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愛され叩かれて30年。『ワニワニパニック』がアーケードゲームとして革命的だった理由

マグミクス / 2021年5月24日 7時10分

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■開発者・石川祝男氏が起こした「モグラ叩き」革命

 今日もどこかでワニが怒っています。

 アーケードゲーム『ワニワニパニック』が登場して30年以上が経過していますが、同作は現在も「老若男女が一心不乱にワニを殴るゲーム」として、当たり前のようにアミューズメント施設の一角を担い、高い人気を得ています。また2020年には『ワニワニパニックR』として、アップデート版が登場して話題を集めました。

 外観はほぼそのままに、液晶モニターによる演出や協力プレイの導入など、ますます楽しめる仕様にパワーアップしています。数あるアーケードゲームのなかでも『ワニワニパニック」が幅広い層に長く愛される理由はいったいどこにあるのでしょうか。開発時のエピソードやアーケードゲームを取り巻く環境から紐解いていきます。

●「縦」ではなく「前」に出てくる点が画期的だった

『ワニワニパニック』が産声をあげた80年代後半、ゲームセンターは時代の潮目が変わる過渡期にありました。というのも、1984年に風営法が改正されゲームセンターは深夜営業が不可能になり、必然的に昼間の時間帯に重きをおく営業方針に変更せざるを得なくなります。

 結果としてより広い層に遊んでもらうアーケードゲームの需要が高まり、腕相撲マシンやタロット占いのゲームが人気を博します。こうした時代の要請を受け『ワニワニパニック』誕生の土壌は整っていきます。

 企画開発を担当したのは石川祝男さん。当時流行していた「モグラ叩き」と差別化を図るべく苦心してひねり出したのが「ワニワニパニック」です。なんといっても叩く対象が「縦」に出るのではなく「前」にくるというアイデアが革命的だったのです。

 従来の縦に出てくる「モグラ叩き」型ゲームだと、プレイヤーは絶対的な安全圏にいました。この位置関係を90度変えると立場は見事に逆転。穴から襲いかかるワニたちをプレイヤーが必死になって迎撃しなくてはならない……という構図に早変わりします。

 またミスをすると噛まれたり、「もう怒ったぞ」の合図とともにワニたちの動きが速くなったりと、ゲーム性を高める演出も加えられました。さらに、子供たちが思い切りハンマーを振り下ろすことを前提に「耐久性」にもこだわったことも大きな特徴です。5匹のワニが大きな口を開閉しながら迫り来る……「パニック」です。

●必死の社内プレゼンで商品化

『ワニワニパニック』はその革新性ゆえか、当初はなかなか会社の上層部に理解してもらえなかったといいます。そこで石川さんは負けじとダンボールとスリッパ(ワニの代わり)を用いて模型を作り、熱意たっぷりにプレゼン。これにより、のちのゲーム史を変える商品を世に送り出すことに成功したのです。

「500台売れればヒット」といわれる業務用ゲーム機ですが、『ワニワニパニック』の販売台数は実に1万台。前述の通り、耐久性にもこだわっているので今なお現役で稼働しているところも少なくありません。そんな石川祝男さんはその後、バンダイナムコホールディングスの会長にまで上り詰めるのです。まさにワニ太閤でいらっしゃいます(2019年に退任されています)。

 ちなみに本作の声優は『ケロロ軍曹』のケロロ軍曹役、『あたしンち』のお母さん役などで知られる渡辺久美子さんが担当。またサングラスをかけたあのワニは“ターミネーター”がモデルだそうです。

 日本には野生種のワニはいません。それでもなお、今日もどこかで「本日のスゴウデ」がワニたちを討伐しているのです。「いてっ!いてっ!いてっ!バク!」

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc. (C)BANDAI NAMCO Amusement Inc.

(片野)

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