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『Zガンダム』信念のヒロイン、エマ・シーンの軌跡。最期まで世界のことを考えて…

マグミクス / 2021年6月30日 12時0分

『Zガンダム』信念のヒロイン、エマ・シーンの軌跡。最期まで世界のことを考えて…

■正義感が強すぎる面もみられたが…

『機動戦士Zガンダム』のメインヒロインは誰か?という話が、たびたびファンの間で論争になります。それだけ魅力的な女性、ヒロインの多い作品だからでしょう。順当に考えればファ・ユイリィだと思いますが、エマ・シーンを推す人も少なくありません。

 その最大の理由は、カミーユがZガンダムに乗り換えた後、前半の主人公機であるガンダムMk-IIのメインパイロットになったからです。それまでの富野由悠季監督作品では、前半の主人公機に乗った女性がメインヒロインだった……そういう理屈です。メインヒロイン論争はひとまず置いておくとして、エマがどんな人物だったのかを振り返ってみましょう。

 エマはもともと主人公側である「エゥーゴ」と敵対する「ティターンズ」に所属する軍人でした。しかし、ガンダムMk-II強奪事件で自分の信じていたティターンズに正義がないと知り、エゥーゴ側に投降します。

 その後、スパイ容疑もかけられますが、実直で裏表のない性格が認められ、晴れてエゥーゴの一員となりました。そして、パイロットとしてエゥーゴの主力メンバーになっていきます。主人公のカミーユ・ビダンにとって、頼れるお姉さんという立ち位置でしょうか。

 エマの行動を見ていると、とにかく正義感の強さと厳しさが目につきます。ある種の潔癖症と言ってもいいのかもしれません。間違ったことを許せない性格の持ち主という印象を受けます。それゆえにティターンズの暴挙に対してすぐに見切りをつけたのでしょう。

 その思いは個人にも向けられ、軍隊内では認められているとはいえ修正という名の体罰をたびたびカミーユやファに行っています。ただし、その後にやりすぎだった自分を反省するなど、女性らしい感性も持ち合わせていました。

 設定では軍人の家系で育った日系9世とありますから、とても厳しい環境で育ったお嬢様だったのかもしれません。そこを踏まえてみると、「~でなくて」という上品な言葉遣いで話す場面が目につきます。また、正義感が強くて頭に血が上りやすいというところは、江戸っ子気質と見れなくもないですね。

 しかし、後に制作された劇場版では前述した厳しさがやわらぎ、母性的で包容力のある女性という面が強調されていました。これはカミーユなども含めて、劇場版で方向修正された部分です。やさしい人が増えて全体的な空気感がやわらいだことが、劇場版でカミーユの精神崩壊を防いだ要因だったのかもしれませんね。

■その最期まで高潔な理念をもって

『Zガンダム』作中でエマが搭乗して活躍した、「RX-178 ガンダムMk-II」。画像は『RG 1/144 RX-178 ガンダムMk-II (エゥーゴ仕様)』(BANDAI SPIRITS)

 潔癖なエマがやわらいだ表情を見せることが多かったのが、ヘンケン・ベッケナーとのやり取りでした。一方的にヘンケンから思いを寄せられるエマ。普段はキリっとした雰囲気のエマが、年相応に困惑した表情を見せていたところが印象的でした。

 一方のヘンケンも強面で有能な指揮官であるにも関わらず、エマとのことになると急にポンコツなところを露呈します。そんなふたりのことを周囲がどれだけ暖かく見守っていたかということは、不幸にも最期の戦場で母艦ラーディッシュをガンダムMk-IIの盾にするという形でわかりました。エマのために艦を盾にしようとヘンケンに進言するクルーたちの姿。本作の中でも印象的だったシーンのひとつです。

 その撃沈するさまを見た直後に、いつも凛としていたエマがショックで呆けてしまうところも悲しさを増していました。劇場版ではふたりの関係はテレビ版に比べて良好だった感じで、エマの方からヘンケンに寄り添うシーンもあってよかったです。

 そして、エマと深い因縁を持ってしまったキャラがレコア・ロンドでした。

 理知的で思慮深い女性として、当初からカミーユやファのお姉さん的な立場にあったエマとレコア。しかし、レコアがティターンズに寝返ってしまったことから、ふたりの関係は一気に変わってしまいます。

 レコアの真意を図りかねていたエゥーゴ側のメンバーでただひとり、エマは彼女を殺すべきだと主張していました。それは行動理念がまったく違っていたとしても、裏切者であるレコアにエマは自分を重ねていたのかもしれません。だから余計許せなかった。彼女の潔癖さがそうさせたのでしょう。

 こうしてふたりは「裏切者」という肩書ながら、一方は理念という高潔な目的のため、一方は女としての安定を求めるという感情ゆえ、相反する気持ちで戦う因縁の関係となってしまいます。

 その結果、レコアを倒すことになってしまうエマ。しかし、不幸にもレコアの最期の言葉がエマを動揺させ、思わずコクピットを開けたことで残骸に激突して致命傷を負います。
そして、自らの死を悟ったエマは最期を看取るカミーユに対して、自分の命を吸って戦うよう叱咤激励しました。

 最期まで自分のことより世界のことを考えていたエマ。その高潔なる精神を見ていると、単なるヒロイン像とは違う魅力にあふれていたキャラだと思えます。

 余談ですが、当初の予定ではエマはグリプス戦争を生き抜き、次回作『機動戦士ガンダムZZ』にも出演する予定でした。ただ、物語途中で戦死する予定だったようです。もしそうなったとしても、エマはジュドー・アーシタに何かを託して消えていった。……そんな気がしてなりません。

(加々美利治)

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