『ウマ娘』の惜しいチーム「カノープス」 モデルの競走馬はなぜ愛されたのか?
マグミクス / 2021年10月31日 17時10分
■負けても負けても走り続けるしかない
日本競馬の歴史を作った名馬たちをモデルに擬人化した『ウマ娘 プリティーダービー』。ゲーム、アニメを中心としたメディアコンテンツが大ヒットしています。その要因は、ゲーム・アニメファンだけでなく普通の競馬ファンまで引き寄せたことかもしれません。
『ウマ娘』に登場するのはG1ホースがほとんどです。アプリでもG1ホースが人気上位のようですが、G1を勝てなかった馬が集うチーム「カノープス」も高い人気を誇ります。アニメSeason2では序盤に登場し、なかなか勝てないけれど奮闘する姿に感動したファンはたくさんいました。
個性派カノープスのナイスネイチャ、ツインターボ、マチカネタンホイザ、イクノディクタスの4人は、実際はどんな馬だったのかをご紹介します。知ればもっと愛着が湧くかもしれません。
●ブロンズコレクター「ナイスネイチャ」
トウカイテイオーと同期。春のクラシックは不出走でしたが、4連勝で挑んだ菊花賞で2番人気4着と健闘します。典型的な善戦マンで有馬記念3年連続3着は伝説的な偉業と今も語り草になっています。重賞レースは34戦3着7回、2着4回、そして4勝もした実力者です。
獲得賞金6億2358万5600円は、同期ではトウカイテイオーに次ぐ2位。40戦の手綱を取った松永昌博はトップ騎手とはいえなかったので「違う騎手ならもっと勝てたかも」とは皮肉でよくささやかれました。2021年10月現在33歳で、JRA重賞を勝った競走馬の最長寿記録を更新中です。
●永遠の逃亡者「ツインターボ」
パドックの壁に「俺にかまわず逃げてくれ! ツインターボ」という横断幕があって大ウケした記憶があります。気性が荒いので、新馬戦で調教師が騎手に「好きなように走らせてくれ」と指示すると2着に3馬身差の逃げ切り勝ちを果たします。必ず逃げてテレビに長く映り、そのまま大勝か大失速、という癖の強さ。「大逃げで玉砕だろうけど、逃げ切られたら」と思って必ず△印は打った予想屋は多くいました。6歳秋、オールカマー(G3)で大逃げを打ち2着に5馬身差を付けて圧勝(※アニメでも感動的なシーンがあります)。しかしその後は一度も勝てず地方競馬へ転厩します。「オールカマーで燃え尽きたかも」とは手綱を取った中舘騎手の言葉です。しかし生涯重賞3勝は立派でした。
●鼻血ブー「マチカネタンホイザ」
関西馬なのに東京5勝(中山1勝)、そして中京2勝、左回り得意のサウスポー。クラシック戦線ではミホノブルボン、ライスシャワーに一歩及ばずの善戦続きでしたが、古馬になって重賞を連勝します。ただ一躍有名になったのは’94年ジャパンカップでした。海外の強豪馬が1~5人気を独占、日本馬はビワハヤヒデなどの有力馬が引退や回避をするなか、期待されたのがマチカネタンホイザでした。得意の東京コースで外国馬をごぼう抜きするシーンを描いたファンも多かったはずですが……なんと馬場入り後に発送除外。理由は鼻出血、ファンはずっこけました。そして「鼻血ブーのタンホイザ」などと呼ばれ妙な人気を呼びます。次は有馬記念、さあ出陣! ……と思ったらレース前にじんましんが出て取消に。ファンもがっかりでしたが、一番がっかりしたのは2回連続で突然出られなくなった柴田善臣騎手だったかもしれません。
●鉄の女「イクノディクタス」
デビュー前に屈腱炎を発症し安楽死処分も検討されましたが関係者の努力で乗り越え、以後はたいしたケガもなく毎月1、2レース走り続けたことから「鉄の女」と呼ばれました。
4歳から徐々に力を付け、5歳には重賞3勝、オールカマーはオグリキャップのレコードタイムを塗り替える激走でした。G1では、トウカイテイオー、メジロマックイーン、といった牡馬の強豪にも果敢に挑み、‘93安田記念では14番人気2着、宝塚記念は8番人気2着と大穴を開け驚かせました。生涯獲得賞金5億3112万4000円は当時の歴代牝馬賞金女王でした。引退後、2019年に32歳で大往生しますが、北海道のけい養先の牧場に足を運ぶファンは絶えなかったそうです。
* * *
『ウマ娘 プリティーダービー』のチームは5人のはず。そうなるとカノープスにはまだひとりいることになります。もしかしたらそのうち登場するかもしれませんが、果たしてどの馬でしょうか?
(石原久稔)
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