20周年、2001年10月放送開始アニメ3選 奇跡のような「ジャンプ」作と隠れた名作も…

■「ジャンプ」アニメを代表する作品が20周年

　今からちょうど20年前の2001年10月には、数多くのTVアニメが放送され多くのファンを楽しませてくれました。そのなかから、特に人気と評価が高かった3作品を紹介します。「ジャンプ」アニメを代表する作品も、20周年を迎えます。

●『テニスの王子様』

「週刊少年ジャンプ」で連載され、大ヒット作となった許斐剛先生によるテニスマンガが堂々のアニメ化。当初の放送期間は1年を予定されていましたが、あまりの人気の高さからたび重なる放送延長が行われ、最終的には全178話が放送されました。

　アニメ化の際は事前の打ち合わせで主人公の越前リョーマ、父親の越前南次郎、青学3年の手塚国光を中心にしたストーリーにすることが決められており、結果として南次郎の出番は大幅に追加されています。また日常パートも多数盛り込まれており、原作ではそれほど出番のなかった竜崎桜乃、小坂田朋香、橘杏、芝砂織などのキャラクターにも焦点が当てられています。1年目の放送時は原作に比較的忠実なアニメ化が行われましたが2年目以降はアニメオリジナルの派手な演出が増加し、バトルアニメとしてファンを楽しませました。

　最終的にはアニメが原作に追いつく形での終了となりましたが、人気はまったく衰えず、隔月刊でのOVA化が行われ全33話が発売されています。その後もTVシリーズやOVAでシリーズは継続し続けており、2022年には新シリーズ『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP』の放送も予定されています。ミュージカルとして爆発的な人気を持つことを考えれば、20年もの間、ほぼ途切れずに映像や舞台が継続して送り出されている奇跡のような作品と言えるでしょう。

●『ヒカルの碁』

『DVD-BOX「ヒカルの碁」全集』（エイベックス・ピクチャーズ）

　原作をほったゆみ先生、作画を小畑健先生が担当し送り出された「週刊少年ジャンプ」の傑作囲碁マンガをアニメ化。全75話。平凡な少年である進藤ヒカルが、祖父の倉で見つけた古い碁盤に宿っていた平安時代の天才棋士、藤原佐為（ふじわらのさい）に憑依されるところから物語は始まります。

　当初は佐為に言われるがままに碁を打っていたヒカルでしたが、後にライバルとなる塔矢アキラとの出会いなどを経て楽しさに目覚めて佐為に弟子入り、自らの手で碁を打つようになっていきます。佐為との対局で急速に実力を高めたヒカルは先にプロ棋士となったアキラを追いかけ、自らもプロになろうと棋院へ入り、共にプロを目指す院生たちと共にさらなる研さんに励む日々を送るようになりました。紆余曲折の末プロになったヒカルでしたが、良き導き手であった佐為は、アキラの父親であるトップ棋士・塔矢行洋との対局で自らが亡霊として存在してきた理由を悟り、5月5日の子供の日、陽光の中へと姿を消してしまうのです。佐為を失ったヒカルはプロ活動を休止してしまいますが周囲の激励で囲碁の楽しさを思い出し、自分の囲碁の中に佐為がいることを確信し、再び棋士への道を歩み出しました。

■2001年の隠れた名作

『ちっちゃな雪使いシュガー』DVD Season7（パイオニアLDC）

●ちっちゃな雪使いシュガー

『ちっちゃな雪使いシュガー』はサガという名の11歳の少女が妖精の世界から人間の世界へ修行にやってきた「雪使い」見習いのシュガーと出会い、共に暮らし交流していくなかで成長していく過程を描いた物語です。原作は蒼はるかさん、キャラクター原案は『デ・ジ・キャラット』で知られるこげどんぼ先生。TBS製作のアニメとしては非常に珍しいオリジナルのファンタジー作品であり、作品を包む優しい空気と時おり訪れる容赦ない展開、互いの成長を通して少しずつ変化していくサガとシュガーの関係性などを丁寧に描写し、高い評価を得ました。

　またオープニングテーマの「シュガー・ベイビー・ラヴ」は1974年にイギリス、スイスおよびドイツのヒットチャートで1位を獲得したヒット曲を『美少女戦士セーラームーン』のエンディング「乙女のポリシー」を担当した石田燿子さんがカバーした名作です。

　残念ながら当時はネット配信がない時代で、視聴手段がTBSの深夜とBS-iのみだったため本作の知名度は高くありません。しかしながらストーリー・作画・音楽・演技のクオリティはいずれもハイレベルであり、今見ても十分に楽しめることは間違いありません。もし機会があれば、ぜひ見ていただきたい作品です。

（ライター　早川清一朗）