鳥肌が立つ…ゲームのメタ演出3選 開発者からプレイヤーへ衝撃の告白も
マグミクス / 2021年7月18日 18時10分
■プレイヤーを一気に引き込む「メタ演出」の数々
ゲームの演出として、しばしば主人公ではなく、プレイヤー自身に語り掛けてくるという演出が取り入れられています。いわゆる「メタ演出」のひとつで、キャラクターが「ここで〇ボタンを押すんだ」と呼びかけたりするのもメタ演出です。
ニヤリとするジョークとして使われることもありますが、効果的なタイミングで、プレイヤーを一気に引き込む演出としても使われます。この記事では、そんな「メタ演出」のなかでも、鳥肌が立つほどインパクトのあるものを、3つピックアップしてご紹介していきます。
※本記事は『Undertale』『かまいたちの夜』『ドキドキ文芸部!』 に関するネタバレを多分に含みますので、未プレイの方はご注意ください。
●『Undertale』
初めにご紹介するのは、爆発的なヒットを記録したRPG『Undertale』。メタ演出が存分に組み込まれた内容で、プレイヤーたちに衝撃を与えました。
なかでも衝撃的なのが、あらゆる敵を軒並み倒しながら進めると突入する「Gルート」の存在です。「全員倒す」という条件は、やりこみプレイヤーが好奇心に駆られて2週目以降に挑戦しそうなことなのですが……「Gルート」に入ると、とにかくキャラクターたちの「死」がリアルなものとして提示され始めるのです。敵キャラを“倒す”というより“殺す”という感覚に変わってきます。
それでも心を曲げずに虐殺を続けると、最後に立ちはだかるのは、いつものんきにジョークを飛ばしていたスケルトンのキャラクター「サンズ」。そんな彼が、「主人公がセーブ・ロードしていることを知っている」と明かすのです。
サンズはずっと止めようとしていましたが、プレイヤーはリセットを繰り返しながら虐殺を止めない。サンズに残された手段は、「最強の敵」として主人公を殺し続け、プレイヤーを諦めさせることのみでした。
そして戦いのなかでサンズは、印象的なセリフの数々を口にします。
“しってるよ…おまえみたいなヤツのことは…”
“いいか わるいか なんて かんけい ないんだよな?”
“「できる」ってだけでやろうとするんだ”
“そう…「できる」ってだけで…やらずにはいられないんだ”
こうしたセリフは間違いなくプレイヤーに向けられており、好奇心だけで虐殺を続けてきたプレイヤーは、犯した罪の重さが背筋をつたうこと必至です。
■名作ノベルゲームに仕込まれた鳥肌級のメッセージ
●『かまいたちの夜』
続いては、チュンソフトから発売された名作ミステリーゲーム『かまいたちの夜』。本作は、小説を読んでいくような「サウンドノベル」というジャンルのゲームです。
このゲームの『宝探し編』をプレイしていると、ある場面で「ここで理せっとしろ」という縦読みが現れます。指示通りリセットすると……背景は突然まっ黒になり、BGMもストップ。そして、“わたしの名前は我孫子武丸。いや、そういう名前で知られている人物の陰にいる、本当の作者。それがわたしだ。”と名乗る人物からの長文メッセージが表示されます。
そして彼は、社員たちの目を盗みながらこの文章を書いていること、監禁状態で強制的に仕事をさせられていること、そして仕事が終わると同時に殺されるであろうことを告白するのです。
さらには、チュンソフトの社員はゲームに仕掛けを施し、「サブリミナル知覚」によって国民をコントロールしようとしているという、とんでもないことまで書かれています。
安心していただきたいのですが、これらの一連のメッセージはゲームの一要素として仕込まれたもの。もちろんチュンソフトも健全な会社だったはずです(現在はスパイク・チュンソフト)。
知っていて読めば笑い飛ばせるかもしれませんが、本当に偶然発見した人は、とてつもない衝撃を受けたに違いありません。
●『ドキドキ文芸部!』
最後は、衝撃的な展開で注目を集めた『ドキドキ文芸部!』。いわゆる「ギャルゲー」と言われるジャンルで、高校の文芸部でハーレムとなった主人公が、魅力的な女の子たちの交流を描く作品です。
文芸部に所属する女の子は、幼なじみのサヨリ、引っ込み思案なユリ、ツンデレ気質のナツキ、才色兼備な部長のモニカの4人。彼女たちと楽しい生活を送っていくのですが……ある日、幼なじみのサヨリがうつ病だということを告白。症状の悪化を心配して家に駆けつけますが、彼女はすでに首を吊っていました。
この後、2周目を始めることになりますが、スタート画面は崩れ、音楽も不気味に。ここから初期の雰囲気は完全に壊れ、サイコホラーと化します。2周目ではサヨリは消え、ナツキルートとユリルートの分岐を選ぶことになりますが、どちらも精神的にくる展開です。
そしてゲーム終盤では、部屋の中でモニカと1対1で向かい合う場面に。そこでモニカは、「自分がゲームのキャラクターと自覚している」ことを明かします。自身の存在に虚しさを感じていたモニカは、ゲームを改変し続け、この空間に主人公を呼び込みました。
その目的は、“プレイヤーに愛の告白”をすること。モニカにとって、外の世界にいるプレイヤーこそが希望の光だったのです。強制的に「はい」を選ばされた後、彼女は「ずっと二人きりでいられるわね」と発言。その後は、文字通り“永遠”に雑談をし始めます。まさに鳥肌モノのメタ演出と言えるでしょう。
(古永家啓輔)
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