【追悼】すぎやまこういち氏の本当のスゴさ 50代半ばで新たな世界に飛び込んだ
マグミクス / 2021年10月8日 7時30分
![【追悼】すぎやまこういち氏の本当のスゴさ 50代半ばで新たな世界に飛び込んだ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_64055_0-small.jpg)
■アニメ・ゲーム・特撮…多くの文化を音楽で支えた
作曲家のすぎやまこういち先生が2021年9月30日に亡くなったことが、スクウェア・エニックス公式サイトで発表されました。90歳でした。
生あるものはいつか死ぬ。誰もが知っている自然の摂理ですが、なぜか「この人はずっと生きているのではないだろうか」と思ってしまう方がおられます。故・すぎやまこういち先生はそのなかのひとりでした。亡くなられたことを今でも信じられませんが、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
1970年代から1980年代にかけて子供時代を過ごした方であれば、たとえ名前を知らずとも、すぎやまこういち先生の曲を浴びるほどに聞いていたはずです。
特撮番組を見ていたのなら『帰ってきたウルトラマン』のオープニングを。
アニメを見ていたなら『伝説巨人イデオン』の主題歌と壮大な劇伴を。
ゲームを遊んでいたならば『ドラゴンクエスト』のBGMを。
子供の時にはすぎやま先生の存在には気づかずに、大人になってから「あの音楽ってすぎやまこういちだったんだ!」と驚かされたことも一度や二度ではないでしょう。すぎやま先生の音楽は壮大で、勇壮で、始まりを知らせ、激しく戦い、時に物哀しく、そして終わりを告げる力がありました。すぎやま先生の音楽には物語があった。そう思えてなりません。
もちろん、すぎやま先生の功績はゲームやアニメだけにとどまりません。1950年代から70年代にかけて多くのミュージシャンに曲を提供してきました。ザ・ピーナッツ、藤浩一さん、ザ・タイガース、シャープ・ホークス、キャンディーズ、西城秀樹さん、そして先日80歳での引退を表明された橋 幸夫さんも……そうそうたる方アーティストがすぎやま先生とタッグを組み、多くの曲を世に送り出しています。
なかでも、ヴィレッジ・シンガーズの「亜麻色の髪の乙女」はヒット作として知られ、2002年には島谷ひとみさんがカバーするなど、長く愛される名曲として親しまれました。
■ドラクエに参加したのは50代半ば
すぎやまこういち氏は『ドラゴンクエスト』に参加した時点ですでに作曲家として確固たる地位を築いていた。画像は氏が主題歌を手がけた『帰ってきたウルトラマン』HDリマスター版(円谷プロ)
つまり、1986年に発売されたドラクエシリーズ第1作『ドラゴンクエスト』に参加した時点で、すぎやま先生はすでに作曲家として多大な実績を残していました。東京オリンピックの入場にゲームミュージックが使われるようになった現代から想像することは難しいのですが、当時のゲームミュージックは「ピコピコ」という言葉で形容されるように、重要視される存在ではありませんでした。
当時のエニックスからの依頼ですぎやま先生が制作に加わったとき、すでに他の方により音楽は全て完成しており、マスターアップも終了していたそうです。しかしプロデューサー判断ですべての曲を差し替えることになり、すぎやま先生はわずか1週間で作曲を行うこととなりました。『ドラクエ』をプレイした方なら誰でも知るファンファーレが印象的な「序曲」の作曲にかけた時間はわずか5分。50年以上の人生と経験を5分のあいだに集中させて生みだした名曲は、今も多くの人の脳裏に焼きついています。
あれから長い時がたち、初期の「ドラクエ」を遊んでいた子供たちは、社会の中核を担う世代となりました。実績をあげて昇進し、家族を持った方もたくさんいるでしょう。そのような状態で、50代半ばから新しい世界に飛び込める人はそう多くはありません。それでもすぎやま先生はやってくださった。私たちのために曲を作ってくださった。そこにすぎやまこういちという人物の偉大さと凄みを感じるのです。
すぎやま先生の曲は何度聴いても飽きません。歌謡曲でも、アニメソングでも、ゲームミュージックでも、どんな曲でも心のなかにしみ込んで、そのまま自分の一部になっていくような不思議な響きを帯びています。
おそらく、すぎやま先生の存在を知る方ならば、「これがすぎやまこういちの最高傑作だ!」と自信を持って推せる曲を持っていることでしょう。
筆者がまず挙げるのは、『ドラゴンクエストII』のエンディング『この道わが旅』。幼心に「ゲームの音楽ってこんなにすごいんだ」と教えてくれた曲でした。
そして『伝説巨人イデオン』のBGM「圧倒する力」。力強さとはかなさをあわせ持つ、奇跡のような曲です。エンディングの「コスモスに君と」も戸田恵子さんの美しい歌声と相まって、アニメソングの中でも傑出した出来栄えとなっています。
最後に中山競馬場のファンファーレ。有馬記念で響きわたる冬の空を貫く音が、1年の終わりを教えてくれます。
あなたのすぎやまこういちは、どの曲ですか?
ぜひ、聞かせてください。
(早川清一朗)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
『ドラクエ』伝説の魔王たちが大きいサイズのぬいぐるみに!りゅうおう、シドー、ゾーマが再受注へ
インサイド / 2024年6月25日 11時20分
-
『ドラクエ12』物語はロト関連?考察話題 1~3リメイク発売で堀井雄二「あっ!と驚く展開が待っています」
ORICON NEWS / 2024年6月20日 13時58分
-
『勇者アベル伝説』「打ち切りエンド」しか観ていないファン 第2部で描かれた結末とは
マグミクス / 2024年6月19日 21時25分
-
『ドラクエ3』HD-2Dリメイク、11月14日発売決定 1・2のリメイクは2025年に発売で映像公開【ニンダイ】
ORICON NEWS / 2024年6月18日 23時15分
-
胸元にメラ!『ドラクエ』×「グラニフ」コラボの“じゅもん100種Tシャツ”予約受付は6月17日まで
インサイド / 2024年6月15日 6時0分
ランキング
-
1人気VTuber、サイバー攻撃余波?で本名公表 問われる妥当性、それでも「認めざるを得なかった」理由
J-CASTニュース / 2024年7月4日 12時58分
-
2こ、これは……! Netflixで見られる“まさかの映画”に思わず二度見 「まさかネトフリでやってくれるとは!!」
ねとらぼ / 2024年7月4日 7時0分
-
3「鬼すぎない?」 大正製薬の広告が“性差別”と物議…… 男女の“非対称性”に「昭和かな?」「時代にあってない」
ねとらぼ / 2024年7月4日 18時32分
-
4老後の趣味で気軽に“塗り絵”を始めて1年後…… めきめき上達した70代女性の美麗な水彩画に「本当にすごい…」「感動です」
ねとらぼ / 2024年6月29日 22時0分
-
5都知事選で「YouTube」存在感増す 候補者30人がチャンネル保有、タイトルに個人名が急増──エビリー調査
ITmedia NEWS / 2024年7月4日 12時46分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)