タイトルと時系列で振り返る『ドラゴンボール』の歴史。パラレルワールドの概念も…?
マグミクス / 2021年5月31日 18時10分
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■原作をアニメ化した『無印』と『Z』、オリジナル続編の『GT』
『ドラゴンボール』のタイトルごとのつながりがよくわからない……という人がたまにいます。詳しい人からすると、「どうして違いがわからないのかわからない」と思われるかもしれませんが、ウルトラマンやガンダムのようにシリーズごとに登場人物が違うわけでないので、混乱するというのも一理あるでしょう。
しかも『ドラゴンボール』作品には、同じ時間軸を扱った作品や、ひょっとしたら時間線が違うパラレルワールドになっているのではないか? ……という疑問もあるからです。そこで今回は、「ドラゴンボール」シリーズを時系列で振り返ってみます。
まず、鳥山明先生が「週刊少年ジャンプ」で連載したマンガ『ドラゴンボール』がすべての原点。この作品からさまざまなアニメタイトルが生まれました。
アニメ化した最初の作品が、マンガと同じタイトルの『ドラゴンボール』です。1986年2月26日~1989年4月19日放送。全153話が制作されています。原作マンガの冒頭から第23回天下一武道会(ピッコロとの戦い)までを映像化しました。ほかのシリーズと並べる時、ファンからは『無印』または『元祖』と言われることもあります。
そして、続いて製作されたのが『ドラゴンボールZ』。1989年4月26日~1996年1月31日放送。全291話で、ほかに2本のTVスペシャルが制作されています。『無印』からつながる形で、サイヤ人襲来からマンガ最終回までをアニメ化しました。つまり『無印』と『Z』で原作のストーリーを完結させたわけです。
『Z』にタイトルが変更された理由は、前番組の『Dr.スランプ アラレちゃん』と比べて『無印』の視聴率がそれほど高いものではなかったからでした。そこで担当編集者の鳥嶋和彦さんの提案で、放送終了したばかりの『聖闘士星矢』のスタッフを加えるというテコ入れと、「新番組になると宣伝費の予算がつけられる」という理由から『Z』をつけてリスタートしたのです。
ちなみにタイトルの『Z』は「早く終わるといいなぁ」と思った鳥山先生が、最後という意味でつけたと、後に明かしていました。
このテコ入れが功を奏し、『ドラゴンボール』は絶頂期を迎えます。そしてアニメオリジナル作品として、『ドラゴンボールGT』が続けて製作されました。1996年2月7日~1997年11月19日まで放送され、全64話と1本のTVスペシャルが制作されます。
物語は『Z』から5年後、当初は子供になった悟空を中心に『無印』のような冒険ものとして製作されましたが、途中からアニメオリジナルの超サイヤ人4になった悟空の戦いという、『Z』時代のようなバトルものにシフトしました。
この『GT』を最後に『ドラゴンボール』はコンテンツとして一度終わりを迎えます。しかし、他の人気作品が次々と復活を遂げた21世紀に、ふたたびコンテンツとして息を吹き返すことになるのでした。
■『改』をきっかけに新たなファン層を獲得し『超』が誕生
『GT』放送終了後も、ゲームにカードなどのグッズやアイテムが販売され、『ドラゴンボール』の認知度と人気はそれほど色あせないでいました。
そんな時、2008年秋に開催された「ジャンプスーパーアニメツアー08」で現役ジャンプ作品に交じって、『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』というオリジナルストーリーによるアニメ新作が発表されます。この作品がきっかけで、TVアニメでも大きな動きが起きました。それが『ドラゴンボール改』です。
『改』は、第1期のサイヤ人襲来から人造人間セル編までを2009年4月5日~2011年3月27日に放送。第2期の魔人ブウ編が2014年4月6日~2015年6月28日まで放送されて合わせて全159話が制作されました。
『改』は『Z』のデジタルリマスター再編集版で、デジタルに対応した作品です。しかし、ただの編集版でなく、『Z』で多くあったアニメオリジナル展開をできるだけカットして原作マンガに展開を近づけ、一部の映像の修正や録音を新たにするなどの変更がなされました。
そして、この作品が新たなファン層を開拓します。このTV放送をきっかけとして、『Z』当時まだ生まれていなかった低年齢層から爆発的な支持を得ました。
その人気により、劇場で『ドラゴンボールZ 神と神』(2013年)と『ドラゴンボールZ 復活の「F」』(2015年)という、新キャラも登場する新作も公開され、ブームに拍車をかけることになりました。
これにより、TVでも『ドラゴンボール超(スーパー)』という完全新作が2015年7月5日~2018年3月25日に放送。全131話が制作されます。
この『超』の時代は一部『Z』と重なりますが、魔人ブウが倒されて平和が戻った後から、ベジータとブルマの娘ブラが生まれるまでの6年間。マンガと『Z』では描かれていない時代の話です。
そういうわけで、『超』は先に作られた『GT』より前の時代になるのですが、いくつかつじつまの合わない部分がありました。例えば、キビトと合体した界王神が元に戻っている、死んでいたフリーザーが生き返っている……などです。もっとも、今後の展開でつじつまが合うかもしれません。
これに関しては『超』と『GT』は別の時間線にあるから……と解釈するファンも多いようです。
思えば、人造人間編でトランクスが未来からやって来たことで時間線が異なるというパラレルワールドの概念が入った『ドラゴンボール』の世界。もともと劇場版の流れをマンガ原作やTVの時間軸に合わせられないという矛盾がありましたから、つじつまを合わせるなんて野暮は言わないで、純粋に作品を楽しめばいいのかもしれませんね。
(加々美利治)
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