「中だるみ」を克服したアニメ作品 ファンの評価は賛否両論
マグミクス / 2021年10月15日 14時10分
■戦略なのか? アニメの“中だるみ”問題
高評価を得ているアニメは数多くありますが、その理由のひとつとして「中だるみ」しているかどうかというポイントがあります。アニメにおいて、最初の勢いがなくなり、ストーリー展開がゴールに全く近づいていないような時などに「中だるみ」と感じがちです。しかし、中だるみがあっても、終わってみれば最高だったという作品も存在します。この記事では中だるみを克服し、高評価を得ているアニメ作品を見ていきます。
よく中だるみしている作品として挙げられるのが1990年からNHKにて放送された『ふしぎの海のナディア』です。舞台は1889年、世界中の海で謎の巨大生物”海獣”が出没。父親が海で行方不明になってしまった発明好きの少年・ジャンは謎の少女・ナディアとともに冒険へと旅立ちます。全39話の物語で、総監督を庵野秀明さんが務め、現在でも根強いファンが多い名作です。
『ふしぎの海のナディア』でファンの評価が分かれるのが「島編」と呼ばれる第23~31話、「アフリカ編」と言われる第32~34話。この間は島への漂着と脱出を描いており核心に迫るストーリーがほとんどなく、それに加え作画のレベルが低いことが中だるみと言われる理由です。しかし予算やスケジュールの都合を考慮して、35話以降に注力するためにあえてこの形を取ったとの説もあります。
核心に迫るストーリーがほとんどないという点では、「NARUTO」シリーズも中だるみ作品のひとつ。2002~2007年まで『NARUTO-ナルト-』、2007~2017年まで『NARUTO -ナルト- 疾風伝』として、実に15年以上継続してきた大人気アニメですが、過去回・回想回が多くてなかなかメインストーリーが進まないとの声も……原作が連載中だったという進行の都合もありますが、他作品に比べてオリジナルストーリーが多い印象です。特に『疾風伝』に入ってからは、過去を掘り下げるエピソードが数週続けて放送されることが多く、視聴者の好みが分かれるところです。とはいえ、原作では描かれていないキャラクターの意外な過去などを知れるエピソードなど、アニメ版でしか味わえない楽しみもありました。
そして特に評価が二分されているのが『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』でしょうか。1期が「神アニメ」との呼び声も多い作品だけに、この2期のハードルはかなり高かったようです。
『コードギアス』は登場人物が多い作品でもあり、なかにはあっけなく死んでいくキャラクターも存在しています。人気キャラクター退場後の新キャラクターへの賛否などもあり、2期への好みは二極化しています。しかし否定的な人でさえ、ラストはアニメ史に残る名シーンと評価しているため、「中だるみしても名作」とされる典型的なパターンなのかもしれません。
中だるみは極論、1話完結の『ドラえもん』や『サザエさん』には起きない現象ですが、連続したストーリーを持つバトルものなどではある程度仕方ない現象でもあります。『ふしぎの海のナディア』のように戦略的に展開する例があるとすれば、また違った面白さが見えてくるのではないでしょうか。
(椎名治仁)
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