サントラ90万円!『スーパードンキーコング2』がSFCの最高傑作と言わざるを得ない理由
マグミクス / 2021年6月9日 17時10分
■CM、グラフィック、操作性、世界観、やりこみ要素、難易度、音楽…死角がない!
1995年にスーパーファミコン用ソフトとして発売された『スーパードンキーコング2 ディクシー&ディディー』(任天堂)は最高のゲームでした。発売から25年が経過した今、さまざまな角度から本作を見てみると、もしかしたら本当にスーファミのアクションの最高傑作だったのでは? そんな考えが頭に浮かんできます。そこで本稿では“思い出補正”に満ちた偏愛であることは大前提のもと、『スーパードンキーコング2』こそスーファミのアクションゲームの最高傑作である理由を述べていきたいと思います。
●ヒット作には人を夢中にさせる四原則が備わっている。
とはいえ、ある程度の根拠は必要ですので、世界的なゲームクリエイター、サイトウ・アキヒロ氏の著書『ゲームニクスとは何か』(幻冬社)のなかで提示された人を夢中にさせるゲームの四原則を適宜、参照しつつ進めていきます。
第一原則:直感的なユーザー・インターフェイス(=使いやすさの追求)
第二原則:マニュアルなしでルールを理解してもらう(=何をすればいいのか迷わない仕組み)
第三原則:はまる演出と段階的な学習効果(=熱中させる工夫)
第四原則:ゲームの外部化(=現実とリンクさせて、リアルに感じさせる)
●CMからすでに冒険は始まっていた!
「♪ドンドドドンキーコング2 今度はドンキーさらわれた」
この衝撃的なテレビCMですでに『スーパードンキーコング2』は開始されていました。前作の主人公ドンキーコングがいきなりさらわれた? なんで? あのポニーテールのお猿は誰? こうして「助けに行かなきゃ!」という使命感が最初からプレイヤーには与えられていました。これは第二原則、第四原則に該当すると言ってもいいかもしれません。
●美麗なグラフィック×ありえない世界
「スーパードンキーコング」シリーズの特徴といえば美麗なCGグラフィック。使用可能な色数が限られていたため、別の色を交互に点滅させることで「見かけ」の色数を増やすという技術が用いられています。前作『スーパードンキーコング』でも幻想的な世界を表現していましたが『スーパードンキーコング2』ではその世界観がさらに強化。マグマが煮えたぎる洞窟、ハチミツがとろり流れる巨大な巣、青空をバックにイバラが広がる空間……「足場」と「背景」の二段構えでこの異世界が構成されています。これが、ため息が出るほどに美しいのです。
●多彩すぎる「ステージギミック」と「やりこみ要素」
「ありえない世界」に合わせて新たなギミックが多数採用されています。キャラクター専用、カウトダウン式、など多様なバレル、宝箱や鉄球など投げアイテムも豊富。「コースター」系のステージだけでも、レース形式だったり、巨大オバケから逃げ切るものだったり、難易度に応じてステージギミックも変化。これら全てビジュアルで説明されているので、第二原則にものっとっています。
●ディクシーという名の「自由」
ディクシーの登場によって私たちは「自由」を手に入れました。「お猿の旋回」によって自由に画面上を滑空できるようになったのです。それまでもマリオやカービィ、「がんばれゴエモン」シリーズなどなど空中移動が可能なゲームはたくさんありましたが、ここまで処理速度を維持したま自由に滑空(厳密にはゆっくり下降)することはできませんでした。この「滑空」によってDKコインやボーナスステージなど第三原則「やりこみ要素」の可能性がさらに広がったのも事実です。
●サントラはなんと90万円! 愛され続けるBGM
『スーパードンキーコング2』を語る上で「音楽」は欠かせません。デビッド・ワイズ氏が担当した本作のBGMはどれも名曲。なかでも「とげとげタルめいろ」のBGMは人気が高く、2008年発売の『大乱闘スマッシュブラザーズX』でも採用されたほど。驚くことに、本作のサントラCDは本記事執筆時点で898,789円のプレミア価格で取引されているのです。
* * *
ここまで偏愛たっぷりに『スーパードンキーコング2』こそスーファミのアクションゲームの最高傑作である理由を述べてきました。とはいえ、今回参照にした四原則を意識して他の名作ゲームをプレイしてみるとどれもこれも「完璧だ……」と驚かされるものばかり。改めてゲーム製作者の緻密な設計に敬意を表します。あなたのなかのスーパーファミコンの最高傑作は一体なんでしょうか。
(片野)
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