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クリリンがいなければゲームオーバーだった? 現代人にも通じる、危機管理能力の高さ

マグミクス / 2021年8月17日 11時50分

クリリンがいなければゲームオーバーだった? 現代人にも通じる、危機管理能力の高さ

■意外と忘れているクリリン初登場時のイメージ

『ドラゴンボール』で孫悟空のもっとも親しい友人、親友というとクリリンを思い起こす人が多いことでしょう。今はお互いに親友と認め合うふたりですが、初めて出会ったときはクリリンが一方的に悟空を嫌っていたことは意外と忘れていませんか?

 悟空が亀仙人のもとで修業をするとき、ほぼ同時に弟子入りをしたのがクリリンです。その後、兄弟弟子として競い合うことになりますが、この時のクリリンは平気でウソをつき、小ずるくて嫌な奴というイメージが強くありました。しかし、修行が終わって天下一武道会に出場する頃には悟空と仲良くなって、以降は初登場の頃のような陰湿なイメージは消えています。

 これは武道だけでなく、精神の教育にも力を入れている亀仙流の修行の成果かもしれません。または悟空の魅力も要因になっている可能性もあります。その後に出会う悪役からライバルになった天津飯、ピッコロ、ベジータの変遷を見ると、最初に悟空の影響で真人間になったのがクリリンだとしても不思議ではありません。ベジータとの最初の戦いで、クリリンが脱出しようとするベジータが改心しないと言ってとどめを刺そうとしたことも、自分の体験から基づいているとすれば納得のせりふです。

 そう思うと、もっとも早く悟空の影響で真人間になったクリリンが、もっとも成長したキャラとなったのは当たり前のことでした。それゆえに初見のイメージは微塵も感じさせないキャラに成長したのでしょう。

 ちなみに鳥山明先生が連載終了後に明かしたところによると、クリリンを最初はレギュラーにするつもりはなく、一度きりのキャラとして名前も適当に付けたとコメントしていました。描きながら先の話を考えるというスタンスの鳥山先生ならではのエピソードですね。ちなみに担当声優の田中真弓さんは、劇場映画『銀河鉄道の夜』のジョバンニの演技を見た鳥山先生からの指名だったそうです。

 クリリンというと、作中のメインキャラで初めて死んだことでファンに衝撃を与えました。さらにメインキャラで餃子と同じ3回の最多死亡数も記録。しかもアニメもカウントすると、マンガ原作の続きである『ドラゴンボールGT』でも1度死んでいますので、死亡数は単独1位という不名誉な記録になります。しかし、そんなにクリリンは何度も死ぬほど戦士として弱いのでしょうか? ……いえ、そんなことはありません。クリリンはそれだけ命が危うい最前線で常に戦う戦士だからだと筆者は思います。

 そこで作品を紐解いていくと、他の戦士には持ち合わせていないクリリンだけの長所が見えてきました。

■クリリンがいなければGAME OVERだったかもしれない『ドラゴンボール』

 クリリンの優れた部分は、意外なことに一度死んだことで開花したのかもしれません。それこそが引き際の見極め、無理をせず生き延びることを優先する姿勢です。タンバリンに殺された経緯は分かりませんが、その後を見てみると、天下一武道会でピッコロと戦った際、自分の実力を出し切ったところで降参していました。ピッコロはうっかり殺してしまったと思うほどの一撃を受けたにも関わらずです。

 その後も、ほとんどの地球戦士が死亡したサイヤ人襲来を生きのび、ナメック星ではドドリアから逃げきり、人造人間17号と18号との初見での戦いでは唯一無事にやり過ごすことに成功していました。それはクリリンが臆病だからというわけでなく、現状を把握してもっとも有効な手段を模索した結果なのだと思います。

 クリリンは、この最前線で生きのびるという方法で修行以上に効率のいいレベルアップをしてきたのでしょう。よく比較されるヤムチャは、クリリンがナメック星にいる間は界王星で修行していました。一方のクリリンはナメック星の最長老の手で力を限界まで引き上げたに過ぎません。どちらがより効率的か不明瞭ですが、結果的にヤムチャ自身がクリリンを地球人最強と認めています。それを考えると、実戦に優る修行はないと考えられるかもしれません。

 また、この状況判断の的確さは自分の実力を正確に把握していることから始まっているので、クリリンの強さはメインで戦うことよりも、サポートに徹することができる部分にあると思えます。よく使われる太陽拳などがその最たる例で、悟空やベジータたちサイヤ人が自分の力だけで敵を倒そうとすることと真逆で、パーティプレイに徹した戦闘をすることで結果的に味方全員の生存率を上げることができるのでしょう。思えばナメック星での戦いはクリリンの判断で窮地を切り抜けた盤面が幾度かありました。

 ……かといって、クリリンは逃げ回っているだけではありません。逃げ切れない場面では反攻に転じますし、18号をセルに吸収された時は怒りに任せて果敢に戦っています。実に男らしい決断もできる戦士の面も持ち合わせていました。

 クリリンの「無理をしない」「自分の力にあった活躍に徹する」というのは、個人主義の多い作中では異端ですが、現代人にも通じる危機管理能力の高さ、センスのいいダメージコントロールなのかもしれません。そのうえで「やる時はやる」という男らしさも持ち合わせているので、あの18号がほれ込むのも無理のないこと。それでも死亡してしまうのは、それだけ『ドラゴンボール』の世界が危険だということなのでしょう。

(加々美利治)

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