『FFIII ピクセルリマスター』レビュー ファミコン版との違いは?
マグミクス / 2021年8月24日 17時10分
■ピクセルリマスター化で『FFI』~『FF III』が美麗に復活
2022年で生誕35周年に突入する国民的RPG「ファイナルファンタジー」(以下、FF)。その展開を担ってきたスクウェア・エニックスは6月、ファミコン及びスーパーファミコン期のタイトルを対象とした新シリーズ「ファイナルファンタジー ピクセルリマスター」を発表し、7月29日に『ファイナルファンタジー』~『ファイナルファンタジーIII』(以下、FFIII)まで、計3タイトルのピクセルリマスター版を発売しました。
この記事では、ファミコン最後のナンバリングタイトルとなった『FF III』にフォーカス。当時のテイストを踏襲した『ファイナルファンタジーIIIピクセルリマスター』(以下、FF IIIピクセルリマスター)をプレイした感想を元に、オリジナル版との違いや新機能についてご紹介します。
※レビューはスマートフォン版の内容に基づいています。
●バランス調整とアシスト機能で快適にプレイ可能
本作はスマートフォン(iOS/Android)とPC(Steam)向けに配信されており、オリジナル版のドット絵をリファインした「高精細なグラフィック」が大きな変更点として挙げられます。元は2Dのドット絵ながらも、色数が増えたことで鮮やかさが倍増。「FF」シリーズのデザイン関連を手掛けた天野喜孝氏のイメージを忠実に再現しているほか、より天野氏のデザイン案に近づけるべく、オリジナル版の見た目に手が加えられたNPCも存在します。
ちなみに、『FFIIIピクセルリマスター』のドット絵を監修したのは、ファミコン版からドット絵を一身に引き受けてきた渋谷員子氏。その職人芸と言うべきドット絵の描画テクニックは、30年以上経った今もなお色あせていません。テキスト周りのフォントもボヤけることなく、ゴシック体(日本語)で見やすく調整されています。
加えて言及しておきたいのが、ピクセルリマスター化にあたって施された「バランス調整」。オリジナル版にはキャパシティポイント(CP)なるものが存在していたため、ジョブチェンジ(転職)の際に一定の制限が設けられていたのです。
しかし、『FF IIIピクセルリマスター』はCPをシステムから撤廃。オリジナル版の制限を気にせず、プレイヤーの好きなタイミングでジョブチェンジが可能となりました。この調整に伴い、各種ジョブもステータス面で修正が加わった模様。例えば、ゲーム終盤のパーティー編成で常連の「賢者」は魔法の使用回数(MPに相当)が減少しています。また、プレイヤー陣営だけでなく、モンスター側も同様にステータスバランス・戦闘時の行動パターンが調整されたことで、オリジナル版よりも攻略パターンの余地が広がったように感じました。
さらに、本作にはゲームプレイを快適に進めるためのアシスト機能も実装済み。移動スピードを上げる「ダッシュ」、ダンジョンや街の地形を逐次チェック可能な「ミニマップ」、コマンドを繰り返して効率よく戦闘を行う「オートバトル」……などなど、攻略時に役立つ機能をひと通り搭載。そして場所を問わず進行状況を保存できる「どこでもセーブ」機能を使うことで、これまで長期戦を避けられなかったラストダンジョン(クリスタルタワー~闇の世界)も、任意で休憩を挟みながらプレイできるようになりました。
●観賞用としても優秀な各種オマケモード
本作はオリジナル版の良さを残しただけでなく、コレクターアイテムとしても優秀な側面を持っています。その要因たるモードが「ギャラリー」と「サウンドプレイヤー」です。
前者は天野氏の描いた各種イラスト(キービジュアル・キャラクターやモンスターのデザイン案など)が大量に収められており、ゲームを進めずとも全ての原画を自由に閲覧可能。後者は本編のBGMを鑑賞できる専用モードで、「FF」シリーズの楽曲を作り続けてきた植松伸夫氏によるアレンジバージョンが収録されているのです。いずれも過去タイトルをプレイしたことがないシリーズ初心者だけでなく、オリジナル版を熱心にやり込んだシリーズファンにとっても価値の高い鑑賞用モードとなり得ます。
『FF III ピクセルリマスター』は過去のリメイク版の追加要素こそ収録されていないものの、オリジナル版のストーリーをしっかりと踏襲しつつ、”遊びやすさ”に着目して作られたように見受けられます。思い出を補完したいリアルタイム世代のプレイヤーならなおのこと、当時の体験と照らし合わせつつ、美しく生まれ変わった”2DドットのFF”に思いを巡らせる……といった遊び方がオススメ。豊富なアシスト機能によって快適さも増しているので、「ファミコン世代ではないけどFF IIIに興味がある!」といった方でも手に取りやすいと思われます。総じて本作およびピクセルリマスター版は、過去の「FF」シリーズを気軽に味わう上で最適の一本となるのではないでしょうか。
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(龍田優貴)
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