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実際に葬式が行われたキャラクター3人 女性ファンが会場に詰めかけた例も

マグミクス / 2021年6月2日 11時50分

実際に葬式が行われたキャラクター3人 女性ファンが会場に詰めかけた例も

■納得の死、そして不慮の死

 アニメやマンガでは鮮烈な印象を残して死を迎えたキャラクターが数多く存在しています。なかでも特別に強烈な存在感を持つキャラクターのなかには、実際にお葬式が行われた事例も存在しているのです。この記事では現実でも死を悼まれた、3人のキャラクターを紹介します。

●『北斗の拳』ラオウ

『北斗の拳』に登場したラオウは、世紀末覇者「拳王」を名乗るにふさわしい威容と風格、そして圧倒的な強さを兼ね備えた絶対的な存在として君臨しました。

 しかし南斗水鳥拳のレイ、実弟のトキ、山のフドウ、雲のジュウザら多くの強敵を退け続けたラオウも、ケンシロウとの戦いに敗れ、遂に倒れる時を迎えたのです。

「わが生涯に一片の悔いなし!」と叫び、天に拳を突き上げそのまま絶命した死にざまは、当時『北斗の拳』に夢中になっていた少年たちの心に、強烈な印象を残し今へと続いています。

 そんなラオウの葬式が行われたのが、2007年4月18日。原作でのケンシロウとラオウの最終決戦をアレンジした、劇場版『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 激闘の章』の上映を10日後に控えた時期でした。東京の高輪にある高野山東京別院で開催された『ラオウ昇魂式』にはラオウの声優を務めた宇梶剛士氏ら多数の著名人や、熱烈なファンが参列。その模様はTVニュースになるなど、ラオウの影響力の大きさを世に知らしめることになりました。

●『あしたのジョー』力石徹

 キャラクターの葬式と言えば、今なお真っ先に名前が挙がるのが、『あしたのジョー』の力石徹でしょう。マンガ版の連載ベース換算ではその死から早くも51年が経過していますが、今改めて見返してみても、力石の死の衝撃はあまりにも大きなものがあります。

 主人公・矢吹丈のライバルとして大きな壁となり立ちはだかった力石は、壮絶な減量の果てに向かえた丈との試合に勝利するものの、試合後に握手をしようとした際にそのまま倒れ、不慮の死を迎えてしまいました。TVアニメ版で、差し出された丈の手を握ろうとしてそのまま倒れていくシーンはチーフ・ディレクターを務めた故・出崎統氏の演出が冴えわたっています。

 そんな力石の葬式は、1970年3月24日に講談社の講堂で執り行われました。多くのファンが詰めかけたこの葬式を発案したのは、劇作家として知られる故・寺山修司氏。ちょうど4月1日からTVアニメの放送を控えた時期でもあり、アニメの宣伝を兼ねたイベントとして開催された面もありますが、マンガのキャラクターの葬式が実際に開催したことは、エンタメの歴史に大きな1ページを加える結果となったと思われます。

■ファンの力が結実したお葬式

●『六神合体ゴッドマーズ』マーグ

 純粋にファンの力がお葬式の開催につながったキャラクターと言えば、『六神合体ゴッドマーズ』(以下、ゴッドマーズ)のマーグの名が挙がるでしょう。

 1981年から1982年にかけて全64話が放送されたTVアニメ『六神合体ゴッドマーズ』は、故・横山光輝先生の『マーズ』を原作としたロボットアニメです。

『ゴッドマーズ』では全宇宙の支配を目論むギシン星の皇帝ズールと、地球を守る主人公の明神タケルとの戦いが描かれます。マーグはタケルの双子の兄として登場するキャラクターです。

 明神タケルこと宇宙名マーズはギシン星の出身ですが、生まれてすぐにズール皇帝に拉致されてしまいました。後にゴッドマーズのコアとなるロボット「ガイヤー」と共に、人間爆弾として地球へと送り込まれています。

 弟と生き別れたマーグはズール皇帝に仕える配下として地球への攻撃に加わりますが、気が触れたふりをしてマーズへと情報を送り、密かに手助けをします。しかし地球側へ味方していたことがバレてしまい、洗脳されてマーズとの直接対決に送り込まれてしまうのです。

 最初こそ洗脳は不完全だったものの、最終的には完全に洗脳されてしまい、最後はマーズをかばってその命を落とします。マーグの美しさと弟を想うけなげな心、そして声優を務めた三ツ矢雄二氏の熱演も相まって女性人気は絶頂に達しました。事前にマーグの死を知ったファンからは「マーグを殺さないで」という要望が殺到する事態となったのです。

 この状況を納めるべく、『ゴッドマーズ』を放送していた日本テレビとアニメディア編集部が合同でマーグのお葬式を開催することになり、当日は黒い衣装に身を固めた多くの女性ファンが会場へと詰めかけました。

 キャラクターのお葬式はイベント主導で開催されるパターンが多いのですが、マーグは純粋なファンの熱量が開催への原動力となったという点で、アニメ史の記録に残る稀有なイベントと言えるでしょう。

(早川清一朗)

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