「TYPE-MOON」アニメ3選 『Fate』原作の人気ゲームブランド

■世界観にも共通点が！？　印象的なTYPE-MOON作品3選

　2000年にコミックマーケットで発売され、10万本を超える異例の大ヒットを記録したノベルゲーム『月姫』。そのリメイク版『月姫 -A piece of blue glass moon-』（PlayStation4、Nintendo Switch）が、満を持して2021年8月26日に発売されます。『月姫』は同人サークル「TYPE-MOON」の制作によるもので、現在「TYPE-MOON」はゲームブランドとして「Fate」シリーズを手掛けています。『月姫』リメイクにちなみ、この記事では「TYPE-MOON」作品のアニメを3つご紹介します。SNSでも「心が20年前に戻った」「なぜ今まで見てこなかったのか……」と評判です。

●『真月譚 月姫』（2003年10月～放送）

『真月譚 月姫』は、ノベルゲーム『月姫』を原作としたアニメです。ゲーム『月姫』は同人ゲームにもかかわらず10万本を超える大ヒットを記録しており、そのアニメ化には当時話題が集まりました。12話で完結することから、設定はゲーム『月姫』のものから大幅に省略されていますが、その独特の世界観をつかむことができるでしょう。

【作品のあらすじ】
　遠野志貴（とおの・しき／CV：鈴村健一）は幼い頃、とある事件で一度死にかけます。それから志貴は、「モノ」が壊れやすい部分を「線」として認識できるように。その特別な眼「直死の魔眼」を抑えるため、志貴はとある女性からもらったメガネをかけ、一般人として過ごしていました。ある日学校から帰る途中の志貴は、美しい女性を見かけます。その途端、志貴の動悸は高まり、気がつけばふたりは近くの公園に。しかもふたりは血みどろで倒れていてーー？

「内包された死が見える」という、特殊な「直死の魔眼」を持つ志貴。世界観が『空の境界』と一部共通しており、志貴の名前は『空の境界』の両儀式から、外見は黒桐幹也から作られています。第1話から衝撃的な展開が繰り広げられ、視聴者を『月姫』の世界観に引き込む本作。オープニングテーマをはじめとしたどこか恐ろしく悲しげな楽曲は、『新世紀エヴァンゲリオン』の楽曲を手掛けた大森俊之さんが担当しています。なお、「ひぐらしのなく頃に」シリーズの知恵留美子（ちえ・るみこ／CV：折笠富美子）は、志貴の先輩であるシエル（CV：折笠富美子）をオマージュしたキャラクターです。そのため、現在放送中の『ひぐらしのなく頃に 卒』でも、スタッフロールに「TYPE-MOON」の文字を確認できます。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「U-NEXT」などで見ることができます。

●『CANAAN』（2009年7月～放送）

『CANAAN』画像はBlu-ray コンパクト・コレクション（ポニーキャニオン）

『CANAAN』は、サウンドノベルゲーム『428 ?封鎖された渋谷で?』のボーナスシナリオを原作としたアニメです。原作ゲームはその人気からPlayStation 4版やWindows版、iOS版などさまざまなプラットフォームに移植されています。「TYPE-MOON」は、原作のボーナスシナリオ2「カナン編」を担当しています。

【作品のあらすじ】
　舞台は魔都・上海。街では、盛大なお祭りが行われていました。そのお祭りをビルの屋上から見下ろしていたのは、闘争代行人・カナン（CV：沢城みゆき）。駆け出しカメラマンの大沢マリア（おおさわ・まりあ／CV：南条愛乃）とフリーライターの御法川実（みのりかわ・みのる／CV：浜田賢二）も、企画のために現地を取材していました。人々がお祭りでにぎわうなか、とある男が飛び跳ね、急に眼から血を流して死亡。近くにいたマリアは思わず写真を撮りますが、仮面の男たちに連れ去られそうになります。その瞬間、カナンはマリアの手を引いていきなり走り出しーー？

　今回取り上げた3作品のなかで、唯一海外を舞台としている本作。異国情緒あふれる美しい作画は、『Angel Beats!』『SHIROBAKO』などを手掛けたアニメ制作会社「P.A. WORKS」によって描かれています。謎の「ウーアウイルス」の脅威を背景に、カナンとマリア、犯罪組織「蛇」のボス・アルファルド（CV：坂本真綾）の、3人の運命が交錯。殺意は「青」に、恐怖は「緑」に見えるというカナンの「共感覚」は、「直死の魔眼」同様「TYPE-MOON」らしい設定です。ウーアウイルスの正体は何か、カナンの名前の由来は何なのかーー。絡み合う謎と個性的な登場人物たちの活躍で、最後まで飽きの来ない作品です。この作品は、「dアニメストア」「U-NEXT」「バンダイチャンネル」などで見ることができます。

●『劇場版　空の境界』（2002年10月～放送）

『劇場版 空の境界』第一章 俯瞰風景　(C)奈須きのこ／講談社・アニプレックス・ノーツ・ufotable

『劇場版　空の境界』は、小説『空の境界』を原作としたアニメです。『真月譚 月姫』と一部設定が共通しており、ほぼ同じ世界でありながらも、少しずれた平行世界が舞台となっています。劇場版アニメでありながら全7章＋終章と長めのシリーズで構成され、2013年には、本作を時系列順に再構成したテレビ版も放映されました。

【作品のあらすじ】
　モノの死を見ることのできる「直死の魔眼」を持つ、両儀式（りょうぎ・しき／CV：坂本真綾）。その魔眼は、交通事故での2年間のこん睡状態を経て、覚醒したものでした。日常生活に戻った式は、高校時代からの友人である黒桐幹也（こくとう・みきや／CV：鈴村健一）とともに、工房「伽藍の堂」に出入りしていました。そんなある日、ビルの屋上で少女たちの飛び降り自殺が相次ぎます。この不可解な事件について、「直死の魔眼」を持つ式は調査に乗り出します。式がこの事件に関わったのは、とある理由があってーー？

　シナリオライター・奈須きのこさんの緻密な設定と美しい作画が光る本作。「根源」「抑止力」などの独特な設定に加え、バラバラの時系列順で公開されており、難解かつ他にない魅力を放っています。アニメ制作会社は『鬼滅の刃』「Fate」シリーズを手掛けた「ufotable」。暗く悲しげな作品の雰囲気を、美しい作画で表現しています。『真月譚 月姫』はもちろん、「Fate」シリーズと一部設定が共通している部分も。『魔法少女まどか☆マギカ』『鬼滅の刃』などの音楽を担当した梶浦由記さん、本作品のために結成されたボーカルユニット・Kalafinaの手掛ける楽曲はどれも人気が高く、2021年07月にサブスクリプションサービスでの配信が解禁されて話題となりました。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「バンダイチャンネル」などで見ることができます（ただし、レンタル配信のみ）。

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　独特な世界観とよく練られた設定に、高い人気が集まっている「TYPE-MOON」作品。一部共通する設定があることからも、つい次の作品を見たくなってしまいます。『月姫 -A piece of blue glass moon-』の予習や世界観の復習に、見てみてはいかがでしょうか。

※配信状況は記事掲載時点のものです。

（新美友那）