新番組『仮面ライダーリバイス』に受け継がれる? 「悪魔」主役の特撮2作品が残したDNA
マグミクス / 2021年8月22日 7時10分
■「悪魔」といえば…東映特撮番組の原点
2021年9月5日(日)から放送開始予定の令和仮面ライダーシリーズ『仮面ライダーリバイス』は、「仮面ライダー生誕50周年記念作品」であり、令和シリーズ第3弾の仮面ライダーとなります。
詳細な内容は明らかではありませんが、これまであまり使われたことのない「悪魔」というモチーフに期待と不安があるのか、SNSでの注目はかなり高いものになっている模様。そこで、この「悪魔」というモチーフについて、いろいろと考えてみようと思います。
悪魔というと名前の通り、悪いイメージがあり、敵側ではよく使われているものの、正義側のイメージはあまりありません。しかし、『仮面ライダー』の始祖ともいえる特撮作品もまた、悪魔の力を使って人間を守って戦うヒーローでした。
その作品こそ『悪魔くん』です。原作は水木しげる先生のマンガで、それを東映の平山亨プロデューサーがTVドラマ化したものでした。この平山さんが後に『仮面ライダー』をはじめとする特撮作品を多く手掛け、70年代に「変身ヒーローブーム」を巻き起こします。その平山さんが初めてTVプロデューサーを務めたことから、本作を東映特撮TV番組の始祖と位置づける人も少なくありません。
この『悪魔くん』では、普通の小学生の男の子である主人公・山田真吾こと悪魔くんが、悪魔メフィストを使って人間に災いをもたらす妖怪と戦う……という物語になっています。この部分だけクローズアップすると、昨今では「バディもの」と呼ばれるコンビで物語を進める展開になっていて、今回の『仮面ライダーリバイス』との共通点が見られますね。
ちなみに、特撮黎明期だった本作では原作マンガ以上に戦う敵がバラエティ豊かでした。基本的に妖怪という位置づけですが、人間大の怪人から着ぐるみを使った巨大怪獣的なものまで登場しています。当時の書籍でも妖怪と怪獣は同じもののように扱われていたので、そういう時代だったのでしょう。現代でも悪魔、妖怪、神話生物などは同一のものとして扱われることが多いので、黎明期だった当時に細かいカテゴリ分けがされていないことは仕方ないでしょう。
■早すぎた「悪魔」による仮面劇
東映特撮番組のルーツともいえる『悪魔くん』。画像は同作DVD1巻(東映)
悪魔が主役の特撮ヒーロー作品というと、昔からのファンは『アクマイザー3』を思い出すことでしょう。もっとも正確に言うと、登場するのは「アクマ族」であるので厳密には悪魔とは言えないかもしれません。この作品は変身ヒーローブーム末期だったことから、王道パターンと新境地開拓という、相反するものが同時に行われていました。
王道パターンといえば、「主人公が裏切者として、かつての仲間、同族と戦う」という『仮面ライダー』でも使われている石森章太郎作品によく見られた設定です。この部分は初期のシリアスな展開で色濃く描かれていました。
一方、意欲的な試みとしては、変身しないヒーロー、役者ではなく着ぐるみが主役の仮面劇にするというアイディアです。これは前述したように変身ヒーローブームが終わりに近づいていたことで方向性を模索していたことと、予算面から役者の出演数を削ろうとした試みでした。
そのため、主役キャラの表情が作れないという問題が起きますが、主役のザビタンやイビルに怒りや悲しみといった表情を表現する目を作り、それを場面によって使い分けることで感情を表現しています。この方法、同じく主役が着ぐるみだった『ロボット刑事』では色を変えるだけでしたが、前年に放送開始した『がんばれ!!ロボコン』で、ロボコンの目を場面により入れ替えた方式と同じでした。
また、着ぐるみの芝居を強化する意味で、声優陣のキャスティングに力を入れています。それまで特撮番組には出演していなかった井上真樹夫さん(ザビタン)と吉田理保子さん(ダルニア)という、アニメでは主演で活躍していた人気声優を起用、矢田耕司さん(イビル)、八奈見乗児さん(ガブラ)など、アドリブにも定評のあるベテラン声優が脇を固めていました。
本作は人気も高く、一定の評価を得た作品で続編である『超神ビビューン』が制作されています。当初、製作側はキャラの強化だけの予定でしたが、スポンサーから変身ヒーローものに戻すことを条件にされ、キャラを一新することになりました。同時期に子供たちから絶大な支持を得ていた『がんばれ!!ロボコン』というヒット作品があったにもかかわらず、こうした流れになったのは、まだ一般的には仮面劇への評価が低かったからでしょう。
ちなみに『アクマイザー3』は、劇場版『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』で『イナズマン』、『美少女仮面ポワトリン』とともにリデザインされて登場、悪役として仮面ライダーと戦っています。この時は、魔界にいる悪魔という設定でした。
『仮面ライダーリバイス』では、悪魔がどのように描かれるかまだわかりませんが、過去の作品に劣らぬ面白さ、楽しさを感じさせてくれるものと期待しています。
(C)2021 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 (C)東映・東映ビデオ・石森プロ (C)石森プロ・東映
(加々美利治)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』上映会 監督・脚本家・出演者を迎えトークショー、サイン会などを開催
@Press / 2024年9月10日 9時30分
-
『仮面ライダーガヴ』東京おもちゃショーに知念英和&日野友輔が登場 - カッコいい「変身ポーズ」のコツは?
マイナビニュース / 2024年8月31日 20時16分
-
仮面ライダークウガ、電王、エグゼイド、ビルド、ガッチャードが荒野に集結。『荒野行動』×『仮面ライダー』コラボイベント第2弾開催決定!
PR TIMES / 2024年8月31日 11時45分
-
【レビュー】『仮面ライダーガヴ』「DX変身ベルトガヴ」はガヴガヴアクションに注目! - 特撮ライターが遊んでみた!
マイナビニュース / 2024年8月31日 8時52分
-
『THE仮面ライダー展』鹿児島スペシャルアンバサダー松本麗世が『仮面ライダーガッチャード』で過ごした濃密な1年間をふりかえる
マイナビニュース / 2024年8月25日 7時50分
ランキング
-
1「ジャングルポケット」斉藤慎二 体調不良で活動休止発表、本人が申し入れ ぜんそく悪化で入院していた
スポニチアネックス / 2024年9月20日 20時4分
-
2「父親の野村萬斎に忖度しすぎ」TBS・野村彩也子アナの復帰も局の異例対応が物議
週刊女性PRIME / 2024年9月20日 17時0分
-
3「A.B.C―Z」塚田僚一がリハで腰を負傷「出来る活動は最大限」今後のツアーは演出を一部変更し出演
スポニチアネックス / 2024年9月20日 18時19分
-
4ジャングルポケット・斉藤慎二が当面活動休止 体調不良で
スポーツ報知 / 2024年9月20日 20時0分
-
5神田沙也加さん元恋人・前山剛久の復帰舞台、上演中止を発表「安全に上演することが難しくなった」
モデルプレス / 2024年9月20日 13時41分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください