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2021秋アニメ注目作『最果てのパラディン』 落ち着いた雰囲気の作品を好む方に

マグミクス / 2021年10月9日 17時10分

2021秋アニメ注目作『最果てのパラディン』 落ち着いた雰囲気の作品を好む方に

■不死者に育てられた少年の物語

 2021年10月から放送される数多くの「2021年秋アニメ」のなかで、注目作のひとつが柳野かなた氏(オーバーラップ文庫)の異世界ハイ・ファンタジー作品が原作の『最果てのパラディン』です。2021年10月9日(土)より、TOKYO MX、AT-X、BS日テレで放送が開始されます。

 私たちが住んでいる世界より、人と神とがずっとずっと近くにある世界、それが『最果てのパラディン』の舞台です。

正義と雷の神ヴォールト、大地の恵みと育児を司る地母神マーテル、炎と技術の神ブレイズ、風と交流の神ワール、水と緑の神レアシルウィア、文字の創造者知識神エンライト。そして生々流転や輪廻をつかさどる灯火の神グレイスフィール。

 主人公のウィルことウィリアムは、よどんだ水のような人生を過ごし、なすべきことを見い出せぬまま静かに死んだ人間の記憶を持った転生者として、この世界に生まれ落ちます。

物心ついたときには既に人の住まぬ廃墟の街にいたウィルを育てたのは、3人の不死者たち。スケルトンのブラッドとミイラのマリー、そしてゴーストのガスの3人は、実の両親や祖父のようにウィルをいつくしみ育てていくのです。

 ブラッドからは武術を、マリーからは生活の術と祈り、ガスからは学問を学び、日々成長していくウィルでしたが、やがてさまざまな謎に直面するようになります。なぜ3人の不死者たちが自分を育てているのか。なぜ自分が住んでいる街は廃墟なのか。滅びた街になぜ自分だけが生者として住んでいるのか。他の世界はどうなっているのか。

 自分が日々口にしているパンはどうやって手に入れているのか。

 ひとつひとつ、謎が解き明かされるたびにウィルは傷つき、打ちひしがれ泣き崩れます。しかし3人の不死者たちはそのたびにウィルを支え、励まし、叱咤し、ますます家族としての絆を深めていくのです。

 やがて迎えた15歳の春。成人を間近に控えたウィルは、思わぬ事態に遭遇します。愛する3人のために武器を取ることを決意したウィルでしたが、人を超えた存在との戦いに苦戦を余儀なくされるのです。3人から教え込まれ鍛え上げた力と技術、そして頭脳とほんの少しの救いによりかろうじてこの試練を乗り越えたウィルでしたが……。

 ここから先は、あなたの目で確かめてください。原作者の柳野かなた氏により描かれる、ウィルが「最果てのパラディン」と呼ばれるまでの出会いと別れ、人と神と世界のあり方、そして丁寧なキャラクター描写は落ち着いた雰囲気の作品を好む方なら必見と言えるでしょう。

■実績あるスタッフと豪華声優陣

著:柳野かなた、イラスト:輪くすさが『最果てのパラディンI 死者の街の少年』(オーバーラップ)

 今回、物語全体の流れを決める役職であるシリーズ構成を務めたのは高橋龍也さん。2008年よりTVアニメの脚本家として活動しており、2015年に『アイドルマスター シンデレラガールズ』で初めてシリーズ構成(監督の高雄統子さんと共同)を担当するようになります。2018年には『刀使ノ巫女』で原作者のひとりとして関与しつつシリーズ構成を担当し、その後も多くの作品で活躍されている高橋さんですが、かつてはゲームのシナリオを執筆していた時代がありました。

 代表作としては1990年代後半を席巻した『To Heart』が存在しており、アニメの脚本を始めた時、当時の活躍ぶりを知る人たちからは「あの高橋さんが脚本をやっている!」と一時話題になったほどです。マンガ原作者としても活動しており、「アイドルマスター」シリーズに登場する事務員の音無小鳥さんの若き日を描いた『THE IDOLM@STER 朝焼けは黄金色』など良作を送り出しています。『最果てのパラディン』でもらつ腕を振るってくれること間違いありません。

 また、声優陣も実力派が顔をそろえています。主人公のウィルに命を吹き込むのは河瀬茉希さん。2015年にデビューし2018年の『ひそねとまそたん』で初めてメインキャラを演じて以降、順調にキャリアを積み重ね、2020年の『くまクマ熊ベアー』のユナ役で初の主役を演じています。少年役で主役を演じるのはウィルが初めてとなりますが、きっと見事な演技を披露してくれることでしょう。

ウィルに武術を教えるブラッド役には小西克幸さん。いつもウィルの身を案じ食事を用意するマリー役には堀江由衣さん。厳しく学問を教えるガス役には飛田展男さんと、全員が膨大な数の主役級キャラを演じてきた実力者中の実力者ぞろいです。果たしてどのような世界でどのような物語が紡がれ、どのような声が命の響きを聞かせてくれるのか。それが分かるまで、もうすぐです。 

(早川清一朗)

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