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「打ち切り」で最終回を迎えた悲運のマンガ原作アニメ 復活できた理由とは?

マグミクス / 2021年5月25日 7時10分

「打ち切り」で最終回を迎えた悲運のマンガ原作アニメ 復活できた理由とは?

■リメイクの原動力はファンの変わらぬ熱意にあり

 近年、一度はアニメで最終回を迎えたマンガが再アニメ化という形でリメイクされています。『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』、『シャーマンキング』は、旧作ですでに描かれた物語冒頭から放送を開始しています。

 詳細はまだ不明ですが、『SLAM DUNK』、『BLEACH』も再アニメ化の情報が公開されています。

 それぞれ事情は違いますが、ファンからすれば「ラストまで見たい」という気持ちが叶うのだからうれしい限り。しかし、なぜ人気があったのにアニメは終了したのでしょうか? それには当たり前すぎる事情がありました。

 大まかに言うと、テレビアニメが原作に追いつくということが原因です。アニメの1話分は原作マンガの数話分というのが普通。つまり放送期間が長くなれば「原作に追いつく」ということになります。これは製作上、避けては通れません。

 そこで人気があっても、泣く泣く物語途中で最終回を迎えるテレビアニメがあるわけです。これを避けるため、「アニメオリジナルストーリー」で原作マンガとの距離を広げようとするのがアニメ業界の定番でした。

 ただし、これは諸刃の剣で、アニメスタッフと原作サイドの連携が取れていないとアニメオリジナルと原作マンガでつじつまが合わないことになります。『聖闘士星矢』では、氷河と瞬の師匠をアニメで先に出したため、マンガとは別人になったことがありました。

 しかし、2000年代終盤からひとつの手法が生まれて諸問題を解決します。それが「シーズン制」。決められた期間に予定された原作話数を放送する方法。そして、何回かのシーズンに分けて放送するわけです。

 この手法により、原作途中でアニメ打ち切りという作品が劇的に減りました。

 そのため、近年では一度放送が終わっても、再び放送が始まるという安心感でシーズン最終回を迎えられます。

 そうすると今度は以前、中途半端な最終回を迎えた作品が気になるもの。昨今のリメイク作品ラッシュの要因のひとつはここにあるのかもしれません。

 リメイクできる最大の理由は、その作品に現在製作して収益が見込めるか? ということでしょう。現在においても何らかの収益が見込める作品。これまでのリメイク作品を見ると、そこにポイントだと分かります。

 下世話な話と毛嫌いする人もいるかもしれませんが、反対から見ると、いまだに多くのファンがいる作品ということになりませんか?

 まだ商売として成立するから作品が復活できる。そう考えれば、ファンの変わらぬ熱意が作品をふたたび羽ばたかせる原動力になるわけです。

 つまり何年も停止した作品が動き出すのは、こういった昔の作品を見ていたファンの気持ちが大きいのではないでしょうか。

■それぞれの最終回を迎えた名作たち

『半妖の夜叉姫』 (C)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2020

 リメイク作品とひとくくりにしましたが、何も最近だけの話ではありません。一度、テレビから姿を消した作品が原作マンガのラストシーンをアニメ化した例はいくつかありました。

 もっとも古い例は『あしたのジョー』。1970年4月1日から1971年9月29日まで第1作が放送されました。しかし途中で原作に追いついてしまい、カーロス・リベラとの戦いで最終回を迎えます。

 その後、再編集した劇場版が公開後の1980年10月13日から『あしたのジョー2』が放送開始されました。劇場版が力石徹との戦いまでだったので、その後から原作マンガのラストシーンまでを映像化しています。そのため、カーロスとの戦いは再度のアニメ化となりましたが、前作や原作とは異なった展開でした。

 昭和の時代ですと『キン肉マン』がアニメオリジナルシリーズで一度最終回を迎えた後、原作最終シリーズである「王位争奪編」を5年後にテレビ放送開始しています。

 テレビでなくOVA(オリジナルビデオアニメ)で原作の最後までアニメ化した作品もありました。

『キャプテン翼』が、その最初の作品です。しかしその後、原作マンガが再開され、都合4度のテレビアニメ化されますが、新たに始まった連載はいまだに続いているので結果的に完結していないということになりました。

 同様に『聖闘士星矢』もOVAで冥王ハーデス編までアニメ化していますが、その後の続編はいまだに連載中ということもあり未完ということになります。

 近年では『犬夜叉』が、原作が終了したところで「完結編」を製作、その後にアニメオリジナル続編『半妖の夜叉姫』を放送したこともありました。

 昨今でリメイク作品として再アニメ化したものでは『封神演義』があります。しかし放送本数が少なく、かなりの駆け足で完全な形でなかったことを残念がるファンもいました。

 逆に『ダイの大冒険』、『シャーマンキング』のようにアニメで本来の最終回を迎えられなかったマンガ作品もまだたくさんあります。

「ジャンプ」黄金時代と言われた時期ですと、『北斗の拳』、『銀牙 -流れ星 銀-』、『魁!!男塾』のように、人気があって続編まで作られた作品でも、最終回はアニメ化されていない作品は少なくありません。

 ギャグ多めですが『GS美神 極楽大作戦!!』、『らんま1/2』、『金色のガッシュ!!』なども原作途中でアニメが終了し、最終回がアニメ化されていない作品です。

 近年ですとシーズン制が導入される直前で『家庭教師ヒットマンREBORN!』、『トリコ』などが途中の展開で最終回を迎えていました。

 これらの作品の最終回が、いつかまたアニメで見られることをファンとして祈りたいと思います。

(加々美利治)

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