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苦難の道を歩んだ「アッガイ」が進む、ゆるキャラへの道。MSだった面影はなくなり…?

マグミクス / 2021年6月12日 11時50分

苦難の道を歩んだ「アッガイ」が進む、ゆるキャラへの道。MSだった面影はなくなり…?

■弱さゆえに「ネタ」としてイジられる存在

「MSM-04 アッガイ」は『機動戦士ガンダム』(1979年)に登場した水陸両用MS(モビルスーツ)です。初登場は第30話。地球連邦軍本部「ジャブロー」での破壊工作のため、シャア・アズナブルに率いられて4機のアッガイが登場しました。

 後に設定された特徴としては、「MS-06 ザクII」からジェネレーターをはじめとして多くのパーツを流用され、水陸両用MSとしては生産性・運用コストの面で優れている。複座型であるため、水陸両用MSの訓練機としても使用された。ステルス性能が高いことから偵察任務に使われることが多い……とされています。

 武装は頭部に搭載された4門のバルカン砲。腕部はユニット化されており、アイアン・ネイル、6連装ロケットランチャー、メガ粒子砲とバルカン砲などが状況によって変更可能とされています。

 劇中では初登場にも関わらずほとんど見せ場もなく、アムロ・レイのガンダムに4機すべて瞬時に撃墜されていました。あまりに見せ場のなかったことから、MSとしての人気は当時あまり高くなく、好きだという人は少数派だったという印象です。

 放送終了後、大ブームとなったガンプラでの発売も遅く、発売直後は他の商品のように飛ぶように売れていましたが、供給が落ち着くと不人気なガンプラの仲間入りをしていました。

 また、アッガイを生み出す過程で作られたボツ設定となったMSたち、通称アッグシリーズがTVシリーズで登場したMSをすべてガンプラとして発売された後、あらためてデザインされて商品化しています。

 アッガイが他の作品に登場したこともありました。

『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)では、ハマーン・カーンが搭乗し、ジュドー・アーシタが乗ったMSM-07 ズゴックと戦っています。OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』(1996~99年)では、カレン・ジョシュワが搭乗するRX-79[G] 陸戦型ガンダムの頭部を破壊するという活躍を見せました。

 とはいえ、人気があって登場したというよりは、「ネタ」にされていた感じだったと思います。

 アニメではありませんが、ことぶきつかさ先生の描いたマンガ『いけ! いけ! ぼくらのVガンダム!!』では、ガンダムで戦う「ガンダムファイト」でなく、アッガイ同士で戦う「アッガイファイト」というパロディが掲載されていました。

 こういった風潮は後にゲームなどにも広がり、デザインをコミカルにとらえた動きなど、他のMSとは違ったアプローチで注目を集めはじめます。

 兵器であるはずのMSというよりも、ゆるキャラに近い可愛らしいというイメージが、次第にアッガイのセールスポイントになっていきました。

■まさかの「クマ化」で、可愛いゆるキャラの地位を固める

『ガンダムビルドファイターズトライ』では、アッガイがクマ化したうえに親子構成となった「ベアッガイF」が登場。画像は「1/144 HGBF ベアッガイF(ファミリー) 」(BANDAI SPIRITS)

 アッガイを最初にクローズアップしたのは誰でしょう? それは『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザインを務めた安彦良和さんでした。

 劇場版『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』のパンフレット裏表紙で、体育座りをするアッガイの上を跳び越すカツ、レツ、キッカの3人組のイラストを安彦さんが描いています。劇中でも3人組のコミカルなシーンとして描かれていましたが、それをはじめてアッガイを含めて描いたのは安彦さんでした。この影響でアッガイといえば「体育座り」という認識が広がります。

 また意外と知られていませんが、アッガイの1/144ガンプラ側面の説明文に「モビルスーツの中では最も可愛い。」という表記があり、メーカー側からもアッガイに対して最初から普通のMSとは違ったアプローチがされていました。アッガイの1/144ガンプラの発売日が1981年8月ですから、安彦さんの絵とほぼ同じ時期の話です。

 アッガイの魅力は他のMSと違ったアプローチで輝く……そのことにさらなる一歩を踏み込んだのが、OVA『模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG』(2010年)に登場した「GPB-04B ベアッガイ」です。

 アッガイの頭部をクマにしたことで、一気にぬいぐるみのクマを思わせるデザインになりました。それまでにもユーザー側でゆるキャラのようにする改造例はいくつかありましたが、メーカー側が主導することで「アッガイ=可愛い」というイメージが加速します。

 その結果、『ガンダムビルドファイターズ』(2013年)で「KUMA-03 ベアッガイIII(さん)」が生まれました。ベアッガイIIIでは頭部は完全にクマとなり、モノアイがなくなることで、もはやMSとは思えない可愛らしいデザインとなっています。

 このベアッガイIIIで人気は一気に爆発、続編である『ガンダムビルドファイターズトライ』(2014年)では「KUMA-F ベアッガイF(ファミリー)」が登場しました。

 ベアッガイFは親機「ママッガイ」と子機「プチッガイ」の2機構成。後にベアッガイ一家の長「パパッガイ」も加わり、ゆるキャラ化からファミリー化という、より大きな方角に舵を切りました。

 このベアッガイ人気は予想もしない方向にも暴走します。『ガンダムビルドファイターズ』EDでキャラがMSのコスプレのような姿を見せるのですが、そのなかのひとつ「チナッガイ」がガンプラとして商品化、そして配信アニメ『ガンダムビルドファイターズ バトローグ』(2017年)の第3話にも登場しました。

 さらにこの物語は、ベアッガイの余剰パーツであるアッガイの頭部パーツが怨念になるという、自虐的なパロディになっています。

 そして、いつの時代も成功者に続こうという風潮はあるもの。アッガイと同じ水陸両用MSのAMX-109 カプルをペンギン化した「PEN-01M モモカプル」というMSも登場しています。

 以上のように、本来の方向性とは違う形でアッガイは脚光を浴びました。今後も「可愛い」で道を切り開くであろうアッガイの行方を見守りたいと思います。

(加々美利治)

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