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純白の乙女のようなMS「キュベレイ」 ガンダムシリーズに革新をもたらした装備とは?

マグミクス / 2021年9月13日 18時10分

純白の乙女のようなMS「キュベレイ」 ガンダムシリーズに革新をもたらした装備とは?

■キュベレイに最も必要だったものは「ハマーン」だった

 ジオン公国軍の残存勢力であるアクシズ(後のネオ・ジオン軍)のフラッグシップ機であるのが「AMX-004キュベレイ」です。パイロットはアクシズの実質的指導者である摂政のハマーン・カーン。『機動戦士Zガンダム』、『機動戦士ガンダムZZ』と、2作品にわたって登場し、『ZZ』では最後に戦う「ラスボス」として活躍しました。名前の由来は、アナトリア半島のプリュギアで崇拝されていた大地母神キュベレーと言われています。

 メカニックデザインは永野護さん。外見はシルエット重視でデザインしましたが、永野さんによると装甲を外した内部構造はザクをイメージしているそうです。ハマーンの搭乗MS(モビルスーツ)としてデザインされたことから、その際にエルメスの発展型、モノアイは2つ、ビット搭載といった設定が提案されました。そして機体には「LMES2」の文字が記されています。

 この「エルメスの発展型」というコンセプトは、そのまま機体設定にも生かされました。一年戦争時にニュータイプ用に開発されたMA(モビルアーマー)「MAN-08エルメス」を、MSサイズまで小型化するというコンセプトで本機の開発はスタートします。

 開発は一年戦争後にアクシズに合流したフラナガン機関関係者。その開発は5年もの長期にわたり、ひと足先にアクシズから地球圏に戻ったシャア・アズナブル(クワトロ・バジーナ)が本機を初めて見たときに名前を知っていたというシーンが劇中にありました。その時、シャアはキュベレイが完成したことで、当時のアクシズの生産力を推し量っています。

 しかし、開発が難航していたのはサイコミュ機能の小型化という面よりも、それを動かすパイロットという点でした。なぜならば、それほど高いニュータイプ能力を持つ者が限られていたからです。この問題を解決したのが、ハマーンという高いニュータイプ能力の持ち主がいたことでした。その結果、キュベレイはハマーン専用機となります。

 その後、グレミー・トト派が進めていたプルシリーズの運用が実用化され、量産化検討型の「AMX-004-2(AMX-004-3)キュベレイMk-II」。そのデータを基にした「AMX-004G (AMX-017) 量産型キュベレイ」を完成させます。しかし、パイロットがハマーンほどのニュータイプ能力の持ち主ではないため、これらのMSは本来のキュベレイに比べて性能をデチューンされていました。

■最新鋭機にも劣らなかった、先進的な性能のMS

ファンネルを展開する様子も再現できる、「ROBOT魂 機動戦士Zガンダム [SIDE MS] キュベレイ 塗装済み可動フィギュア」(BANDAI SPIRITS)

 キュベレイというMSで思い出される兵装は、やはり「ファンネル」でしょう。エルメスのニュータイプ用無線兵器「ビット」の発展型兵装です。ビットは核融合炉搭載型でしたが、ファンネルはそこをエネルギーCAP方式に改良、定期的に収納して再充填しなくてはなりませんが、小型軽量化に成功しました。そのジョウゴのような形状からファンネルと呼ばれるようになりましたが、後の同種の兵装が「ファンネル」という名前を引き継いだほど、革新的な兵装となります。

 キュベレイのファンネルの数は射出口から10基と設定されていますが、実際にはそれ以上の数が画面でも確認されていました。『ZZ』最終回のジュドー・アーシタのセリフから、ハマーンが最終決戦においてファンネルの数を必要以上に使っていなかったことがわかります。そこから推測すると、基本は10基だが、それ以上も搭載可能だと考えられるでしょう。

 そのほかの装備は、両腕に1門ずつあるビーム・ガン兼用ビーム・サーベルが合計2つ。左右の肩部バインダー内に格納された大型ビーム・サーベル。この大型ビーム・サーベルはグリプス戦役の最終決戦で百式相手にしか使っていません。

 このほかの武装はなく、MSの定番であるビーム・ライフルすら装備してないのは、それだけキュベレイ本体、そして主武装であるファンネルへの信頼性が高いと考えられます。ちなみにシールドは両肩のバインダーが、その役割を兼任しているとの記述が多くありました。装甲の表面には高品質の耐ビーム・コーティングが施されており、通常のビームであればほとんど防ぎ切ることができるそうです。

 このような高性能なMSゆえ、指導者であるハマーンを安心して搭乗させ、前線へと出撃させることができたのでしょう。実際に、その後にいくつもの最新鋭のMSが開発されていながらも、ハマーンが乗り続けたことでキュベレイの基本スペックの高さが証明されています。

 余談ですが、前述しているようにキュベレイはハマーンの専用機だったため、イメージ的にイコールで結び付けられることが多いMSでした。しかも女性的な曲線を持ったMSであることから、SDガンダムシリーズにおいて女性キャラとなることが多くあります。

 OVA作品『機動戦士SDガンダムMARK-IV 夢のマロン社「宇宙の旅」』では勝生真沙子さんが声優を務める女社長役でキュベレイが登場していました。相方のアッガイの声が池田秀一さん、お客のνガンダムの声が古谷徹さんという豪華キャスティングで記憶に残っている方も多いことでしょう。「キュベ、キュベ」という奇妙な掛け声が耳に残る作品です。

 さらに『SDガンダム外伝III アルガス騎士団』に登場の呪術士キュベレイ/モンスター メデューサキュベレイでは、ハマーンの声優でおなじみの榊原良子さんが声を演じていました。ちなみに榊原さんは同作で侍女ハマーンも演じています。他のSD世界のキャラでも活躍しているので、注目すると意外な姿になったキュベレイが見つかるかもしれませんね。

(加々美利治)

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