「ジャンプ」アニメ“神作画シーン”を描いたアニメーターたち ほとんどの日本人が見て育った?
マグミクス / 2021年9月1日 7時10分
■「ジャンプ」アニメを“神作画”で支えてきたアニメーターたち
「週刊少年ジャンプ」の人気作がアニメ化され、さらに人気にブーストがかかる、という流れができつつあります。その要因のひとつとなっているのは、“神作画”と呼ばれるアニメーションのクオリティの高さでしょう。原作マンガが素晴らしいのはもちろんですが、キャラクターの必殺技や爆風が躍動感たっぷりに動いているのを見ると、本能的にワクワクするものです。
そんな神作画シーンも誰かが1枚1枚描いているわけですが、担当しているアニメーターたちは、声優や監督に比べてあまり知られていないというのが現状です。この記事では、「ジャンプ」アニメの「神作画シーン」を、その担当アニメーターとともに紹介していきます。
●『僕のヒーローアカデミア』デクvs.オーバーホールの決着 原画:中村豊
超人気作の『ヒロアカ』ですが、アニメで“神作画”と名高いシーンと言えば、第4期におけるデクとオーバーホールの決着の場面でしょう。
壊理(えり)と協力することで疑似的に100%の力を引き出したデクが、肉体を怪物へと変化させたオーバーホールを、渾身のスマッシュで一閃。まさにクリティカルヒットという動きの気持ちよさで、飛び散る四角い破片やダイナミックなエフェクトも相まって、鳥肌モノのすさまじさがあります。
このシーンの原画を担当したアニメーターは、中村豊さん。かつては『カウボーイビバップ』『鋼の錬金術師』『ソウルイーター』など、スタイリッシュな格闘シーンを数多く担当してきました。
『ヒロアカ』ではほかにも重要シーンをいくつも担当しており、第2期のデクvs.轟、第3期の路上でのデクvs.爆轟、劇場版『2人の英雄』でのデクとオールマイトの共闘・決着シーンなども中村さんが担当です。こうして羅列してみると、何度も見返したくなる大興奮のシーンばかりで、中村さんの偉大さを実感します。
●『呪術廻戦』虎杖vs.花御での黒閃 原画:藤本航己
『呪術廻戦』はマンガの時点で人気がありましたが、アニメが公開されると、そのクオリティの高さで一大ブームとなりました。なかでも作画の面で印象的なシーンと言えば、虎杖が特級呪霊・花御に「黒閃」を叩き込んだシーン。
両者が対峙するなか、虎杖は「よだれが垂れているのにも気付かない」ほど集中の極地に達し……走り出した次の瞬間、空間は歪み、黒閃が炸裂。ヒット直前のタメ、稲妻のごとくほとばしるエフェクト、飛び散る水しぶきなど、全部が気持ちいい神作画シーンでした。
このシーンの原画は、藤本航己さんというアニメーターが担当しました。実は、虎杖の「逕庭拳」が初登場したシーンを担当したのも藤本さんです。マンガでの逕庭拳は、虎杖の手にまとう呪力の描写がもう少し簡素な印象でしたが……アニメ版では、筆で描かれた青い炎が揺らめくようなエフェクトで、ド派手なカッコよさがありました。
ちなみに藤本さんは、『チェンソーマン』ティザーPVにも原画として参加しています。本編でも参加するのかは分かりませんが、カッコいいアクションが多い作品なので、こちらも期待したいところです。
■国民的「ジャンプ」アニメで“神作画”を担当
●『ドラゴンボール超』悟空vs.ジレン 原画:志田直俊
ラストは、国民的作品である『ドラゴンボール超』より、悟空とジレンの決戦。それまで圧倒的な強さを見せつけていたジレンに対し、「身勝手の極意」を極めた悟空が全力でぶつかっていきます。
激昂した悟空が超スピードで突進し、顔面に右ストレート。その直後、とんでもないスピードで動きながら打撃を繰り出し合う両者。類を見ないほどのスピードで動き続けているにもかかわらず、作画のカクつきや誤魔化しがまったく感じられないという驚異的なアニメーションです。このシーンだけで一体どれだけの枚数を描いたのだろうか、と考えてしまいます。
このシーンを担当したアニメーターは志田直俊さん。初代のアニメ『ドラゴンボール』から原画に参加しており、まさにシリーズを支え続けてきた人物です。『ドラゴンボール超』では、ベジットブルーvs.合体ザマスも担当しており、このシーンもアクションの躍動感が尋常ではありません。
また、志田さんは『ドラゴンボール』のほか、『プリキュア』『ONE PIECE』といった国民的作品に参加してきました。もはや、ほとんどの日本人は志田さんの描いたアニメを見て育った、と言っても過言ではないほど偉大なアニメーターです。
(古永家啓輔)
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