アニメ『こち亀』大人が涙する“神回”3選 両さんがもっと好きになる!
マグミクス / 2021年10月17日 6時10分
■「賢ちゃん」と「勘ちゃん」の失われぬ友情物語
秋本治さんのマンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。2021年10月4日に201巻が発売されて再び注目を集めました。
5年ぶりの新刊となる201巻には、連載開始45周年記念として、連載40周年と200巻刊行を記念して行われた「こち亀展」で展示された「想い出の巻」や、ジャンプリミックス版「平成こち亀」シリーズに収められた描き下ろし作品、2017年以降に「週刊少年ジャンプ」に掲載されたエピソードなどを中心に計12話が収録されています。
さて、『こち亀』といえば、大人も涙腺崩壊してしまうような人情エピソードが多いことでも有名。この記事では、感動的で屈指の人気を誇る“神回”をアニメ版から3つピックアップ。主人公で型破りな警察官“両さん”こと両津勘吉(りょうつ・かんきち)がもっと好きになる魅力と合わせてご紹介します。
●アニメ第110話「浅草物語」
まずは、男のアツい友情が描かれたアニメ第110話「浅草物語」。ファンの間でも語り継がれる名作のひとつ。香取慎吾さん主演のドラマ版でも描かれたエピソードです。
小学校の同窓会に来た両さんですが、仲の良かった村瀬賢治の姿がありません。彼は、ヤクザとなり逮捕されていたのです。ふたりは“賢ちゃん”“勘ちゃん”と呼び合う仲。両さんは村瀬について「金持ちのボンボンで、クラスいち頭がよかったが妙にワシと気が合ってな」「エリート官僚で厳格な父親に怒られ、うちに家出してきた」と思い出を語ります。
時を同じくして、村瀬が自分を裏切った組に殴り込みをかけようと護送途中にパトカーから逃亡。両さんは非番でしたが村瀬を追います。「浅草なら裏路地まで知っているからな。見つかるもんか」と村瀬は人のいない路地を通り、捜査する警察を完全に撒いていました。
しかし、その路地の先から両さんが現れ「自首しろ、賢ちゃん。何があったか知らんが人生を投げた時点でお前の負けだ!」と村瀬を止めようと殴り合いのケンカを始めます。
両さんが勝利を収めると、村瀬は過去について話します。中学の時に両親が離婚して父親に引き取られるも、汚職事件で逮捕。それをキッカケにいじめに遭い、いじめた相手を病院に送りにして少年院行きに。そのせいで転落人生が始まったというのです。
そんな村瀬に両さんは「あまったれるんじゃねえ! 自分の人生を人のせいにするな! 自分の人生は自分で切り拓くもんだ!」と叱責。同作の名セリフのひとつとしても有名です。そして「殴り込みなんてどうでもよくなっちまった。自首するよ」と村瀬は再スタートすることを誓うのです。最後は村瀬に手錠をかけずふたりで警察署へ向かう後ろ姿で幕を閉じました。
ドラマ版やコミックス版では多少内容が変更されていますが、両さんが警察官ではなく、ひとりの親友として懸命に向き合う姿は涙腺崩壊必至です。
■弟のピンチに駆けつけた「忘れられない思い出」
●アニメ第111話「兄として」
続いて、兄弟の絆が描かれたアニメ第111話「兄として」。両さんの弟・金次郎(きんじろう)が結婚することになったエピソードです。
真面目な弁護士である金次郎の結婚式を荒らされては困ると思った父・銀次(ぎんじ)は、両さんに知らせませんでした。それをキッカケに「結婚式にワシを呼ばないとはどういうことだー!」と両さんと金次郎は口論に。仲違いするふたりでしたが、金次郎は部屋の窓から見える白鬚橋(しらひげばし)を見て表情が和らぎます。
というのも金次郎は、白鬚橋にまつわる両さんの「素晴らしい思い出」がありました。小学校に入る前、公園で行われていた紙芝居をひとりで見ていた金次郎は、紙芝居屋の後ろを付いて歩いていたら迷子に。帰り道も分からず、途方に暮れながら歩いて着いたのが浅草とは正反対の白鬚橋だったのです。雨の降るなか「兄ちゃん……」と助けを待っていると、両さんが走ってきて「心配かけやがって!」と金次郎を見つけるのです。疲れ果てた金次郎をおんぶして連れて帰りました。
優しく頼もしい両さんの記憶を思い出した金次郎は「結婚式に出席してくれ」と両さんに懇願。最終的に「兄として日本一の結婚式にしてやる!」と笑顔で応えるのでした。
結婚式当日、両さんは新郎新婦を神輿に乗せて登場させたり、酒が飛び交う“お祭り”状態にしたりと会場はメチャクチャに。新婦の厳格な父は酔いつぶれてしまい、金次郎は「お父さんスミマセン、兄が悪ノリしすぎてこんな式になってしまって……」と謝りますが、新婦の父は「金次郎くん、私も数多くの結婚式に出たが、こんなに楽しく、温かい結婚式は初めてだ。良い兄さんだ」とうれしそうに褒めるのです。
最後は、両さんと父・銀次が「親父、いい結婚式だったな」「最高の結婚式だったぜ」と満足した表情で語ると、両さんが「金次郎、幸せになれよ」つぶやき、親子ふたりは夜の街へ消えていくのです。こんな兄が欲しいと思える“神回”のひとつでした。
●アニメ第139話「夜空に咲いた贈り物」
最後は、アニメ第139話「夜空に咲いた贈り物」。いつもケンカばかりしている大原(おおはら)部長との絆が描かれた神回のひとつです。
物語冒頭、またまた問題を起こした両さんは派出所で部長と大ゲンカに。そんな時、部長のもとに初孫「さくら」が生まれた報せが届きます。大喜びの部長は自宅でお祝いを兼ねた花火大会見物を開くことを決めますが、両さんだけ呼びませんでした。
問題を起こしたことで給料が減らされて困っていた両さんは、書き入れ時で忙しそうにしていた花火職人のもとでアルバイトすることに。部長の悪口を言いながら花火作りに勤しんでいました。
そこへ派出所の同僚・麗子(れいこ)がやってきて、部長が署長に「わたしも両津と同じ処分を受けます。なので今回だけは多めにみてください!」と給料5割カットを受け入れつつ、両さんの問題行動を必死に謝っていたことを明かすのです。
そして花火大会当日、部長の家で派出所メンバーが花火を見て楽しんでいると、花火大会会場が爆発して両さんが部長の家に飛んできます。「両津! また何かしでかしおったな!」と激怒しますが、そのとき「サクラちゃん おたんじょう おめでとう」という文字の美しい花火が打ち上がりました。実は、両さんは部長のためにこの特製花火を制作して打ち上げようとしていたのです。
部長は感動し「形には残らないが、心に残る贈り物か……よし飲もう両津」とふたりは仲直り。「部長いいんですか、部長の家だって今月は何かと大変なんじゃ?」と言う両津に対して「全部お前のせいでな」と笑顔で話すふたり。いつもケンカばかりしているふたりですが、肩を組みながら笑う姿は感動的です。
* * *
以上、感動的で屈指の人気を誇る“神回”を3つ紹介しましたが、まだまだ数え切れないほど感動的で人情深いエピソードが存在します。皆さんの心に残っている神回は何ですか?
(中島憲太郎)
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