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今も作品動画の投稿続く『メイドイン俺』…衝撃だった「ストⅡ」や「ゼビウス」のシーン再現

マグミクス / 2021年5月10日 18時10分

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■「メイド イン ワリオ」シリーズ初、ゲームづくりに特化

「5秒のゲームを作って遊ぶ、もらって遊ぶ!」

 これは、2009年4月29日に発売されたニンテンドーDS(以下、DS)用ソフト『メイドイン俺』のキャッチコピーです。本作は「メイド イン ワリオ」シリーズ初となる”ゲーム自作ツール”を搭載し、ソフトを購入したユーザーがゲーム内容をアレンジすることができただけでなく、インターネットを介して自作ソフトの配信やダウンロードも可能でした。

 そもそも「メイド イン ワリオ」シリーズとは、突発的に出題される「プチゲーム」(数秒~数十秒で終了するミニゲーム)を、プレイヤーが臨機応変に対処して突破する”瞬間アクションゲーム”。言わばプレイヤーは完全な受け手であり、シリーズを通して「大量に収録されたプチゲームをひたすらクリアする」という遊び方に留まっていたのです。

 一方、『メイドイン俺』は基本的なゲームシステムを踏襲しつつ、プレイヤーを受け手から作り手へと変える新機軸を採用していました。その柱を担ったのが、冒頭で述べたゲーム自作ツール。作中では「スーパーツクリエイター21」と呼ばれており、プレイヤーはこの機能を使ってプチゲームならぬ、「俺ゲーム」を作っていくことになります。

■意外と敷居が低かったゲーム自作ツール

 本作におけるゲームづくりは全部で4つの工程に分かれており、その様子はさながら現実のゲーム制作をミニチュア化したといっても過言ではありません。というのも、キャラクターイラスト・背景・BGMといった素材の調達に加え、素材の動き(条件づけ)やゲームのクリア条件まで、プレイヤー自身で設計する必要があったからです。

 タッチペンを走らせてイラストを描き、プチゲームのバックに流れるBGMを作曲し、できあがった素材にひとつずつ命令を吹き込む……特に、命令を設定する「くみたて」工程は「○○の時にxxする」という具合に、簡易的ながらもプログラミングに近い性質を備えていました。

 とはいえ実際のところ、プチゲーム自作の難易度はそこまで高くなかったのです。もちろんクオリティの高いプチゲームをイチから作るとなれば話は変わります。しかし、「障害物を避ける」「時間以内にボタンを押す」といった単純な仕掛けなら、本作にあらかじめ収録済みのサンプルゲームから命令パターンを流用できます。その際に素材だけ自作しておけば、立派に「俺ゲーム」の完成までこじつけることができたのです。

 また、素材の調達に関してもお助け機能が充実しています。サンプルとして用意されているイラストおよび背景を拝借しても良し、「マエストロ」に頼んでBGMの作曲をおまかせするも良し。「絵は得意だけど命令を吹き込むのが面倒」という場合でも、プレイヤーが指示に従って素材を自作する代わりに、プログラム部分をゲーム側に全て作ってもらう「バイトべや」なる専用モードも搭載されていました。

■想像力と工夫次第で、驚くべき作品が生まれる

『メイドイン俺』はWiiにも対応。『あそぶメイドイン俺』としてリリースされ、Wiiウェア版オリジナルのゲームを収録していた(現在は一部通信機能が使用不可)

 さまざまな工程を踏まえて自由自在なプチゲーム作りを楽しめる『メイドイン俺』は、リリース直後から定期的に行われた「コンテスト」や業界人の作ったプチゲーム配信イベント、プレイヤー間で自作ゲームを受け渡す通信モード(ローカル通信&Wi-Fiコネクション)などを通して、実にたくさんの力作がインターネット上で披露されました。

 そのなかでも、とりわけコミュニティを賑わせたのが「レトロゲーム再現」です。文字通り「ファミコンやスーパーファミコンの名作を『メイドイン俺』のプチゲームで再現する」という試みで、あるプレイヤーがニコニコ動画に公開したレトロゲームの再現動画は40万再生を突破(2021年4月時点)。動画には「驚異の再現率」、「(イラスト自作に関して)スキャナーやトレース機能もないのに凄い」といった感想を含め、約4500件のコメントが寄せられています。

 再現に挑戦している作品も多種多様。例えば「走行中の電車に飛び移るチャレンジャー」(チャレンジャー)、「波動拳でブランカを撃退するリュウ」(『ストリートファイターII』)、「アンドアジェネシスのコアを狙うソルバルウ」(『ゼビウス』)など、オリジナル版のワンシーンが『メイドイン俺』のプチゲーム内で精巧に再現されています。

 また、とある別のプレイヤーはYouTubeに「スーパーマリオ」シリーズの再現動画を公開。こちらは「オノを触ってクッパをマグマに落とす」、「プクプクを避けて海中を泳ぐ」、「クリボーやノコノコをジャンプで踏みつける」といったシーンをプチゲームで見事に描いて見せています。

 こうしたレトロゲーム再現に勤しんだ有志の作例からは、「プレイヤーの想像力と制作テクニックさえあれば、プチゲーム作りに限界なんて無い!」という、あふれんばかりの底力がうかがえるのではないでしょうか。

 2021年で発売から11年目を迎える『メイドイン俺』。本作にまつわる公式イベントやWi-Fiコネクションによる通信モードはすでにサポートが終了しているため、コミュニティの熱意は以前と比べておとなしめ……と思いきや、動画サイトでは令和に入った現在も多数のプレイヤーによってプチゲーム作品の動画がアップされ続けている模様。おなじみのゲーム再現だけでなく、作曲モードを使ったヒットソング再現、さらには過去の自分が生み出した奇妙なゲームをさらす「黒歴史」の暴露……などなど、本作を支える愛好家の熱量はまだまだ健在のようです。

(龍田優貴)

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