声優・野沢雅子の偉業 共演者が「勘弁して」と訴えたスゴ技とは?
マグミクス / 2021年10月25日 6時10分
■日本のTVアニメ創成期から今日まで第一線で活躍
10月25日は声優の野沢雅子さんのお誕生日です。おめでとうございます!
野沢さんと言えば、日本で知らない人はいないのではないか? と思うほどのレジェンド声優。その活躍の数々は今さらご紹介することもないと思いますが、筆者の個人的チョイスで何人かのキャラのことを振り返ってみましょう。
野沢さんは3歳の時にはすでに子役として銀幕デビューを果たしていましたが、本格的に演劇の世界に入ったのは高校卒業からだそうです。その頃に声優業を始めましたが、当時はまだ声の吹き替えは録音でなく生放送でした。この失敗が許されない環境が、野沢さんのプロ意識を高めたのかもしれません。
デビュー作にあたる作品は覚えていないそうですが、アニメデビュー作は、『鉄腕アトム』(1963~1966年)のゲストキャラだったそうです。つまり野沢さんは日本のTVアニメ誕生の頃から現役として活躍していました。
その後、初主演作となったのが『ゲゲゲの鬼太郎(第1作)』(1968年)の鬼太郎です。そのためか鬼太郎に対する思い入れが人一倍強く、自身が演じたキャラで印象的だった3役のひとつに挙げていました。また作品に対しての思い入れも強く、『ゲゲゲの鬼太郎(第6作)』(2018~2020年)では父親の目玉おやじを引き継いでいます。
まだ「テレビまんが」などと呼ばれていたころの日本TVアニメ創成期での活動は目覚ましいもので、『いなかっぺ大将』(1970~1972年)の大ちゃんこと風大左衛門、『ど根性ガエル』(1972~1974年)のひろし、『ドロロンえん魔くん』(1973年)のえん魔くん、『ガンバの冒険』(1975年)のガンバ、『おれは鉄兵』(1977年)の上杉鉄兵など、次々と主人公キャラを演じ、作品の記憶と共に声が頭に浮かぶほどの強力なインパクトを与えました。
代表作を挙げていくと元気な男の子が多くなりますが、それ以外の役どころも当然演じています。例えば『カリメロ(第1作)』(1974年)ではカリメロのお母さん。『超電磁ロボ コン・バトラーV』(1976年)ではロボット声のロペット、敵ボスのオレアナ、南原コネクションの女医さんなども演じていました。
変わったところで言えば、『ドラえもん』(1973年)でドラえもんの二代目声優を担当しています。他にも『あらいぐまラスカル』(1977年)のラスカルは、鳴き声だけという異色の役どころでした。
■誰もが認める匠の技は「待った」がかかるほど…
『銀河鉄道999』Tv Series Collection Blu-ray 1(Discotek Media)
野沢さんが自身で演じて思い出深いキャラに挙げているひとりが、『銀河鉄道999』(1978~1981年)の星野鉄郎です。鉄郎に感情移入しすぎて、ゲスト声優さんがメーテル役の池田昌子さんと親しそうに話していると嫉妬したというエピソードがあるほど役に入り込んでいました。
そして、誰もが思い浮かべるほどの有名キャラと言えば、やはり『ドラゴンボール』(1986~1989年)の孫悟空でしょう。息子の孫悟飯、孫悟天を含めて、野沢さんの印象深いキャラ3人のうちのひとりに挙げていました。若い世代の方は特に野沢さんイコール孫一家というイメージが強いかと思います。
このひとりで何役も演じるというのは、脇役ならありえますがメインキャラとなるとあまり例がなく、しかも役同士の掛け合いもできるところがスゴいところ。例えば劇場版アニメ『ドラゴンボールZ 地球まるごと超決戦』(1990年)では、悟空、悟飯、ゲスト悪役のターレスの3役を野沢さんが演じています。この物語では脚本家があえてこの3人の掛け合いを増やしたのに、野沢さんが難なく演じきって驚いたというエピソードもありました。
ちなみにこういった別キャラの掛け合いは通常は別撮りと言って、それぞれ録音するのが普通。ところがバラエティ番組などで見せるように、野沢さんは難なく複数の掛け合いを演じきってしまうそうです。この「一本撮り」と呼ばれる技術は同業者やスタッフも驚くほど。しかしある時、後輩から「一本撮り」をすると他の声優もできるものと思われるので勘弁してほしいと訴えられたそうです。それ以降、野沢さんも現場では「一本撮り」を控えるようになったそうです。
この悟空関連のキャラはとにかくバリエーションが多く、2017年に『ドラゴンボール』のゲームに関してふたつのギネス認定がされました。ひとつは「ひとつのビデオゲームのキャラクターを最も長い期間演じた声優」。もうひとつは「ビデオゲームの声優として活動した最も長い期間」です。その期間は認定当時で23年218日。これは『ドラゴンボール』のゲームが販売されるたびに更新されていくことでしょう。
筆者が個人的に思うのが、おそらく日本アニメで一番主演を務めていた期間が長い声優が野沢さんのような気がします。もちろん細かいカウントの仕方があるでしょうから、ギネス記録になるかは分かりません。しかし、それほどのキャリアと実績の持ち主であることは間違いないでしょう。
アニメファンの多くが物心ついたころから、第一線で活躍している野沢さん。これからも元気なお声を聞かせていただければ幸いです。
(加々美利治)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
悟空がまさかの4位に? 最も強い『ドラゴンボール』キャラが決定か
マグミクス / 2024年11月9日 8時20分
-
アニメディア12月号は11月9日発売! 表紙&Wカバーは『ブルーロック VS. U-20 JAPAN』と『ゼンレスゾーンゼロ』!
アニメ!アニメ! / 2024年11月8日 20時48分
-
【入場無料でご招待】声優を目指す学生たちの学びの集大成「声優フェスティバル ―声の未来―」開催 放送学科客員教授 野沢雅子先生からのビデオメッセージも公開!
PR TIMES / 2024年11月5日 17時45分
-
DAIMAで出てくるかと思いきや 『ドラゴンボール』消えて(?)しまったキャラや設定
マグミクス / 2024年11月4日 8時20分
-
中尾隆聖73歳、デビュー作&初主演で野沢雅子と共演「東京五輪の時に…」 今は『DB』戦う関係性に
ORICON NEWS / 2024年10月31日 18時11分
ランキング
-
1「THE TIME,」安住紳一郎アナ、鳥取「生中継」の調理で大ハプニング…SNS大反響「放送事故だよね」「料理が…えらいことになってる」
スポーツ報知 / 2024年11月28日 8時30分
-
2《スケジュールは空けてある》目玉候補に次々と断られる紅白歌合戦、隠し玉に近藤真彦が急浮上 中森明菜と“禁断”の共演はあるのか
NEWSポストセブン / 2024年11月28日 7時15分
-
3「私庶民よと悦に浸ってる」工藤静香スーパーのセルフレジ動画に批判と“撮影禁止”疑惑の指摘
週刊女性PRIME / 2024年11月26日 18時0分
-
4盛山晋太郎、ゴチ最下位転落に「オカンもショック」 今期残り3戦でクビに関する重大発表も
マイナビニュース / 2024年11月28日 7時0分
-
5池田エライザ「海に眠るダイヤモンド」女優を輝かせる“塚原あゆ子マジック”でトップ女優の仲間入りへ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください