懐かし「ワンダフル」枠の名作アニメ3選。有名声優を発掘した重要作も…!
マグミクス / 2021年6月24日 18時10分
■週刊少年ジャンプの人気作品をアニメ化
1990年代の終わり頃、TBS系列の深夜番組「ワンダフル」内で個性的なアニメ作品が次々と放送されました。当時人気の高かったマンガ作品を中心にアニメ化され、ファンの注目を集めていました。今回はそのなかで特に人気があった3作品を振り返ります。
●『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』
1998年1月5日から4月2日にかけて放送。全48話。うすた京介先生が「週刊少年ジャンプ」に連載し、大ヒットを飛ばしたナンセンスシュールギャグ作品のアニメ化です。
冒頭に出てくる注意文が「これから始まるアニメーションはやけに良識ぶった方、くそまじめ野郎、いい子ぶりっこは見る必要なし!!」と、完全に振り切れていました。さらに音声では「音量を小さくしてお楽しみください」「大音量でお楽しみください」と、正反対の内容が流されるなど非常に挑戦的な内容となっていました。
さらにオープニングではPENICILLINの「ロマンス」に合わせてさまざまなアニメのパロディシーンがテンポよく展開されていましたが、放送当時のインタビューによれば「時間が無かったための苦肉の策」という側面があったようです。
本編でも原作ファンから「いったいどんな描写をするんだろう?」と思われていたシーンを、大地丙太郎監督が見事な手腕で演出。特に第1話で必殺の「ラブ・ミー・ドゥー」を繰り出す一連のシーンは、深夜テンションで見ると腹筋に危険が及ぶほどの衝撃がありました。「ワンダフル」アニメの礎を築いた一作といっても過言ではないでしょう。
●『浦安鉄筋家族』
アニメ『浦安鉄筋家族(1)」DVD(バンダイビジュアル)
1998年6月30日から8月24日にかけて放送。全32話。浜岡賢次氏が『週刊少年チャンピオン』に1993年から連載した原作を元もとにアニメ化。なお原作はタイトルを変更しつつも2021年現在まで連載が続いています。基本的に1話完結で絶えず笑えるネタを提供し続けなければならないギャグマンガとしては驚異的な連載期間といえるでしょう。
アニメ化において、『浦安鉄筋家族』のような1話完結の短いストーリーでは間が持たないことが多いため、非常に難しいとされています。この難題に取り組んだのは「マサルさん」でも監督を務めた大地丙太郎氏。大地氏はショッカーO野氏によるナレーションや挿入歌を加えることにより、間延びさせずに尺を整えつつテンポよくギャグを展開し、原作の持ち味を引き出すことに成功しました。
しかし原作のパロディ要素が強い部分はさすがに手を加えないわけにはいかず、アントニオ猪木氏をモデルにした国会議員など、肖像権が関係するキャラクターの出番はカットされるかデザインの変更が行われています。
■2000年代の秋葉原の顔、後世に影響与えた重要作
●『Di Gi Charat』
アニメ「デ・ジ・キャラットにょ DVD-BOX 上巻」(バンダイビジュアル)
1999年11月30日から12月24日にかけて放送。全16話+スペシャル版+劇場版。ワンダフルアニメの最終作でもあります。
1990年代から2000年代にかけて秋葉原文化をけん引したブロッコリーのキャラクター企画「デ・ジ・キャラット」のアニメ化作品です。声優は公募で、主人公のデ・ジ・キャラットには真田アサミ氏が選抜されました。
このときのオーディションでは、その後膨大な数の作品で主役・準主役級を演じることとなる沢城みゆき氏が審査員特別賞を受賞し、でじこの妹分のプチ・キャラットで出演、アニメ声優としてデビューを果たしています。このときまだ素人同然だった沢城氏はラ・ビ・アン・ローズ役の氷上恭子氏の推薦で事務所に所属し本格的に声優の道を歩み始めたということもあり、もし本作がなければ、今の沢城氏は存在しなかったのかもしれません。『Di Gi Charat』には後につながる偉大な功績があるといえるでしょう。
作品内容としては、可愛らしいキャラクターとは裏腹に、荒くれもののでじこが目からビームを放ち、ぷちこは容赦のない毒舌を叩きつける、スラップスティックコメディとなっていました。林原めぐみ氏が演じた「ぴよこ」ことピョコラ=アナローグIII世も人気キャラクターとしてしばしばクローズアップされていました。
次の瞬間何が起こるのか分かるようで分からない、シュール極まりない作風には中毒者が続出し、高い人気を獲得しました。放送終了後も人気は衰えることなくスペシャル版として続編が作られ続け、劇場版も公開されています。
また、数多くの楽曲も発表されており、作中でもキャラクターがライブのように歌うシーンが存在するなど、現在では当たり前のように展開されているアニメキャラと歌を組み合わせた演出の先駆けとしても、非常に重要な作品といえるでしょう。
(早川清一朗)
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