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「MILLION TAG」優勝者決定! 藤田直樹&林士平タッグに聞く、挑戦の日々

マグミクス / 2021年8月26日 16時10分

「MILLION TAG」優勝者決定! 藤田直樹&林士平タッグに聞く、挑戦の日々

■「むしろこれから」「ただ頑張るだけです」

 集英社の編集者と個性豊かな挑戦者がタッグで挑む新漫画賞「MILLION TAG」の激闘の過程が、2021年7月からYouTube「ジャンプチャンネル」で公開されています。第1位に輝いた優勝者には、賞金500万円と「少年ジャンプ+での連載確約」「コミックス発売」「Netflix制作によるアニメ化」という、華々しいデビューの席が用意されています。

「4ページのマンガを描く」「読切ネームを描く」「能力バトルの読切ネームを描く」など数々の課題を乗り越え、「連載ネーム2話分」という最終課題を経て優勝したのは、クリエイターたちの青春ラブストーリー『BEAT&MOTION』を描いた藤田直樹さんと、『チェンソーマン』『SPY×FAMILY』などヒット作品を手掛ける編集者・林士平(りん・しへい)さんのタッグでした。

 どのようにして作品づくりに取り組んだのか、結果を受けての心境はどうだったのか、おふたりに話を聞きました。

* * *

──優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。

藤田直樹さん(以下、藤田):嬉しいです。最終課題はとにかく時間が足りず、悩んだ末に自分の描きやすいもので挑戦しました。最終課題で描いた『BEAT&MOTION』は、もともと音楽をする男女の物語を想定していましたが、林さんに内容を話したら、「片方をアニメーターにしたらどうか」と言われて……。

──主人公ふたりの職業は、そうやって決まったんですね。ネームを描くうえで悩んだことはありますか?

藤田:『BEAT&MOTION』は、職業軸と恋愛軸のふたつがあります。僕は放っておくとどんどん恋愛軸に寄ってしまうので、そうならないよう注意して、バランスがよくなるように意識しました。

──「MILLION TAG」の動画内で、最初の打ち合わせではダークファンタジーを描くことになりましたよね。出来上がったネームはまったく別のジャンルでしたが、林さんはそれを見てどう思いましたか?

林士平(以下、林):率直に、キャラとドラマは面白くなりそうだなというのが第一印象です。ただ、藤田さんには、とがった部分というか「今っぽさ」を足したいねとは話しました。ミュージシャンを目指す男女が切磋琢磨する物語は、ちょっと古典的だなと。

 それで、「片方をアニメーターにする」というアイデアを投げました。そのボールが、しっかり藤田さんに刺さったのであればよかったです。

──林さんは、今回の優勝という結果をどう受け止めていますか?

林:藤田さんがものすごくがんばってくれて、それが正しく評価してもらえた結果だと思います。とはいえ、実は藤田さんも僕も、優勝できるなんてさらさら思っていませんでした。課題提出の前日も当日も、「次の読切は何を描こうか」なんて話していたぐらいですから。普段のコミュニケーションも、優勝することを意識しない会話ばかりでしたね。

──林さんは動画内でも、つねに未来を見据えたアドバイスをしていましたね。

林:大半の作家さんは、連載までこぎつけるのに2~3年費やすものです。5~6年経過することだって珍しくありません。そうやって年月を重ねた先に、作品が売れる商売だと思って仕事をしています。

 藤田さんにも、お会いした段階で「優勝に固執せずどれだけ成長できたかが最も重要だ」と話しました。

──藤田さんは、「MILLION TAG」で成長したと思える部分はありますか?

藤田:今までとは違うチャレンジができたことです。僕が第2課題で描いた『真夏の曳航』は、沖縄を舞台にした物語です。普段から描きなれたものを手癖で描いた側面もありますが、最後にちょっとしたどんでん返しを入れたのは、僕にとって小さなトライでした。

 そのあと、第3課題の『ラブバトルベイビー』では、林さんとコメディをやろうと話して決めたんです。結果は出ませんでしたが、僕にとっては一番よかったです。最終課題も、コメディの路線を踏襲して描きました。

林:ここで負けても失うものはないので、あえて新しいジャンルにトライすることは常に意識しました。勝つことよりも、3週間をコメディにかけた時間のほうが重要だなと。『ラブバトルベイビー』は、仕上げた段階でゴールだと思っていました。

 ただ、今読み返してみると結構面白いんですよ。だから結果に対しては、「審査員とは感覚が違うな」と思っています(笑)。

藤田:僕も最近、ひとりで読んで笑っちゃいました(笑)。

■インプット漬けの行動習慣が培われた

藤田直樹さんが第2課題で描いた作品『真夏の曳航』の主人公、平山加奈のキャラ絵

──林さんは、「MILLION TAG」を走り抜けた今、どんな感想を抱いていますか?

林:連載が1度終わったくらいの感覚です。藤田さんとお会いしてからの約4か月、複数のネームを描いたり、たくさんコミュニケーションをしたり……この短期間で、藤田さんはものすごく成長しました。

 藤田さんは他誌で商業デビューされている方なのですが、僕は新人さんに接するようなスタンスで、漫画家として何を大事にすべきかを伝えられたと思いますし、藤田さんにもご理解いただけたかなと思います。

──「MILLION TAG」のなかで、印象深い出来事はありましたか?

林:僕としては「普通に仕事した」って感じがほとんどだったのですが、ある日藤田さんが「休日なのでサンシャイン水族館に行く」と話していたんですよ。サンシャイン水族館はスマホで予約が必要なんですが、彼はスマホを持っていなくて。結局行けずにふて寝したというのを覚えています。

藤田:あの後、無事に行けました(笑)。

──無事に行けてよかったです(笑)。そういえば、藤田さんが課題期間中に鳩を見に行ったとき、林さんに「そんな時間あるの?」とお話しされていましたね。

林:あのときは、締切まで時間がなかったので「今、考えるべきことはこれだよね」とか、「こう行動するといいよ」とアドバイスをしていました。もちろん時間に余裕がある休日はゆっくり休んでねと。根を詰めてもろくなことがありません。アイデアは、リラックスしているときに湧いてくるものなので。

──そうだったんですね。藤田さんは、「MILLION TAG」で日々の行動や習慣に変化はありましたか?

藤田:家に帰ると、必ず何か行動をするようになりました。「暇なことしていたらあかんな」と思って。これは林さんに牽引されたというか。「MILLION TAG」終了後には、集英社さんからたくさん本をいただきました。地元に帰ってからは、それをずっと読み漁っています。

 林さんもそうですが、今回お会いした作家さんから「連載が始まると、作家さんはたいてい『もっとインプットしておけばよかった』と感じる」というお話を聞きました。これは真理やなあと、我が事として意識しています。

 実は、「MILLION TAG」が始まるまで、まったく映画を観ていなかったんですね。東京で企画がスタートしてからは、「インプットを習慣化したほうがいい」と言われて、1日3本のペースで観て、さらに本も読むようにしていました。

■本当の挑戦はこれから

藤田直樹さんが最終課題で描いた『BEAT&MOTION』の表紙

──これから、「少年ジャンプ+」での連載やアニメ制作などが本格的にスタートします。これからの意気込みや心境などを聞かせてください。

林:「むしろこれからだな」というのが、今の率直な心境です。最終課題の『BEAT&MOTION』も、まだ満足のいくクオリティではありません。これから連載やアニメ化に向けて、全世界の人に届けられるレベルに持って行かなきゃいけないと感じています。

『BEAT&MOTION』は藤田さんという若い作家の思いがこもったデビュー作です。これから時間の許す限り、作品を面白くしていきたいと思っているので、ぜひ温かい気持ちで見守ってほしいなと思います。

藤田:作品は、世に出たタイミングで僕の手を離れます。それ以降、作品は観る人・読む人のものです。僕はただ、面白いと思ってもらえるよう頑張るだけですね。

──今後、『BEAT&MOTION』の物語がどう展開していくのか構想はありますか?

藤田:エピソードはいろいろ考えています。林さんからは「物語の最後を考えてほしい」と言われています。ここを考えないと、それ以外のストーリーを考えるのが難しいので。

林:青春モノの作品なので、夢を追いかける、男女の恋愛と青春という部分を、めちゃくちゃ面白くしたいなと思います。

* * *

「MILLION TAG」公式サイトでは、参加した6組の作品をはじめ、挑戦の過程を伝える動画コンテンツがまとめて掲載されています。優勝した藤田・林タッグはもちろん、他の作家についても今後の新たなチャレンジに期待が高まります。

(サトートモロー)

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