全国で有休取得、続出!? 社会現象を巻き起こした作品たち
マグミクス / 2021年5月17日 16時40分
■『まどマギ』では放送時間の“地域差”も重要!
マンガ・アニメに興味がない人にもすっかりおなじみとなった『鬼滅の刃』ですが、2020年12月に発売された第23巻(最終巻)は、客も書店も新型コロナ対策を実施しながら、開店前から行列ができたニュースは記憶に新しいところ。連日記録を打ち立て続ける『鬼滅』人気ですが、これまで“社会現象”ともなった作品はどんな影響を与えたのか。この記事では、各作品の社会への影響を振り返ってみます。
まず、スポーツマンガは世間に多大な影響を与えた作品が多数存在しています。『キャプテン翼』など、人気スポーツを題材にした作品は海外にも普及し、スター選手たちが影響されたと発言することも珍しくないほどです。そのなかでも、バスケットボールマンガの金字塔『SLAM DUNK』は当時、国内ではマイナースポーツだったバスケを一躍ブームに仕立てた存在です。1990年から1996年まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、1993年にTVアニメの放送もスタート。当時、『SLAM DUNK』を見ていた学生たちはこぞってバスケ部に入部し、部室がパンクするほどの部員がいたとか。実際に日本バスケットボール協会が発表している競技者数でも、1990年が約81万人でしたが、連載終了時の1996年には100万人を突破する右肩上がりを記録しています。当時、マンガ界ではバスケなどマイナー競技はタブー視されていたなかで、その常識を打ち破った作品でした。
競技を題材にした作品でも『ヒカルの碁』(1999年連載開始)も社会現象と言われる作品のひとつ。渋くて、とっつきにくい、年配の方がやる遊び、というイメージだった囲碁をテーマに、少年の成長を描く作品です。こちもら「週刊少年ジャンプ」で連載され、TVアニメも放送されると小中学生を中心に、囲碁の競技人口が増加。「ヒカルの碁スクール」なる囲碁教室も全国各地に展開しました。海外でも翻訳され、囲碁ブームが巻き起こります。しかし、国内では講師の人手不足など受け皿が整っていなかったことが原因で、一過性のブームとなってしまいました。
時代は進み、インターネットが普及したことで爆発的人気を博したのが「涼宮ハルヒ」シリーズ。2003年から刊行され、累計発行部数2000万部を超えるライトノベルシリーズです。数々の賞を受賞し、ラノベ文化の礎を築いた作品のひとつです。それが2006年にTVアニメ放送がスタートすると、エンディングテーマソング『ハレ晴レユカイ』の踊りは“ハルヒダンス”と呼ばれて話題に。「ニコニコ動画」には再現したダンスの映像が投稿され、“踊ってみた”文化が定着します。またヒットの裏側には少し残念な理由も……YouTubeが誕生したのも同時期で、違法アップロードされたアニメ本編が放送されていない地域の人でも楽しめたのも、ヒットの要因のひとつと言われています。ちなみに2011年に新刊が発売された際には、書店には行列ができ、深夜営業を行う書店まで登場する人気ぶりをみせています。
最終回に当たって放送局、視聴者共に異例な対応を迫られたのが2011年放送の『魔法少女まどか☆マギカ』でした。同作の人気は現在でも凄まじく、放送開始当時から“2010年代最高のアニメ”という呼び声もあったアニメです。しかし、放送期間中に日本大震災が発生。ラスト3話を控えたところで、放送は一度休止に。そして後日、深夜3時から最終回を含めた3話連続での放送が告知されると、ネットは大騒ぎになります。SNSには「有給取らないと!」という人が続出。最後まで見ると深夜4時を過ぎる上に、その後は余韻に浸ったり、感想をTwitterにあげたり、掲示板で意見交換をしたり……最終回後の“残業”もあるため、仕事に行ってる場合ではないのです。さらに「深夜3時~」という放送時間は、愛知など一部地域では異なるため、なるべく早く最終回を見届けるため、有給をとって関東まで進出するという人もいたそうです。
2021年はファン待望の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開され、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』も全米公開。『鬼滅』人気はついに海を超え、世界でもその人気を確立しつつあります。さらに『SLAM DUNK』も新アニメ映画も発表され、さらに熱い一年になりそうです。
(椎名治仁)
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