アニメ『エデン』の入江泰浩監督語る…「人間を憎むロボ」の発想は、誰もが通る道?
マグミクス / 2021年6月11日 18時10分
■物語には実社会の出来事にリンクした要素も
Netflixオリジナルアニメシリーズ『エデン』が2021年5月27日(木)から全世界に独占配信されています。同作は千年後の未来、ロボットだけが暮らす世界「エデン」で、2体のロボット、E92とA37に偶然発見された人間の女の子「サラ」の物語です。
監督は、2009年からの世界同時展開で多くのファンが熱狂した『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』を手掛けた、入江泰浩さん。サラの大冒険と独特の世界観を映像にまとめ上げた今回の仕事について、お話を聞きました。
* * *
ーー今作を手掛けることになった経緯を教えてください。
入江監督(以下敬称略) 以前から海外のイベントに通訳として同行してくださっている長谷川さんという方がおりまして、その方はエデンに共同プロデューサーとして参加しているのですが、2017年の末くらいに「ジャスティンという人がアニメの監督を探しています」と連絡がありました。資料をいただいて面白そうなのでお話を聞くことにしまして、その後正式に参加を決めました。
ーー物語の骨子はジャスティンさんが作られたのでしょうか。
入江 現在から千年たち、人類がいなくなり、ロボットの社会が構築された……といった詳細な構想はジャスティン氏が作りました。アニメのなかの出来事についても書かれていましたね。おおもとはジャスティン氏が作っていて、私たちスタッフがミーティングを重ねながら、サラを中心として、「サラから見たロボット社会」というアプローチでサラの成長を描くことが決まりました。
ーーストーリーについてこだわったところはありますか。
入江 脚本の段階で、物語の仕掛けやキャラクター同士のコミュニケーションのあり方についてアイデアが出ていました。ですが、場面によっては「面白いアイデアだけど尺を取りすぎるのでやめておこう」と判断するなど、ひとつの作品として筋の通るところにまとまるよう心がけました。
『エデン』の作品づくりについてお話を伺った、入江泰浩監督
ーーキャラクターの個性を描くという点では、どのような点を大切にされましたか?
入江 サラはロボット社会で唯一の人間なので、物語を引っ張るキャラにしなければいけません。良くも悪くも行動的で、自分からどんどん足を踏み出すキャラクターであってほしいと思いましたので、好奇心旺盛なキャラにしました。
ーーサラ役の声優・高野麻里佳さんにはどのような要望を出されましたか。
入江 高野さんは『灼熱の卓球娘』(2016年)の時にメインキャラを演じていただきました。『卓球娘』のときはこういうキャラだったけど、サラは行動的な子なので、そういうふうに演じていただければ……といったお話をして、あとは信頼してお任せしました。
ーー作中でサラの前に立ちはだかるロボット「ゼロ」は、人間は自然のためにならないという考えの持ち主です。この設定について、入江監督のお考えを聞かせていただけますか?
入江 ゼロの「人間は地球にとって必要ない」という考え方は極端ですが、多くの人が一度は考えてしまうことだと思っています。私も10代の頃はそういう思いを抱くことはありました。しかし、そういった考えは継続せず消えていってしまいます。それは多分、自分の身や近しい人に実際の被害がもたらされなかったからかなと。
でも、私もゼロのように身近なところで事件が起きたら、そういう思いに囚われてしまうかもしれませんね。そうならないことを願います。
人間を憎むロボットとしてサラの前に立ちはだかる「ゼロ」
ーーお気に入りのシーンを挙げるとするとどのシーンでしょうか?
入江 巨大なロボットを作品に出すという経験は、これまでありませんでした。今回、巨大なロボット同士の戦闘シーンを演出したことがとても新鮮で楽しかったです。
ーー『エデン』の視聴者と、作品に興味を持たれている人に向けて、メッセージをお願いします。
入江 本作にはいろいろなテーマや思いを込めていて、実社会で起きていることにリンクしている部分もあります。25分x4本で楽しめる娯楽作品としてうまく作れたと思います。ぜひ、楽しんでいただければと思います。
※Netflixオリジナルアニメシリーズ『エデン』は、2021年5月27日(木)から全世界に独占配信されています。
(マグミクス編集部)
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