【漫画】教育実習で生徒との交換ノートに“絵” 担任「面白くない方がいい」真意は？

■ユーモアの分からない先生？　実は生徒への配慮が…

　中学校へ教育実習に行った秋野ひろさん（@16_akino）は、クラスの生徒たちと“交換ノート”をしました。実習前からあった文化で、生徒が各自のノートに先生へのメッセージを書き、先生が返事を書いて返すというものです。

　秋野ひろさんは生徒への返事にイラストを描き、生徒たちがそれを見て盛り上がる様子に喜んでいました。しかし担任の先生から「こういう面白い感じではやらない方がいいかもね」と言われてしまいます。その理由が分からないまま、実習が終わりに近づき……。

　秋野ひろさんがこの出来事をマンガに描き、『交換ノートでイラスト描いてたら注意された話』と題してTwitterで公開しました。生徒指導のあり方について考えさせられるエピソードに、読者から「素直に感動した」「嫌な気分になる話なのかと思ったら、いい話だった」「先生もいろいろ考えてるんだなあ」「重い言葉に優しさがこもってる」などの声があがりました。

　作者の秋野ひろさんに、お話を聞きました。

ーー今回の教育実習でのエピソードをマンガに描こうと思ったきっかけはありましたか？　

「仕事探しはスタンバイ　マンガ大賞」というTwitterでのマンガの賞があって、そこに応募しようと思って描きました。「かっこいい同僚や先輩を描く」というテーマだったので、教育実習が終わったタイミングで印象的だった先生を描こうと思いました。

ーー担任の先生に「面白い感じではやらない方がいいかも」と言われた時と、実習の最後にその真意が分かった時のお気持ちや、この一件で教師という仕事について感じたことを教えて下さい。

　最初は、先生の意図が分からなかったのでモヤモヤしました。自分の学校生活を振り返ってみると、よく分からないルールが多かったので、正直大した理由はないだろうと見くびってて、「なんとなくざわざわする雰囲気がよくないと思ってるだけ」と思ってました。

　だから理由を聞いた時は、そこまで意味を考えてひとつひとつの活動をやってるんだ、ということに驚きました。またその先生に対して、「質問したらしっかり答えてくれる」という安心感ができたので、細かい指導も見ておこうという気持ちになってました。

　漫画家になりたいので教師になるかは分かりませんが、どちらにしても自分の行動の理由をしっかり説明できる人になろうと思いました。

ーー作品に対する反応で、特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

　学校関係の方で、マンガに登場した先生の考えに共感してくれた人が何人かいて、僕が出会ったようないい先生が他にもいるっぽい、と思えたのがうれしかったです。

　あとうれしかったのは、僕の「疑問に感じたことを聞く姿勢」を褒めてくれるコメントが割と多かったことですね。こういう内容のコメントはニヤニヤしながら見てました。

『不自由さと楽しさは別かもなぁと思った話』（秋野ひろさん提供）

ーーTwitterではこれまでも教育実習での出来事を描いたマンガをいくつか投稿なさっていますが、そのなかで特に印象に残っているエピソードを教えて下さい。

『不自由さと楽しさは別かもなぁと思った話』で描いていますが、コロナの状況下でも子供たちが給食の時間を楽しんでいたのが印象的でした。給食の時間って何より会話が楽しかった記憶があるので、それができない状況をかわいそうだと感じてたんですが、そのなかで楽しみを見出してる姿がいいなと思いました。

ーーマンガやその他で、今後挑戦してみたいことについて教えて下さい。

　最近自分以外の人の考え方や感じ方に興味を持つことが増えてきたので、自分が魅力的だと思った人をキャラクターとして描いていきたいです。今回みたいなエッセイの形式以外でも、自分が出会った人物や感情のリアリティはこだわりたいなと思います。

（マグミクス編集部）