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1000回遊べた『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』 “中毒性”の秘密とは?

マグミクス / 2021年9月19日 8時10分

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■28年経っても衰えない”1000回遊べる”のインパクト

「1000回遊べるRPG」。

 1本のゲームをクリアするまでに数十時間を費やすことが珍しくなくなった今もなお、”1000回遊べる”というフレーズにはある種の力強さが感じられます。

 こちらは、1993年9月19日にチュンソフト(現スパイク・チュンソフト)が送り出した『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』(以下、トルネコの大冒険)のキャッチコピー。本作は国民的ゲーム「ドラゴンクエスト」(以下、ドラクエ)シリーズに新たな道筋を示しただけでなく、それまで国内ユーザーになじみの薄かった「ローグライクゲーム」(後述)を世に知らしめる偉大な礎となりました。

『トルネコの大冒険』の主役は、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(以下、ドラクエIV)に登場した商人「トルネコ」です。『ドラクエIV』で世界を救った勇者一行と分かれた後、「不思議のダンジョン」の存在を知ったトルネコは、地底の奥深くに眠る未知の財宝を入手すべく、地上で帰りを待つ家族の応援を受けながら単身でダンジョン攻略に出発します。

 主人公のトルネコを含め、ダンジョン内部で登場するモンスター、時おり入手できるアイテム類など、いたるところで「ドラクエ」の設定がしっかりと踏襲されている本作。しかし、肝心のゲームシステムはガラッと雰囲気が変わっていました。

 と言うのも、『トルネコの大冒険』は過去の「ドラクエ」シリーズと異なり、1980年に誕生したコンピュータRPG『ローグ』のテイストを色濃く受け継いでいたからです。ターン制をベースとしながらも、「ダンジョンのランダム生成」・「仲間の同行不可」・「ゲームオーバー時にレベルやお金を失う」・「空腹を満たさないと倒れてしまう」……などなど、さまざまな面で『ローグ』を意識した要素が取り入れられていました。

 以上の前提を踏まえた上で、プレイヤーには「不思議のダンジョンを攻略し、お宝を地上まで持ち帰ること」が使命として課せられています。最初は全10階の「ちょっと不思議のダンジョン」(難易度:やさしめ)からスタート。ダンジョンの歩き方が何となく分かってきた段階で、ようやく「不思議のダンジョン」(難易度:普通)への門戸が開かれます。

■中毒性の秘密は”プレイヤーの成長”にあり

 本作はそれまでの「ドラクエ」シリーズと違い、頼れる仲間もいなければ休息がとれる宿屋もなし。加えてターン制ということもあり、少しの不注意でダンジョン入り口に逆戻り……という展開も少なくありません。ましてや丹念に育て上げたトルネコが一瞬にしてリセットされる光景は、幾度となく体験しても慣れないつらさがあります。

 やられるたびにダンジョンの最初からやり直し。精神的な苦行を強いられているのは事実ですが、だからこそ、筆者は”己の成長”を力強く実感できると考えています。

 ゲームオーバー時にトルネコの成長状況や獲得したアイテム類を失うものの、プレイヤーが辛酸の末に学習した攻略方法までもが消えるわけではありません。ダンジョン内部の危険なトラップ(例:モンスターハウス)や凶悪なモンスターと遭遇してピンチを味わった分、「次は絶対に気をつけよう」と対処法が浮かんでくるのです。

 ダンジョン踏破に役立つ攻略テクニックに関してもしかり。例えば、腹減りを無効化する「ハラヘラズの指輪」が手に入るまで、腹減り速度を抑える「皮の盾」とほかの盾を交互につけかえて食料アイテムを節約する。撃破時に必ずアイテムを落とす「ベビーサタン」を狩り続けてレアアイテムを狙う……。こうした一連のテクニックの多くは、「もっと効率よくダンジョンを進みたい!」というプレイヤーの意思&経験知に基づいています。

 危険を察知するアンテナ、プレイヤーの腕前(経験・攻略テクニック)、多少の運。これらがバッチリと噛み合うことで、突破できなかった局面におのずと光明が差し込んでくる。本作は数多の苦難を乗り越えた先に、プレイヤー自身の成長(=ダンジョン踏破記録の更新)を確かに感じさせてくれました。

『トルネコの大冒険』はその後、PlayStationやPlayStation2向けソフトとしてシリーズ化。「ドラクエ」シリーズにおけるトルネコのキャラクター性を掘り下げると同時に、「風来のシレン」に代表される後続のローグライクゲームに多大な影響を与えることになりました。

(龍田優貴)

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