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『ピクミン』20周年 高難易度のゲームと重なる、社会人の生き様

マグミクス / 2021年10月26日 6時10分

『ピクミン』20周年 高難易度のゲームと重なる、社会人の生き様

■ゲームキューブ黎明期を支えた「ピクミン」シリーズ第1作目

「引っこ抜かれて~あなただけについて行く~♪」という印象的なフレーズ。普段それほどゲームを遊ばなくても、何となく「聞いたことある!」と感じた方は意外と多いのではないでしょうか。

 こちらの楽曲「愛のうた」(歌:ストロベリー・フラワー)でおなじみ、ゲームキューブ用ソフト『ピクミン』は本日で20回目の誕生日を迎えました。本作はリリース間もないゲームキューブの黎明期を支えつつ、独特の世界観とゲームシステムを武器に任天堂の人気シリーズへ仲間入りを果たしています。

 この記事では生誕20周年を記念し、改めて初代『ピクミン』のゲーム性や魅力を振り返ります。

『ピクミン』の物語をひと言で要約するなら、「宇宙漂流記」という言葉がぴったりかもしれません。ホコタテ運送会社に所属する配達員「オリマー」(主人公)は、念願の有給を使って悠々自適な一人旅に出発。ところが楽しい旅行から一転、思いがけないアクシデントに見舞われ、乗っていた宇宙船が謎の惑星に不時着してしまいます。

 命が助かったのは幸運だったものの、オリマーがたどり着いた惑星は有毒な大気が充満しており、とても永くは住めそうにありませんでした。そこへ偶然目に入ったのが、体長わずか2cmほどの小さな生命体「ピクミン」。オリマーは壊れた宇宙船を修理すべく、出会ったばかりのピクミンたちを率いてパーツ探しの冒険に挑みます。

 パーツ探しの道中は「ピクミンを増やす」→「増やしたピクミンを統率してフォールド内を探索」→「ピクミンを人足代わりに発見したパーツ(お宝)を持ち帰る」というのが大まかな流れ。フィールド内で原生生物(ピクミンにおける敵キャラ)と出くわした場合、ピクミンを投げつけて退治することになります。

 加えて本作は、環境に適応した”ピクミンの使い分け”が非常に重要でした。火に強い「赤ピクミン」・水中を移動できる「青ピクミン」・投てき時に高く飛び上がる「黄ピクミン」。これら3種類の能力をどう引き出すかが攻略のカギを握っていたのです。いずれにしてもオリマーひとりではほとんど何もできず、夜間の行動もシステム上の制約で不可能。ゆえにプレイヤーは日没までの限られた時間、正確には約13分を与えられた行動タイムとし、的確な行動が求められました。

 以上が『ピクミン』の根底に流れるゲームシステムと基本的な遊び方。シリーズ作品ごとに追加要素や変更点はあれど、「ピクミンと人型キャラクターが自然豊かな惑星を探検する」というテイストは変わらずに継承されています。

 2001年から2021年10月現在まで定期的に後続タイトルが登場し続けており、ナンバリングタイトルで3本、ゲームジャンルをガラッと変えたスピンオフタイトルが1本、さらに「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズへのファイター参戦を含め、幅広いゲーマー層から一定以上の支持を得ています。

■初代にして難易度が極まっていた

 ここまでお読みになった方々ならお気付きかもしれませんが、『ピクミン』は何も考えずにゴリ押しで進められる作品では決してありません。確かにピクミンは手指の第一関節ほどのかわいらしい生き物であり、舞台となるフィールドも自然いっぱいで情感豊か。しかしその反面、本作はシリーズを見渡してもトップに相当する高難易度で大勢のプレイヤーを悩ませたのです。

 ピクミンたちは集団になると真価を発揮するものの、1匹あたりはとてもか弱い存在。そのため、ちょっとしたミス(目を離したスキにおぼれる or 燃えているなど)であっという間に個体数が減少してしまうことが日常茶飯事でした。

 とりわけ最も被害が出たのは原生生物との戦闘時。フィールド内には目玉をギョロつかせた「チャッピー」をはじめ、地面から長い首だけを出した「ヘビガラス」、くす玉のようなボディーに細い足が生えた「ダマグモ」など、奇妙でややグロテスクな生物たちが生息しています。彼ら(?)と命をかけた戦いに挑む際、油断しているとピクミンが1匹、また1匹と次から次へ天へと召されていきます。ゲームに慣れてくれば話は別ですが、初見プレイでうまく戦うことができず、大量のピクミンを犠牲にしてしまったプレイヤーは少なくなかったはずです。

 そうした”ピクミンの儚さ”に加え、上で述べた「時間制限」もハードルとなりました。ある時はピクミンの増殖にリソースを割き、またある時はお宝の運搬ルートを下見して邪魔な障害物を壊しておく。その上で原生生物を排除しつつ、探索し終えていないフィールドの調査に向かう……という具合に、プレイヤーは限りある時間を配分して要領よく各工程をこなす必要があったのです。

 それでもなお、本作が数多くのプレイヤーを惹きつけ、唯一無二のゲームシステムでゲーム史に名を残しているのは紛れもない事実。今回の執筆にあたって『ピクミン』のゲーム性や難しさを改めて見直しましたが、個人的には”大人になってから遊ぶと見方が変わる作品”だと感じました。オリマーとピクミンたちの関係性を見て、どことなく社会人の悲哀を重ね合わせてしまうのは筆者だけかもしれませんが、すでにプレイ済みの方は環境を整えてもう一度触ってみることをオススメします。

(龍田優貴)

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