理不尽な難易度・ファミコンのタレントゲーム3選「コントロール不能」「運が全て」
マグミクス / 2021年7月27日 7時10分
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■クリア困難な激ムズ「タレントゲーム」の思い出
1983年7月に産声を上げ、家庭用ゲーム市場の黎明期を勢いよくけん引した「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)。そのソフトラインナップは1000本を上回っており、アクション・RPG・アドベンチャー・スポーツ……などなど、ジャンルも多岐にわたっています。なかには、芸能界で活躍している有名人を扱った「タレントゲーム」と呼ばれる作品もあり、1980年代の中盤あたりから数多く見かけるようになりました。
この記事では、数あるファミコンのタレントゲームにおいて、特に難易度が高く、クリアが難しい作品をご紹介します。
●『カケフくんのジャンプ天国 スピード地獄』(1988年)
最初に取り上げるのは、1988年7月22日に発売された『カケフくんのジャンプ天国 スピード地獄』です。主人公を務める「カケフくん」は、クイズ番組『所さんのただものではない!』(フジテレビ)の出演をきっかけに一躍人気となった少年子役。本作のパッケージにも、表面の3分の1を埋める割合で大きく登場しています。
ゲームシステムは『スーパーマリオブラザーズ』(1985年)をほうふつとさせる、横スクロールアクション。プレイヤーはカケフくんを操り、「ぽこにょっこり王国」(ゲーム内の舞台)の王様を救うために計21ステージを奔走。病気に効く薬草を7つ集めた時点でクリアとなり、エンディング(マルチエンド方式)が現れる……という仕組みです。
しかし、エンディングまでたどり着くどころか、「最初の数ステージをクリアするのも難しい」というのが正直な感想。タイトル名の通り、カケフくんの基本アクションはジャンプ+ダッシュがベースとなっていますが、移動中のスピードの制御がとにかく困難。走り始めは遅い反面、スピードがある程度まで上昇すると、もはやプレイヤーがコントロールできない程までに突っ走ってしまいます。最高速度から大ジャンプを強いられる仕掛け(画面を越えて上方向にスクロール)もあり、初見プレイでサクサク進むのは現実的ではありません。加えて、最もゲーム内評価が高いグッドエンドを見るためには、ゲームを起動してから3時間以内に21ステージを攻略しなければならなかったのです。カケフくんを完璧に制御し、なおかつ各ステージの仕掛けを頭に叩き込んでやっとクリアできる。そうした意味で本作は、紛れもない高難度タレントゲームと言えるでしょう。
●『たけしの挑戦状』(1986年)
おそらくファミコンのタレントゲームのなかで最も有名な作品と言えば、今なおご活躍される芸能界の大御所、ビートたけし氏が携わった『たけしの挑戦状』ではないでしょうか。ゲーム内容はプレイヤーが自由に行動してフラグを立てるアクションアドベンチャーの体裁を保っていますが、進行するための手がかりがほぼなしに等しく、完全な自力クリアはほぼ不可能。ストーリー上は「平凡なサラリーマン男性が非日常の世界(正確には宝探し)へ足を踏み込む」といった味付けがされているものの、宝を探すための手順が不明瞭なため、より難易度の高さに拍車をかけています。
本作で特にフィーチャーされがちなのは、「すなっく あぜみち」で発生するカラオケイベント。ここではIIコンのマイクに向かってプレイヤー自身が音声(息だけでも可)を吹き込む必要があり、3曲連続で最高評価を獲得しないと先へ進むことができません。1曲でも失敗すると、イベントを発生させる準備からやり直し。「あーなたーのたーめなーらどーこまーでもー」でおなじみ、本作のテレビCMで流れた楽曲「雨の新開地」もスナック内で選曲できますが、それよりも”難所”という印象が大きいイベントだったと思われます。
そんな『たけしの挑戦状』はタレントゲームにおいて珍しく、ファミコン以外の機種へ移植済み。バーチャルコンソール版(Wii ショッピングチャンネルの終了に伴って配信停止)をはじめ、2017年度からはスマートフォン版(iOS/Android)もリリースされています。版権問題で移植が難しいタレントゲームですが、本作は時代を経てもプレイ手段が整っている貴重な存在と言えます。
●『マインドシーカー』(1989年)
最後に取り上げるのは『マインドシーカー』。1989年4月発売のコマンド選択式アドベンチャーゲームです。監修役に清田益章氏(エスパー清田)が関わっており、”超能力の育成”がテーマとして掲げられています。本編はゲーム内キャラクターとして登場する清田氏のナビゲートによって進行。独創的な雰囲気が漂うなか、プレイヤーは「超能力開発センター」と「サイCity」を舞台に超能力の発現を目指すことになります。
上記2タイトルは「難易度が高い」、「ヒントが少なく手順が分からない」といった難しさが伺える一方、『マインドシーカー』は「運要素が絡んだゲームシステム」が最大の特徴。ゲーム内のいたるところで「念力・透視・予知」といった超能力を伸ばすトレーニングに遭遇しますが、いずれもランダム演出が強く、安定して突破できる再現性の高い攻略方法は期待できません。プレイヤー自身が本当に”超能力を扱える”ならばいざ知らず、サイキック能力を持たない常人が完全クリアを目指すなら、どうあってもフィジカル(連射パッドのボタンを固定して放置)に頼らざるを得ないのが現実。「そんざいとは ちょっかんの だいめいし」、「げんごは はどうの ていちゃく」……といったエンディングメッセージも、奇天烈さを醸し出すのに一役買っていました。
玉石混交が目立つファミコン向けタイトルですが、ことタレントゲームはその傾向が顕著に目立つジャンル。今回ご紹介した3本を含め、思い出深い作品を振り返るだけでも十分楽しめるのではないでしょうか。
(龍田優貴)
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