「ジャンプ」作品の“小物感”ありすぎるセリフ4選 イキっちゃうと…

■小物セリフは勘違い由来が多い？

　どんなセリフを放ったかで“キャラクターの今後”がなんとなく分かってしまうことはありませんか。セリフは人物やシーンの雰囲気を左右してしまう大事な要素ですが、なかには思わずイキったり、喋りすぎたり、自画自賛しすぎたり……“あぁ、やられるな”と思わずにいられない小物感たっぷりのセリフを与えられたキャラたちもいます。そんな彼らを「週刊少年ジャンプ」掲載作品から選出してみます。

●漏瑚「存外、大したことなかったな」

『呪術廻戦』に登場する敵側幹部である漏瑚（じょうご）は、“ザコカワイイ”と密かに人気を集めています。火山のような頭部を持つ小柄なキャラクター、作中での強さはトップクラスです。それにも関わらずザコのイメージが強いのは、チート級のキャラとばかり戦っているからでしょうか。

　なかでも読者へのインパクトが強いのは、作中最強キャラである五条悟とのバトル。漏瑚の奇襲によって、一撃で仕留めと勘違いしたところで「存外　大したことなかったな」のひと言。その後も同じパターンの勘違いで「こんなものか…」のセリフを披露していますが、最終的には五条の強さは圧倒的で首を引っこ抜かれ敗北してしまいました。原作マンガでは2巻と早めの敗北だったことに加え、後にもうひとりのチート級キャラ・宿儺に弄ばれてしまうため、漏瑚＝弱いと言うイメージが尾を引いてしまいました。

●ラオウ「今日からこのおれを愛するのだ！！」

　強者といえばラオウとも言える存在ですが、しばしば小物感あふれるセリフを披露することでも有名です。例えばサウザーの挑発に対して「おごるなサウザー！！　きさまの体の謎はトキが知っておるわ！！」というもの。百戦錬磨のラオウが自分で解決できない事案に直面し、思わず人任せにしてしまったシーンでした。

　さらにユリアを巡ったケンシロウとの恋愛バトルでは、「ケンシロウを捨てろ！！　そして今日からこのおれを愛するのだ！！」と力任せの粗暴な一面をみせます。それでもユリアからは「なにをバカな！！」と一蹴され、さらにトキからなだめられる始末です。

●赤末有人「お前の命を頂戴する男さ」

『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』に登場する暗殺者のひとりが赤末有人（あかまつ・あるんど）。ボサボサのちょんまげと、額・口元にある大きな縫い傷が特徴のかなりの強面キャラです。一方で、作中屈指の“かませ犬”キャラとしても一部で熱狂的人気を誇っています。主人公の緋村剣心を殺すため、おびき出したところで不意打ちを仕掛けます。しかし見事にかわされた後に発したセリフが……「俺の鎖をかわすたぁ　流石は抜刀斎」「赤末有　お前の命を頂戴する男さ」。“勝つ宣言”をしたものの圧倒的な実力差に翻弄され、「勘弁してくれ」と降参……と思いきや、「なんて言うと思うか　このボケがァ！！！」のセリフとともに奇襲しますが、もちろん結果は敗北。戦闘前には自分の強さを豪語していただけに、終始小物に徹したキャクターでした。

●美しい魔闘家鈴木「千の姿と技を持つ…」

　霊界探偵の浦飯幽助たちが凶悪な妖怪たちを倒していく人気作『幽☆遊☆白書』には、とにかくナルシストなキャクターが登場しています。暗黒武術会編に登場したこのキャラクターは、試合前の自己紹介では「千の姿と技を持つ　美しい魔闘家鈴木！！」と名乗ったかと思うと、「私のことを人にしゃべるとき　名前の前に美しいという言葉をつけるのを忘れるな」とも指摘。“美”に対して異常な執着をみせます。

　さらに、このセリフ前後にも「お前たちは伝説の証人となる…」「私が優勝したあかつきには…」「お前も私の伝説の1ページに入れてあげよう…」などなど、とにかく喋るのが特徴。この間、読者は“やられ役”だと気付くわけですが、やられ方もド派手。鈴木が放った技が一切通用せず、6ページにわたって顔面が変形するほどタコ殴りにされてしまいます。

＊　＊　＊

　以上、4つの作品から登場シーンは少しだけというマニアックなキャラも選出しましたが、小物として活躍しすぎると『鬼滅の刃』の“サイコロステーキ先輩”など愛称をつけられる人も。しかし、ファンからは主要キャラ以上に愛される存在になっているのかもしれません。

（椎名治仁）