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ジャンプは本当に「アンケート至上主義」なのか? ライバル誌と比較

マグミクス / 2021年6月24日 11時50分

ジャンプは本当に「アンケート至上主義」なのか? ライバル誌と比較

■「ジャンプ」「マガジン」「サンデー」…アンケートの扱い方に違いはあるのか?

「掲載順が後ろということは……このマンガ、そろそろやばい?」
「週刊少年ジャンプ」の読者なら誰もが一度はそんな不安を感じたことがあるのではないでしょうか。「友情・努力・勝利」の三原則でおなじみの「ジャンプ」ですが、同時に「アンケート至上主義」の雑誌であることは一般にも広く認知されています。実際、同誌で連載された『バクマン。』(原作:大場つぐみ、マンガ:小畑健)ではどれだけアンケートで上位につけられるかを主軸としたドラマが展開されたり、劇中でも「ジャンプで続けるには、アンケートの結果が一番重要なんだ」といったセリフが登場したりします。果たしてどこまでが本当なのでしょうか? 本稿ではジャンプが「アンケート至上主義」と言われるようになった歴史や実情、「週刊少年マガジン」や「週刊少年サンデー」といった他の少年誌のシステムと絡ませつつ解説します。

●アンケート主義が誕生したのは「マガジン」「サンデー」が原因だった?

「ジャンプ」の「アンケート主義」(と呼ばれるもの)はいかにして誕生したのでしょうか。少年誌の王座に長らく君臨し続ける「ジャンプ」ですがその創刊は1968年で、「マガジン」「サンデー」の創刊はそれぞれ1959年。若干、出遅れた形でのスタートとなったのです。売れっ子マンガ家は他誌で連載を抱えており、頼みづらい状況。このままではいけない。そこで当時の編集部が積極的に力を入れたのが、今日の編集方針の礎ともなる「新人の採用」だったのです。とはいえ当然ながら新人漫画家の実力は未知数。原石を効率よく発掘するために採用されたのが「アンケート方式」でした。そしてこの方式は大当たり。発行部数653万部のギネス記録を誇る、名実ともに日本一の週刊少年誌に成長したのです。

●しかし…「アンケート”至上“主義」は言いすぎ?

 多くの天才マンガ家の発掘に成功した「アンケート方式」でありましたが、その合理性はしばしば唐突な“打ち切り”を生み、常に批判の声が上がっていたこともまた事実です。新連載投入スパンも短いため、一定数のファンを獲得していた作品が打ち切られることもしょっちゅうでした。(実際、ハガキを送っていた作品が打ち切られた時の悔しさはたまらないものがありました)。やはりこうした無慈悲にも思える打ち切りはアンケートの結果が全てなのでしょうか。編集部の意見はどうやら違うようで、いわく“アンケート順位だけで、すべて決めているわけでもない”とのこと。毎週、何万通以上ものアンケートハガキが届くので、集計すればそれなりに「信頼」のおけるデータが出ることは事実ですが、SNSが発達した現在においてアンケート以外の指標も採用されているようです。そうした意味ではアンケートを重要視していることに変わりはありませんが、“至上”主義でなくなりつつあるのでしょう。また人気がなくなったらテコ入れというのも通説となっていますが、これも作品によるようで例えば『チェンソーマン』(著:藤本タツキ)の担当編集の方は「アンケート結果に左右されて物語の展開を変えるようなことはしてほしくない」と発言しておられます。

●「マガジン」 も結構シビア?「サンデー」は独断?

 では「ジャンプ」がアンケート方式を採用するきっかけを作った、「サンデー」と「マガジン」の場合はどうなのでしょうか。「マガジン」の場合、2013年まで編集長を務められた森田浩章氏は「読者アンケートを見て判断しています」と意外にもシビアなアンケート主義であることを認めておられました。ちなみにマガジン編集部には「漫画編集者のための教科書 ―アンケートで1位を取る方法―」という教則本が伝わっているとのこと。一方、「少年サンデー」の現編集長である市原武法氏は掲載作品に関し「僕の独断と偏見と美意識で決めます」と就任直後に語っており、現在もアンケートを重要視しつも、ご自身の「手応え」を大事にしていらっしゃるとのことです。

「ジャンプ」が生んだ「アンケート主義」は少年誌カルチャーに多大なる影響を与えましたが、その潮目は今、徐々に変わりつつあります。新たな黄金期の胎動を、感じずにはいられません。

(片野)

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