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長寿人気アニメの悩ましい宿命 過去に起こった“声優交代劇”

マグミクス / 2021年9月9日 11時50分

長寿人気アニメの悩ましい宿命 過去に起こった“声優交代劇”

■小林清志さんが次元大介役から勇退

 アニメ「ルパン三世」シリーズで次元大介に命を吹き込み続けてきた声優の小林清志さんが、勇退を発表なさいました。小林さん演じる最後の次元は10月から放送が予定されている『ルパン三世 PART6』のプロローグエピソード「EPISODE 0 -時代-」となります。1971年に放送された『ルパン三世 PART1』から足掛け50年、ついに小林さんの次元に幕が下ろされる日が来てしまいました。2015年から2016年にかけて放送された『PART4』制作の際に声優陣が一新されることになり、長く石川五エ門役を務めた故・井上真樹夫さん(2019年に逝去)、峰不二子役の増山江威子さんが勇退するなか(銭形警部役の故・納谷悟朗さんは2013年に逝去)、改めてオーディションを受け直して新たに次元役を勝ち取った執念の持ち主である小林さんにも、ついに限界が訪れてしまったのでしょう。ご本人も「90歳までは演じたかった」とおっしゃっていて、勇退の際のコメントにも、無念が顔を覗かせています。本当に長い間、私たちに硝煙の匂い漂うカッコイイ男の姿を見せ続けて下さり真にありがとうございました。

 後任を務めるのは大塚明夫さん。かつて石川五エ門役(PART1のみ)を務めた大塚周夫さんの息子が新たな次元を演じるのも、何かの縁なのでしょう。長期にわたり放送されたアニメでの声優の交代は何かと物議をかもすものですが、大塚さんであれば多くの人が納得するはずです。大塚さん演じる新たな次元を見せてもらえるのを楽しみにしようと思います。

 さて、日本を代表する文化であるアニメでは、何十年も放送が続けられている作品が幾つも存在しています。キャラクターは歳を取らずとも人は年を取る以上、寂しい話ですが演者の交代はいつか必ず起こる出来事です。1969年に放送が開始された『サザエさん』ではサザエさん役の加藤みどりさんとタラちゃん役の貴家堂子さんのみが第一話から継続して演じておられます。いまも毎週元気な声を聞かせ続けてくださっていますが、長寿番組の宿命で、多くの交代劇が行われているのも仕方がないことなのでしょう。

■総入れ替えは是か非か

 近年においては2014年に磯野波平役の故・永井一郎さんが逝去したため茶風林さんが引き継ぎ、2015年には磯野フネ役の故・麻生美代子さん(2018年に逝去)が勇退し寺内よりえさんに後を託しています。フグ田マスオ役の故・増岡弘さんは2019年に引退され、2020年に逝去されました。残念ではありますが、見事な引き際だったように思えます。

 また、長くカツオの友人である中島役を演じておられた白川澄子さんは、ある日の収録に現れなかったため不審に思ったアニメスタッフが関係者と自宅を訪れたところ、風呂場で亡くなっていたのを発見されています。このような不幸な形で突然のお別れをしなければいけないこともあるのが、残念でなりません。

『サザエさん』のように、何らかの理由で継続できない場合に交代の方を入れるというのもひとつのやり方ではありますが、まったく異なるアプローチをとった作品も存在しています。それが『ドラえもん(テレビ朝日版)』です。

 1979年に放送が開始された『ドラえもん』は2005年3月の放送をもって、すべての声優を交代しています。それまでなじみのあった声が入れ替わる事態に賛否両論ありましたが、すでに16年が経過し、骨川スネオ役の故・肝付兼太さんやジャイアン役の故・たてかべ和也さんは既に鬼籍に入られています。また、ドラえもん役の大山のぶよさんもアルツハイマー性認知症を患い芸能活動は不可能という状況を踏まえれば、ある日突然ドラえもんの声が別人になる衝撃を味わうよりは、一斉交代の方がまだ英断だったのかもしれません。

 声優の交代にはそれまで親しんできたファンを失いかねないリスクが伴うため非常に難しい問題なのですが、『クレヨンしんちゃん』で主役声優の交代という大きな決定を下した事例も存在しています。26年と3か月のあいだ野原しんのすけ役を務められた矢島晶子さんは、「しんのすけの声を作る作業に意識が集中し、自然な演技ができなくなった」という理由で勇退し、小林由美子さんに席を譲りました。自身の代表作と言える役から降りる決断は、並大抵の覚悟でできることではありません。寂しい話ではありますが、ご本人の決断を尊重するのがファンにできる唯一のことなのです。

 長寿アニメの声優交代は、ケースバイケースであり何が正解なのかは分かりません。おそらく、今後も手探りで考えていくしかないと思われます。慣れ親しんだ声が別の方の声になるのは確かに違和感がありますが、できれば一方的な批判をするのではなく交代の理由を受け入れ、作品を楽しみ続けるべきなのではないでしょうか。

(ライター 早川清一朗)

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