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声優・福山あさきさんに聞く、映画『カラミティ』の魅力と主役抜擢までの道のり

マグミクス / 2021年5月7日 16時10分

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■マーサは「ズボンをはいて行動する」女の子

「東京アニメアワードフェスティバル2021」のオープングで上映され注目を集めた映画『カラミティ』は、2021年中の国内公開が予定されています。アメリカ開拓時代の伝説的な女性ガンマン、マーサ“カラミティ”ジェーンの少女時代を描いた物語で、故・高畑勲監督も絶賛した『ロング・ウェイ・ノース – Long Way North – 地球のてっぺん』を手がけたレミ・シャイエ監督の、待望の最新作です。

 同作の日本語吹替版で主演を務める福山あさきさんは、挫折を乗り越えながら7年をかけて夢をつかんだ、いま注目の女性声優です。福山さんの歩みは、折れない心で自分の道を歩み続けた同作の主人公、マーサ・ジェーンに重なります。『カラミティ』の見どころと、福山さんが吹替版の主役に選ばれた経緯について、福山さん本人と、金子マネージャーにお話を聞きました。

* * *

──マーサ・ジェーンは、日本ではあまりなじみのない人物かもしれません。福山さんから見て、作中の彼女はどのようなキャラクターなのでしょうか?

福山あさきさん(以下、福山) 「女性は女性らしく、スカートをはいて……」という生き方しか選択肢のなかった時代に、そのことに疑問を抱き、家族を守るために「ズボンをはいて行動する」女の子です。自分を貫いて行動する女の子は、周囲との軋轢からトラブルも招きやすいですから、そのために“災厄”(カラミティ)だと煙たがられたりもします。それでも彼女は、信念を曲げずに、目をそむけることなく問題に立ち向かいます。

──初めて台本を読んだ時の印象を教えてください。

福山 マーサが男の子に罵声を浴びせたり泥に突き落としたりするシーンに、まずはびっくりしました(笑)。作中で大人たちが子供を扱うやり方も、現代と違って割と手加減がないですよね。それでも自分を貫くマーサの強さに、まず最初に惹かれました。誰でも大人になればなるほど、周囲に対して言えなくなることが増えます。まだ子供だからというのもあるかもしれませんが、そんなことは気にせず行動する彼女はすごくまぶしいなと思いました。

──マーサには強さ以外の面もあります。

福山 とっても素直ですし、正直、かなりの悪ガキでもありますよね(笑)。でも、悪意を抱く間もなく反射的に言い返したり行動したりしますので、見ていてスカッとするというか、かえって気持ちがいいです。

──映像を初めてご覧になった時の印象はいかがでしたか?

福山 キャラクターの輪郭線を描かなかったり、色彩感覚が独特だったり、日本のアニメでは、あまり見られない映像です。それがすごく綺麗な絵画のようで、見ればみるほど引き込まれていきます。私は自然の景色が好きなんですけど、『カラミティ』で描かれている大自然の風景は、決してリアルではないんですよね。でも、この描き方だからこそ、かえって本物っぽく本物以上に美しく見えるというか……星空のシーンは特に素敵ですので、ぜひ、みなさんにもご覧になっていただきたいです。

──マーサの太い眉毛と仏頂面も印象的です。

福山 吹替前の原語の声も、かなり音域が低いんです。太い眉毛や仏頂面も含めて、それはそれで魅力的ですけど、何もかもが綺麗で完璧な女の子とは違う人間味が感じられて、私はとっても好きです。

 美しいだけの話よりも、人間らしい物語の方に惹かれるんです。強く、素直で、悪ガキで、子供らしくて欠点もあって、けれど家族想いなマーサは、人間らしい素敵な女の子だと思います。

──マーサと福山さんご自身に、共通点や似ているところはありますか?

福山 我が強くて負けず嫌いなところは、すごく似ていると思います。私は占い師の方に見てもらうと、必ず「あなたは本当に負けず嫌いね」と言われるんです。YouTubeでの活動もしているんですけど、始めた当初は本当に視聴数が伸びなかったんです。その時も、「絶対に視聴数を伸ばしてやる!」という気持ちでいっぱいでした(笑)。マーサほどではないですけど、負けん気の強さだけは昔からありましたから、そういった部分では演じやすさもあったのかもしれません。

──キャラクターの内面に入り込めたわけですね。

福山 負けん気が強いとはいえ、現実では他人の顔色を見ながら話したりふるまったりするのが普通ですよね。マーサにはそれがありませんから、演じている時もすごく気持ちよかったです(笑)。

■「通行人役」から「主役」への大抜擢

映画『カラミティ』キービジュアル

──今回のマーサ・ジェーン役は、スタジオオーディションを受けて合格されたという流れなのでしょうか?

福山 吹き込んだ音声を送って選んでもらう、テープオーディションの形でした。

──同席されている金子マネージャーに、選ばれた経緯をうかがってもよろしいでしょうか?

金子マネージャー(以下、敬称略) 多くの候補者の中から、最終的に5名を絞り込んだようですね。その中に福山がいて選ばれたという流れです。精神的に自立した強い女性だけれども、家族想いで優しいところも演じられる、そういったさまざまな面が考慮されたようです。

──2020年8月に公開された『マロナの幻想的な物語り』の日本語吹替版で、福山さんは通行人役をつとめていました。そこから一足飛びに主役に大抜擢されたとは思えない、素晴らしい演技力に驚かされました。

金子 唯一の心配は、福山の経験の乏しさではなく、マーサのように誰かを罵倒した経験がない点でした。同性の目から見ても、普段から本当に性格が良いですから。

福山 音響監督さんにも、「人を罵ったことがないですね」と見抜かれました。本当にそうなのでどうしようと思っていたら、金子さんが「私は罵倒し慣れてるから、分からないならやり方を教えてあげる」とおっしゃってくれて(笑)。それで、すごく楽になりました。

──映画の主演というのは、作品の出来を左右しかねないほど責任重大です。長年夢見ていたことが実現してマイクの前に立たれた時、緊張はしませんでしたか?

福山 言葉にできないほどのプレッシャーがありました。去年の夏に事務所に所属させていただいた時には、比較的チャンスを多くいただけるアプリゲームで名前付きの役をひとつ、出来ればふたつ勝ち取るのが目標だったんです。それがいきなり、こんな大きな作品の主演という話で、台本を開くと自分の名前が杉田智和さん(アブラハム役)や上田燿司さん(イヴの父役)のお名前と一緒に並んでいますし……最初は信じられない気持ちでいっぱいでした。

──金子マネージャーによると、レミ・シャイエ監督にも福山さんの日本語吹替版は見てもらっていて、「ベリーグッド!」というリアクションが帰ってきたんだとか。

福山 嬉しい……本当に嬉しいです……!

※福山あさきさんへのインタビュー後編は[こちら]

(C) 2020 Maybe Movies ,Norlum ,2 Minutes ,France 3 Cinema)

(取材/構成:香椎 葉平)

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