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「庵野秀明展」が開催中。日本が誇るコンテンツの過去・現在・未来が詰まった展示

マグミクス / 2021年10月14日 7時40分

「庵野秀明展」が開催中。日本が誇るコンテンツの過去・現在・未来が詰まった展示

■「庵野秀明をつくったもの」も展示

『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』『シン・ゴジラ』など数多くの名作を手掛けてきた庵野秀明監督の展覧会が、2021年10月1日(金)から12月19日(日)まで、東京・六本木の国立新美術館で開催中です。

 入口付近に飾られた、仮面ライダーに扮した庵野監督の等身大パネルを眺めながら入場した人を待っているのは、「第一章 原点或いは呪縛」と題して展示される、「庵野秀明をつくったもの」すなわち庵野監督の過去を作り上げた数々のコンテンツと品々です。

 コンテンツエリアの前に展示されているのは、庵野監督に初めてメカニズムの概念を意識させた、お母様が使っていた足踏み式ミシン。コンテンツより先にミシンがあることに、庵野監督を生みだした原点中の原点がこのミシンなのだと訴える意図が見えてきます。

 壁には『モスラ』や『妖星ゴラス』、『宇宙大戦争』に『怪獣総進撃』など、そうそうたるタイトルの特撮映画の巨大ポスターや、『ウルトラセブン』に登場したウルトラホーク1号の図面や科学特捜隊基地の断面図などが飾られています。プラモデルや模型なども膨大な数が展示されており、『海底軍艦』の轟天号、等身大のウルトラマンやメカゴジラ、ジェットジャガー、ジャンボーグ9の頭部など、挙げていけばキリがありません。

 その他にも、ウルトラシリーズに登場した各種航空機や『サンダーバード』のサンダーバード2号、『バトルフィーバーJ』のバトルフィーバーロボなど、60年代から70年代生まれで特撮番組に夢中になっていた方は必見のアイテムがずらりと並べられています。

 さらに、庵野監督の原点となるマンガとして『ザ・ムーン』『バビル二世』『超少女明日香 明日香ふたたび』『ゲッターロボ』『マジンガーZ』などの原画と思われる資料が展示されています。

 壁を彩る『機動戦士ガンダム』のポスターの先に足を向けると、かつて庵野監督が夢中になった映像作品が同時に放映されています。1954年の映画『ゴジラ』に始まり1983年の『科学戦隊ダイナマン』で終わる作品リストには、ここにはとても書ききれないほどの数が記されています。壁を埋め尽くしたモニターに映し出される作品群に圧倒されてみるのも一興かもしれません。

■アマチュア時代から作品づくりの軌跡を追う

庵野秀明氏がオープニング映像の監督をつとめた、アニメ『シュガシュガルーン』の絵コンテ

「第2章 夢中或いは我儘」では、アマチュア時代から『新世紀エヴァンゲリオン』制作時までの軌跡を、現存する資料で紹介するエリアです。庵野監督が学生時代に制作した油絵や高校生時代に使っていた8ミリビデオ、自主製作映画『DAICON III』のオープニングアニメーション関連の資料、大学1年のときに制作したペーパーアニメ『じょうぶなタイヤ! SHADOタイヤ』の原画、「DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン」撮影時に使用していたユニフォームなどが良好な状態で残されていたことに驚かされます。

 同人誌や寄稿したコラム、イラストなどのエリアに続き、1987年に制作された『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の資料が展示されています。さらに『トップをねらえ!』の作画資料や『ふしぎの海のナディア』の鉛筆で書かれた構成案などを眺めていると、ついに姿を現すのが『新世紀エヴァンゲリオン』です。

 庵野秀明の名前を世に知らしめた本作の資料は非常に多く、なかでもエヴァンゲリオンのデザイン検討稿や初期の構想メモ、鉛筆書きのキャラクター相関図など、非常に見どころが多いエリアです。企画書段階でのアスカはアニメと少し雰囲気が違う感じで描かれているので、アスカファンはぜひ会場に足を運ぶべきでしょう。

『エヴァ』のエリアを抜けると「第3章 挑戦、或いは逃避」ゾーンへと入ります。『エヴァ』の次に、『彼氏彼女の事情』を手掛けた庵野監督はその後、実写の世界へと足を踏み入れます。『ラブ&ポップ』『式日』『キューティーハニー』などを手掛けつつ、アニメでもさまざまな仕事をこなし、2007年の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』で再び「『エヴァ」』の世界を描き始めます。

 2016年には『シン・ゴジラ』を大ヒットに導き、2021年に『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でロボットアニメとしては史上初の興収100億円を達成する偉業を成し遂げました。「第4章 憧憬、そして再生」では、今後公開が予定されている『シン・ウルトラマン』(企画・脚本を担当)と『シン・仮面ライダー』の情報が公開されており、「第5章 感謝、そして報恩」では、特撮博物館を主宰し過去作品のアーカイブ化にも力を入れている庵野監督の活動を紹介しています。

 日本の生みだしたコンテンツを一身に浴びた少年が、多くの人を虜(とりこ)にした作品を生み出し、さらにその先へと歩んでいく姿を会場でご覧になってみてはいかがでしょうか。そこには過去・現在・未来のすべてが存在しています。

※「庵野秀明展」は、2021年10月1日(金)から12月19日(日)まで、東京・国立新美術館 企画展示室1Eで開催中。開館時間は10:00~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)、入場は閉館の30分前まで。(11月23日を除く毎週火曜日休館)、事前予約制。

(早川清一朗)

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