2021夏アニメ新作・人気声優勢ぞろいの3選 大人向けのブラックなテーマも

■ブラック企業にブラックおにいさん！？　懐かしい名作も！

　夏アニメが続々と始まりだす7月。今のうちに視聴作品を選んで、放送開始に備えたいですよね。「ひぐらし」「ラブライブ！」などビッグタイトルの続編も予定されていますが、新作アニメのラインナップも負けていません。そのなかでも、テーマやキャラクターが「ブラック」な、大人向けの新作夏アニメを3作品ご紹介します。SNSでも「これは傑作になるだろうな」「声優陣があまりに強すぎ」と評判です。

●『迷宮ブラックカンパニー』（2021年7月9日～放送予定）

『迷宮ブラックカンパニー』同名マンガ（著：安村洋平／マッグガーデン）を原作としたアニメです。原作は当初、ウェブコミック配信サイト「MAGCOMI」で連載されていましたが、2018年4月からは並行して月刊マンガ雑誌「月刊コミックガーデン」でも連載されています。不労所得でセレブプロニートとなった主人公が、突然異世界のブラック企業に迷い込み、なんとかして成り上がろうとする「社畜的ダンジョンファンタジー」です。

【あらすじ】
「働きたくない！」と努力してつかんだ不労所得で、セレブプロニートになった二ノ宮キンジ（CV：小西克幸）。「死ぬまで怠惰に暮らす！」と高笑いしていたキンジでしたが、ある日突然異世界へ転移し、とある企業で働く羽目に。鉱山での長時間にわたる肉体労働、理不尽な上司、プライベートのない社宅……。そこは、「超」がつくほどのブラック企業だったのです。さんざん見下していた「社畜」として働くキンジでしたが、それでも彼は諦めません。手段を選ばず、時に同僚まで巻き込み、かつてのニート生活を取り戻そうとするキンジでしたがーー？

「毎日が月曜日！！」という地獄のような煽り文句の本作は、「異世界転生もの」でありながら、ブラック企業の厳しさを存分に描いています。低賃金・長時間労働であるのはもちろん、「『やる気・元気・死ぬ気』で頑張りましょう！」「貴様らは人ではない！　ブタだ！！」と、ブラック企業ならではのクセの強い声掛けも。指示が矛盾している上司や手元に残らない給料など、会社員なら共感しやすいポイントが随所に見られます。また、ワニベ役に下野紘さん、迷宮アリA役に松岡禎丞さんと『鬼滅の刃』コンビも出演。会社帰りや夕飯時に、楽しく見られそうな作品です。この作品は、TOKYOMXやABCテレビで放送予定です。「dアニメストア」での地上波先行・単独最速配信が決まっており、ほかの配信サイトでも順次配信予定です。

●『NIGHT HEAD 2041』（2021年7月～放送予定）

『NIGHT HEAD 2041』ティザービジュアル　(C) NIGHT HEAD 2041 製作委員会

『NIGHT HEAD 2041』は、1992年10月から放送されカルト的人気を誇ったドラマ『NIGHT HEAD』をモチーフとした、オリジナルアニメです。原作・脚本は、ドラマ『NIGHT HEAD』の監督を務めていた飯田譲治さんが担当。キャラクターデザインは、マンガ『エア・ギア』・『化物語』（作画）を手掛けた大暮維人さんです。本作では、超能力を持つがゆえに迫害されている兄弟と、彼らを追う国家保安部隊の兄弟という、2組の兄弟の行く末を描いています。

【あらすじ】
　舞台は2041年、東京。サイコキネシスの能力を持つ霧原直人（きりはら・なおと／CV：小野大輔）と、リーディング能力を持つ霧原直也（きりはら・なおや／CV：島崎信長　※崎の字は立つ崎）の兄弟は、その能力のために国から追われていました。直人と直也を追うのは、国家保安部隊の黒木タクヤ（くろき・たくや／CV：櫻井孝宏）と黒木ユウヤ（くろき・ゆうや／CV：小野賢章）の兄弟。運命に翻弄される2組の兄弟は、決して出会ってはいけないーー。

　本作のタイトルにある「NIGHT HEAD」は、人間が使用していないとされる脳の約70％の部分を指しています。人間の持つ不思議な力はこの70％の部分に秘められているといわれており、望まない超能力を得た霧原兄弟は、この「NIGHT HEAD」に翻弄されていきます。ドラマ『NIGHT HEAD』は、2006年に『NIGHT HEAD GENESIS』としてすでにリメイクされていますが、根強いファンの声が本作の制作につながりました。かつてカルト的人気を誇ったドラマが豪華声優陣によりどう生まれ変わるのか、注目の作品です。この作品は、フジテレビ「＋Ultra」枠で放送予定です。動画配信状況は現在未定となっています。

●『うらみちお兄さん』（2021年7月5日～放送予定）

『うらみちお兄さん』キービジュアル　(C) 久世岳・一迅社／「うらみちお兄さん」製作委員会

『うらみちお兄さん』は同名マンガ（著：久世岳／一迅社）を原作としたアニメです。原作は第3回「次にくるマンガ大賞」の「Webマンガ部門」で第1位、2017年度の「WEBマンガ総選挙」の「インディーズ作品部門」で第1位を受賞。本作は、31歳の体操のお兄さんが不安定な情緒をなんとか保ちつつ、大人の悲哀を子どもたちに語るブラックギャグアニメです。

【あらすじ】
　表田裏道（おもた・うらみち／CV：神谷浩史）は、31歳の体操のお兄さん。教育番組「ママンとトゥギャザー」で、子供たちに優しい笑顔を振りまいていました。しかし、表田の通称は「うらみちお兄さん」。「しんどい」「つらい」「何もしたくない」というブラックな本音が、時々顔をのぞかせます。そのあまりにリアルな「裏の顔」に、子供たちもドン引き。しかし、社会の仕組みに絶望しても、表田は「期待に応えたい」と前を向きます。大人になったよい子に贈る「後ろ向き」の人生讃歌が、ここに誕生します！

「体操のお兄さん」という、明るく振る舞うべき仕事をしている表田。しかし、本番中にふと真顔になったり、朝目覚まし時計を止めては「朝が……来てしまった……」と絶望したり、疲れた大人のブラックさがにじみ出ています。その脇を固めるのは、空気の読めない歌のお兄さん・蛇賀池照（だが・いけてる／CV：宮野真守）や、結婚願望の強い歌のお姉さん・多田野詩乃（ただの・うたの／CV：水樹奈々）。明るく朗らかな教育番組と、それを支える疲れた大人たちのギャップに笑えます。同僚の着ぐるみペアの役には、プライベートでも仲の良い杉田智和さん・中村悠一さんペアが出演。声優陣の豪華さにも目を見張る期待作です。この作品は、テレビ東京やアニマックスで放送予定です。「dアニメストア」「Hulu」での配信も決まっており、ほかの配信サイトでも順次配信予定です。

＊　＊　＊

　ブラックな作品は、日頃の苦労やモヤモヤを吹き飛ばしてくれます。夏アニメの視聴リストにも、ぜひブラックな新作を入れてみてはいかがでしょうか。

※配信状況は記事掲載時点のものです。

（新美友那）