいバランスのトリコロールです。

 もともと、変形は『超時空要塞マクロス』のバルキリーがオモチャとして大ヒットしたことで、当時の玩具メーカーが注目していたギミックでした。しかし、スポンサーのバンダイとしてはガンダムシリーズの主力商品はプラモデルと考えていたので、変形は技術面や金型コストが高騰するなどの理由から否定的な立場だったそうです。

 この意見に異を唱えたのが富野由悠季監督でした。富野監督は当時まだ国内では放送されていなかった『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』を見て、そのスムーズな変形に衝撃を受けたそうです。そこで、そのエッセンスを組み込もうと、主役MSのZガンダムを変形させようと考えました。

 そのために本作では可変MSという形で、多くの変形する機体が登場したのかもしれません。後に「トランスフォーマー」がヒットしたことで、この富野監督の先見の明が実証されたわけです。

 Zガンダムのデザインは、主役MSということもあって難航しました。大河原邦男さん、永野護さん、藤田一己さんなど、複数のメカデザイナーが数えきれないラフデザインを描いたそうです。最終的にいくつかのデザインをメインメカデザイナーだった藤田さんがまとめ上げて完成しました。その作業は予想以上に時間がかかったそうで、本作最初のオープニングの作画に間に合わず、永野さんのラフ案を使ってシルエットだけの登場になったそうです。

 しかし、その生みの苦労が報われ、Zガンダムは今でも人気の高いMSのひとつとしてファンから認知されることとなりました。

 Zガンダムといえば、TV放送時はガンダムMk-Ⅱとリック・ディアスのデータに独自の装甲を加えて主人公のカミーユ・ビダンが設計した……という設定だったと思います。ところが、現在ではカミーユのメモ程度の設計図がヒントになった、という設定に変更されました。

 これはガンダムシリーズでよくある、新しく生まれた設定の帳尻合わせによる変更でしょう。この設定で、同じく自分でMSを設計するパプテマス・シロッコとの対比があったと思っていただけに残念です。

■諸刃の剣だった「バイオセンサー」

シロッコとジ・Oが描かれる、「機動戦士Zガンダム 13」DVD(バンダイビジュアル)

 Zガンダムの最大の特徴といえば変形することですが、それと同じくらい印象に残るのが、最終回間際で見せた不思議な力です。相手のビームをはじき、サーベルのビームを鞭のように伸ばして使う。それはZガンダムに組み込まれたサイコミュの一種「バイオセンサー」のなせる力です。

 バイオセンサーは簡易サイコミュともいえる装置で、当時の連邦軍やアナハイムの技術ではジオンのMAなどに搭載されたフルサイコミュを小型化できなかったので、操作性などにだけ対応したものでした。開発したアナハイムは、ニュータイプの可能性のあるパイロットのMSに極秘で搭載していたようです。

 しかし、卓越したカミーユのニュータイプ能力が、このバイオセンサー本来の持つスペック以上の機能を発揮します。それがバリアだったり、ビームの変化だったりしたわけです。ただし、このバイオセンサーはいいことばかりではありません。リミッターのようなものがなかったらしく、パイロットの精神を著しく消耗させます。このことが、TV版でカミーユが精神崩壊したきっかけでした。

 さらに運の悪いことに、このバイオセンサーは敵であるシロッコのMSジ・Oにも搭載されていたのです。もちろんジ・Oはシロッコが設計したMSですから、バイオセンサーの安全性は保障されていたことでしょう。カミーユにとってよかったことは、このバイオセンサーを通してジ・Oのコントロールをジャックできたこと。逆に最悪だったのがバイオセンサーを通じてシロッコの悪意をダイレクトに受けたことだと考えられます。バイオセンサーを通じての強制的な共振でした。

 つまり、TV版最終回の結末の黒幕は、アナハイム技術陣だったということでしょうか。

 ちなみに、バイオセンサーは後継機であるZZガンダムにも搭載されていました。プルツーのサイコ・ガンダムMk-Ⅱやハマーン・カーンのキュベレイとの戦いでバイオセンサーが発動したように見受けられます。しかし、パイロットのジュドー・アーシタの精神力の強さがあったからか、逆にカミーユほど能力を引き出してないからか、バイオセンサーの影響を強く受けていません。

 この後、バイオセンサーは安全性の高い「サイコフレーム」に取って代わられますが、ガンダムF91に搭載されていたことが劇中で語られていました。おそらく「ラプラス事変」(『機動戦士ガンダムUC』での出来事)で、サイコフレームの技術を表向きは封印したからでしょう。

 一説によると、シャアとの戦いでアムロが使いたかったと言われるほどのスペックを持っていたZガンダム。その性能は、何年も先に通用するほどのものだったのです。

(加々美利治)

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