1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

異色の経歴を持つ声優・若本規夫 「機動隊」の経験が、声の仕事で意外な個性に

マグミクス / 2021年10月18日 6時10分

異色の経歴を持つ声優・若本規夫 「機動隊」の経験が、声の仕事で意外な個性に

■早稲田大学卒業後に紆余曲折を経て声優の道へ

 2021年10月18日は声優・若本規夫(わかもと・のりお)さんの76歳の誕生日です。おめでとうございます。TVドラマ『FBIアメリカ連邦警察』の吹き替えでデビューを果たした若本さんは、今や『サザエさん』の穴子さんやOVA版『銀河英雄伝説』のオスカー・フォン・ロイエンタール、『ドラゴンボールZ』のセルなど数々の代表的な役を持つ声優として活躍を続けておられます。

 学生時代は少林寺拳法や勉学に励み、卒業後は警視庁に就職し機動隊に配属されていたという異色の経歴の持ち主である若本さん。機動隊時代には1968年10月21日に発生した暴動事件「新宿騒乱」の際に最前線で攻防に加わっていました。少林寺拳法と機動隊で学んだ経験から、殴られる役を演じる際には顔を殴られるときの声と腹を殴られるときの声を使い分けているそうで、若本さんの唯一無二の個性のひとつとなっています。

 機動隊の退官後は日本消費者連盟事務局に入りますが、上司を殴り飛ばして解雇されてしまいます。解雇された帰路、安酒を飲んで電車の中で寝ていたところ上の棚から新聞が落ちてきて、そこに書かれていた声優の故・黒沢良さんがアテレコ教室を創立する記事を見て声優の道を志したというのですから、まさに運命の導きと言うものなのでしょう。

 オーディションに臨んだ若本さんは演技の経験はありませんでしたが、無事に合格。25歳にして声優の道を歩み始めました。デビュー後はよく通る渋みのある声質のためか悪役を演じることも多く、1985年の『超獣機神ダンクーガ』では主人公たち獣戦機隊と複雑な因縁を持つ敵対者シャピロ・キーツを好演し、存在感を発揮しています。

 また、『ドラゴンボールZ』のセル役を演じた際には自宅で練習をしていたときに近所の子供から「出てこい、セル!」と言われ、「俺に吸収されたい奴は誰だァァァl!」と返したところ、泣き声が聞こえてきたというエピソードも存在しています。架空の存在だと思っていたセルの声が実際に聞こえてきて、しかも自分を吸収しようと言い出したときの恐怖とはどれほどのものなのか分かりませんが、ぜひそのときのお子さんに当時の気持ちを聞いてみたいものです。

■21世紀に入り個性派として活躍

 順調に活動を続けていた若本さんですが、50歳を前にしてあまり仕事が来なくなり、自身を見つめ直した末に、声楽やオペラなど演技に役立ちそうな技術を片っ端から学び直したそうです。特にこのとき習得した大道芸の口上はナレーションに生かされ独特の言い回しが人気となり、アニメ方面でも個性的な役を数多く演じていくようになります。特に2000年代前半は『あずまんが大王 THE ANIMATION』のちよ父、『金色のガッシュベル!!』のビクトリーム様、『ニニンがシノブ伝』の音速丸などインパクトの強いキャラクターを毎年のように演じていました。特にビクトリーム様としてはキャラクターソング「ベリーメロン ~私の心をつかんだ良いメロン~」を担当し、強烈な印象を残しています。

 若本さんの魅力である悪役としての存在感もさらにグレードアップしており、2006年の『コードギアス 反逆のルルーシュ』の主人公ルルーシュの父親であるシャルル・ジ・ブリタニア第98代皇帝役で強烈なカリスマ性と威厳を発揮。クロヴィス・ラ・ブリタニアの葬儀の際の演説は、若本さんの芸歴の長さと修行の分厚さを感じさせる凄みのあるものとなっています。ゲーム『マヴラヴ オルタネイティブ』でもラダビノット司令役として、桜花作戦に向かう兵士たちの勇気を沸き立たせるような演説を披露しています。

 ナレーション、アニメ、吹き替え、ラジオのパーソナリティ、そして近年ではゲームの世界でも存在感を発揮している若本さんの勢いに衰えなどみじんも感じられません。つい先日もTVアニメ『カウボーイビバップ』で演じたビシャス役を実写版でも吹き替えると発表されています。これからも若本さんの個性的な演技を聞く機会はたくさんありそうです。

(早川清一朗)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください