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『ガンダム』登場は一度だけでも印象深い機体 視聴率の低さが「やられメカ」を生んだ

マグミクス / 2021年10月30日 6時10分

『ガンダム』登場は一度だけでも印象深い機体 視聴率の低さが「やられメカ」を生んだ

■量産型という概念で光るようになったワンオフ機

 従来のロボットアニメでは敵ロボットは「やられメカ」などと言われた存在で、毎週新しいものが登場する1話かぎりのものでした。一方、「敵ロボットは量産されているもの」として毎週同じものが登場するようになった『機動戦士ガンダム』は、斬新かつリアルなメカ描写の作品として高評価を得ることになります。

 さらに敵のデザインを統一することで、新たに絵を描くことなく使い回して別の場面に見せる「バンク」もしやすく、作業工程の短縮、経費削減という作画面での効率化も可能になりました。富野由悠季監督はこのバンクには定評があり、前番組『無敵超人ザンボット3』や『無敵鋼人ダイターン3』では、戦闘シーンに出るメカを使い回して1話を作るということを行っています。

 こういったリアルな描写の数々で『ガンダム』はファンの評価が高く、アニメ雑誌にも多く取り上げられましたが、視聴率は低空飛行のまま。そのため、スポンサーの要望で1話かぎりの「やられメカ」を登場させるよう言われました。複雑な話作りではなく、単純なメカ戦にシフトするようにということです。

 このスポンサーからの要望で後半のドム以降のMS(モビルスーツ)は、ほぼ毎週新型が登場するようになりました。しかし、富野監督は簡単にスポンサーの言うことを聞く人ではありません。劇中で「強力なMSならば数はいらない、数機でも戦果をあげられる」というセリフで新しい方向性を示し、新たにMA(モビルアーマー)という存在までも登場させました。

 これにより『ガンダム』の世界観はさらなる広がりを示し、後の「ガンプラブーム」では1年以上も新作を発売できるだけの種類数を確保できたわけです。また、数が多く出る量産型と違って、こういった1回きりの機体は特別感が増し、強力な敵というイメージを視聴者に与えました。

 アムロを失神させて窮地に追い込んだ「ビグロ」、ユニークなデザインが印象的だった「ザクレロ」、マ・クベ専用機として活躍した「ギャン」など、一度の登場で絶大なインパクトを与え、それぞれコアなファンを生んでいます。それまでは「やられメカ」と軽視されていたはずの1話限りのメカたちが、量産型が普通に存在する世界では特別感のあるワンオフの機体となりました。

 本来なら、ひとつの作品でここまで急速に進歩できなかったメカ描写を、『ガンダム』では一作で成し遂げたのです。

■一度限りの戦闘シーンに華を添えた印象深いMSたち

「HG 1/144 GN-001REII ガンダムエクシア リペアII」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 そうは言っても、敵のMSも商品として発売する以上、活躍の場を限定させるわけにはいきません。その後の「ガンダム」シリーズでは、一度しか登場機会のないMSはそれほど多くありませんでした。

 シリーズ2作目である『機動戦士Zガンダム』では「RMS-106CS ハイザック・カスタム」というMSが1話だけの登場となっています。このMSは放送当時「隠れハイザック」と言われていました。当時、ゲームで「隠しキャラ」が話題になっていた時期で、それを引用したのでしょう。ちなみに本作のファミコンゲーム『機動戦士Ζガンダム・ホットスクランブル』では、特定のコマンドを入力すると隠れハイザックが登場すると言われています。

 3作目の『機動戦士ガンダムZZ』では地上戦闘が少なかったことから、「AMX-109 カプール」や「MS-09H ドワッジ改」が1話だけの登場となりました。しかし、カプールは後に『∀ガンダム』で「カプル」として活躍し、ドワッジ改は当時からガンプラになっているなど、他のMSに比べて優遇された存在です。

 OVA作品を見てみると、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』の「MS-18E ケンプファー」、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の「AGX-04 ガーベラ・テトラ」が一度きりの登場で、初出撃で撃墜されました。しかし、その後の扱いを見る限りは1話だけしか出ていないという印象はないほど有名で、「強敵」としてピックアップされています。

 少々マイナーですが、筆者としては活躍の場が少なくて不憫に思っているのが『機動戦士Vガンダム』に登場した「ZMT-S16G メッメドーザ」です。重量感のあるボディと両肩にある2個のビーム・ローターという印象的なデザインですが、覚えている人が少なく、マスドライバーの支柱にガンイージーを貼り付けにした……と言って思い出す人が多いMSです。

 とある一定のユーザーの記憶に残っているMSが、『機動新世紀ガンダムX』に登場した「NRX-007 コルレル」です。武装がビーム・ナイフだけで、徹底的に軽量化されたボディはこの世界に登場するMSのおよそ半分ほど。その動きは相手に残像を見せるほどで、構えた敵のビーム・ライフルの上に乗るほどの俊敏さを見せます。「GUNDAM WAR」というTCGで強カードとして話題になり、本編ではマイナーな存在だったのにプレイヤーは誰もが知るほどでした。

『機動戦士ガンダム00』では最終回だけに登場したMSが2機います。第1シーズンではラスボスを倒した後に現れた真のラスボス的存在だった「SVMS-01X グラハム専用ユニオンフラッグカスタムII(GNフラッグ)」。第2シーズンでは「GN-001REII ガンダムエクシアリペアII」が最後の主人公機として登場しました。当初の主人公機が最後に見せ場を用意されるというのはシリーズでは異例で、ファンはその最終回での復活劇を手放しで喜びます。ちなみに、その後に改修されたエクシアリペアIVには奇跡の生還を果たしたグラハム・エーカーが乗り込んでいます。

 一度しか登場していないのに活躍した機体はほかにもありますが、文字の都合で以上とさせてください。みなさんのなかにもマイナーでも好きな機体がありますよね。昨今の「ガンダム」関係の立体化を見ていると、マイナーな機体でも「ワンチャンあるかもしれない」と期待したいところです。限定でもいいので、初立体化などの展開をしてほしいですね。

(加々美利治)

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