『スパロボ30』の主人公機「ヒュッケバイン」 現実にも「バニシング」した人気機体
マグミクス / 2021年8月27日 18時10分
![『スパロボ30』の主人公機「ヒュッケバイン」 現実にも「バニシング」した人気機体](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_60968_0-small.jpg)
■リアルロボットの代名詞として誕生した「ヒュッケバイン」
2021年10月28日(木)発売予定、新作『スーパーロボット大戦30』の発表で、ファンにとってセンセーショナルだったことは主人公機がヒュッケバインの名前を持った機体だったことです。いつもの『スパロボ』新作発表では参戦作品の発表が一番盛り上がるところでしたが、今回は主人公機が「ヒュッケバイン30」という発表が勝るとも劣らない注目を集めました。なぜヒュッケバインの登場が話題になるのか? ……まず、その歴史を振り返ってみましょう。
ヒュッケバインが初めて登場したゲームは、シリーズ5作目の『第4次スーパーロボット大戦』(1995年)でした。この作品からプレイヤーの分身である主人公が登場、その搭乗ロボがグルンガストとヒュッケバインです。ちなみにこの時から、「マジンガーZ」などの高い防御力と攻撃力を持つスーパーロボット系、「ガンダム」などの回避能力に優れた機体をリアルロボット系とカテゴリ分けすることが一般的となりました。
すなわち、スーパー系で使えるロボットがグルンガスト、リアル系で使えるロボットがヒュッケバインです。デザインは当時、ガンダムをはじめとするMS(モビルスーツ)のデザイナーとして頭角を現していたカトキハジメさん。設定は参戦ゲームによって変わっていきますが、動力源は異星人の技術であるブラックホール機関、その最強武装はブラックホール・キャノンでした。
その後、『新スーパーロボット大戦』(1996年)に登場するライディース・F・ブランシュタインが、かつてヒュッケバインの暴走事故で左手を失ったという設定が作られます。ゲームでは登場しませんが、この事故が原因でヒュッケバインに「バニシング・トルーパー」という異名が付くようになりました。
そして、『スパロボ』の本格的な第2シリーズとなったαシリーズ第1弾『スーパーロボット大戦α』(2000年)では、主人公をリアル系に選択した場合、前半搭乗機は「ヒュッケバインMk-II」、後半搭乗機は「ヒュッケバインMk-III」になります。ちなみにスーパー系の前半搭乗機として、対になるグルンガストMk-IIが登場していました。
このMk-IIIにはふたつの換装ユニットがあります。支援戦闘艇のAMガンナーと、強化外骨格換装パーツのAMボクサー。それぞれと合体した姿をヒュッケバインガンナー、ヒュッケバインボクサーと言います。
■リアルになったバニシング・トルーパー
ゲームボーイアドバンス用ソフト『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION』(バンプレスト)
その後、これまで『スパロボ』に登場してきたオリジナルのロボットが一堂に会したゲーム『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION』(2002年)が発売され、ヒュッケバインもこの作品に参加、いくつかのバリエーションと設定が付け加えられました。
一部は『α』からの設定ですが、ブラックホールエンジンを搭載した2機を「ヒュッケバイン008L/R」、通常型エンジンを搭載した「ヒュッケバイン009」が1機の合計3機が制作されます。この改修機で『α』にも登場した「ヒュッケバインEX」、009を大幅に改造した「エクスバイン」、ちなみにエクスバインはエクストラ・ヒュッケバインの略だそうで、この2機は同一の存在と言えるかもしれません。これが後述する理由から「アッシュ」、そして「エグゼクスバイン」へと形を変えていきました。
Mk-IIはもともと次期量産試作型という設定だったことから、「量産型ヒュッケバインMk-II」という機体があります。そういう意味ではヒュッケバインシリーズでもっとも出番があるけど、活躍が少ない機体と言えるかもしれません。
さらに前述したライの兄であるエルザム・V・ブランシュタインが、家紋を付けた黒い専用機である「トロンベ」として使ったヒュッケバインのバリエーションがいくつかあります。このほかにも量産型ヒュッケバインMk-IIがマシンセルで変異したベルゲルミルなど、細かいバリエーションも含めれば20機以上の種類がありました。
このように『スパロボ』オリジナル機体であるにも関わらず、サイバスターやSRXのように専用パイロットのいないヒュッケバインはバリエーションも多く、人気も高かったのですが2006年のある時期からゲームやオモチャ、雑誌などのメディア展開から一斉に姿を消してしまいます。
この時期の『スパロボ』の展開は、OVA『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION THE ANIMATION』(2005年)が発売されてスパロボ人気は高まってきたところで、続いてテレビアニメ『スーパーロボット大戦OG -ディバイン・ウォーズ-』(2006年)が10月から翌年3月まで放送されていました。
さらに『スパロボ』15周年記念として2006年に発売予定だった『スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS』が、「不測の事態で企画サイドの開発進行を一時的に中断せざるを得なくなった」というコメント共に翌年6月まで発売延期されます。これをして、ヒュッケバインに関する何かにトラブルが起こったことは安易に想像できますが、今まで公式から正式なコメントはこれ以上ありません。ただ、ファンからはヒュッケバインのあだ名から皮肉って「リアル・バニシング・トルーパー」と言われるようになります。
ヒュッケバインが再び陽の目を浴びたのは、『スパロボ』25周年記念タイトルの『スーパーロボット大戦V』(2017年)でした。約10年ぶりの復活にファンが歓喜したのは当然でしょう。 そのヒュッケバインが主役機、しかも新バージョンで登場ということで『V』の時以上にファンが期待を寄せるのは当たり前なのかもしれません。
フィギュア付き限定版が早々に売り切れるなど、話題に事欠かない『30』ですが、その何割かは復活したヒュッケバインの人気だと思います。周年記念で登場することからも、そのことがよく分かるのではないでしょうか?
(加々美利治)
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