心の中で唱えたいRPGの回復魔法 傷が癒えるだけでなく、勇気もくれる
マグミクス / 2021年10月6日 14時10分
■伝説的RPGの回復魔法は勇気もくれた
オトナの毎日はなにかと疲れやすいもの。とくに季節の変わり目や昨今のコロナ禍には疲労MAXと感じている方も多いでしょう。エナジードリンクを飲んでもいっこうにシャキッとしない時……ゲーム好きなら心の中でこっそりと回復魔法を唱えたくなりませんか? そう、世界に平和を取り戻すために旅立ったRPGワールドには、傷ついた身体を癒やしてくれる回復魔法がありました。人気タイトルの回復魔法を振り返ります。
●『ドラゴンクエスト』の「ホイミ」
1986年に第1作が発売され、2021年で35周年を迎えた「ドラゴンクエスト」シリーズ。最新作は発売日未定ながら『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』と発表され、ファンの期待が高まっています。「ドラクエ」シリーズの回復魔法といえば、「ホイミ」。冒険のもっとも初期に覚える魔法ですが、第1作の『ドラゴンクエスト』をプレイしていて、初めて「ホイミ」を覚えたときの安堵感が忘れられないという人は多いのではないでしょうか。
なにしろ主人公である自分の最初のHPは、わずか13~15(第1作では初期能力は入力した名前によって決まりました)ばかり。戦闘能力の低いスライムと戦うのでさえおっかなびっくりで、傷ついたらすぐに町に戻って休まなければならないという、よちよち歩きの赤ん坊状態で旅を始めているのです。「やくそう」は持ってはいても、手持ちのゴールドに限りがあるのでそうそう気軽には使えない……そんななかレベル3に上がると、突然「ホイミ」を唱えられるようになるのです。その後のシリーズでは、一度に回復するHPも格段と多くなるものの第1作では15ポイント前後とやや心もとない感じは否めません。けれども「やくそう」にたよらず自分のスキルで回復できるのはなんとも安心感がありました。
回復魔法を得たことで、一気に世界が広がった感覚は、「ドラクエ」シリーズに限らず、全RPGプレイヤーたちの実感ではないでしょうか。回復魔法は身体を癒やしてくれるだけでなく、プレイヤーに勇気を与えてくれる魔法なのです。
ところでこの「ホイミ」というなんだかあたたかみのある魔法名は、ゲームデザイナーの堀井雄二さんが「身を守る」という感覚で命名したもので、「ホイミ」の「ホ」は“保温”や“保湿”の「ホ」、「ホイミ」の「ミ」は“身”の「ミ」というイメージなのだそうです。
■『FF』の回復魔法は攻撃にも使えた!
●『ファイナルファンタジー』の「ケアル」
『ドラクエ』と双璧をなすRPGのビッグタイトルといえば、初代『ドラゴンクエスト』の翌年、1987年に第1作が発売された「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズです。2017年には「最もタイトル数の多いRPGシリーズ」としてギネス世界記録にも認定されました。2020年9月に発表されたPlayStation5向けの最新作『ファイナルファンタジーXVI』はいまだ発売日未定ながら、ファンはプレイできる日を待ち焦がれています。
「FF」シリーズの回復魔法は、「ケアル」。攻撃系の魔法を「黒魔法」、回復系の魔法を「白魔法」とするFFワールドでは、「ケアル」は白魔法の基本中の基本です。名前の由来は明らかにはされていませんが、おそらく英語の「care(手当て)」「cure(治す)」をもとにした造語ではないかと言われています。
「ドラクエ」シリーズの「ホイミ」に相当する「ケアル」ですが、大きく違うのは、その覚え方です。「ドラクエ」ではレベルアップすると自然に覚えていきますが、「FF」の初期タイトルの世界では魔法屋で買って習得していくのです。タイトルによっては「魔法の本」や「魔法のオーブ」などのこともありますが、戦っているだけで自然に手に入るものではないのは同じです。「ドラクエ」の魔法が“宿る”イメージなら、「FF」の魔法は“修める”イメージといったところでしょうか。
「ケアル」は第2作以降では、ゾンビやシャドウなどのアンデッド系のモンスターに対してダメージを与えることもできるようになりました。生者を回復させる力はアンデッドには真逆に働くという事実(設定)は、なるほどと膝を打ち、ますます頼もしく感じたものです。
●詠唱したくなるカッコいい魔法も
2大RPGの他にも、胸に刻まれた回復魔法はまだまだあります。たとえば1995年の第1作『テイルズオブファンタジア』発売以来、次々と世界観を広げ、ゲームだけでなくアニメやマンガ、小説など広大なメディアミックスワールドを展開する「テイルズオブ」シリーズ。回復魔法は“応急手当”を意味する「ファーストエイド」ですが、アクションRPGと呼ぶ人もいるほど臨場感あふれる戦いのなかでは、これ以上ないほどピッタリのネーミングです。そして「テイルズオブ」ワールドでは、魔法をかけるためには詠唱が必要なのですが、これがカッコいいの極み! 「聖なる活力、此処へ!」「快方の光よ宿れ!」などの詠唱で「ファーストエイド」を発動するのです。これは自分にというよりぜひ、仲間にかけてあげたい魔法です。
そして、今では思い出す人も少ないかもしれませんが、かつて夢中になったゲームの回復魔法はやはり忘れられません。『貝獣物語』(その後『大貝獣物語』としてシリーズ化)の「ホスピ」、『ポポロクロイス』の「ヒールウォーター」、『ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙』の「パウ」など……。あなたは自分にどんな回復魔法を、かけてあげたいですか?
(古屋啓子)
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