ファミコンの切ない体験談4つ 「ソフトだけ持ってる子」に涙…
マグミクス / 2021年11月3日 6時10分
■ファミコンにまつわる切ないストーリー
泣かせにくるゲームを「泣きゲー」などと呼びますが、ゲーム内のストーリーではなく、ゲーム機自体にまつわる出来事で涙が出そうなくらい切ない思い出も作ってくれたのが名機「ファミリーコンピュータ」。この記事ではファミコンにまつわる、胸が締め付けられるような体験談を紹介します。
●ソフトだけを持っている友人
ファミコン本体を買わずソフトだけを所持している友人が何人かいました。その友人はファミコン本体を持っている人の家に行き、そのソフトで遊び、そして持って帰るというプレイスタイルでした。本体を持っていた筆者はそのソフトだけを持つ友人に「じゃあボクん家にソフトを置いていけば?」と提案すると、「それはできない」との回答。自宅じゃできないのに? という言葉をぐっとこらえたのを覚えています。たぶんそれを言ってはいけない空気があったのだと思います。
●ひどい…おばあちゃん酷使未遂
小学生の頃、おとなしい友人A君がいました。特に自己主張もせず、遊びの提案をしても断ることもなくニコニコと付き合う子でした。そのA君は『ドラクエII』を持っており、それを見せてもらいに自宅を訪問することに。A君の両親は共働きで家にはおらず、おばあちゃんだけが留守番。筆者とA君が家に入るや、A君はおばあちゃんの部屋を不躾に開け、テレビを見ます。つられて見るとそこに映るのは『ドラクエII』。ワクワクして話しかけようとすると、A君は無表情でコントローラーを操作し、何かを確認するとおばあちゃんに向かって「全然やってないじゃないか!」と怒りました。
後で聞いた話によると、自分が学校に行っている間におばあちゃんに『ドラクエII』のレベル上げを頼んだのだそう。前日に操作のルーチンを教え、おばあちゃんも了承したそうですが、全然レベルがあがっていないどころか、プレイした様子もなかったため怒りをぶつけたのだとか。
学校ではおとなしくニコニコしているA君が初めて見せた人間味丸出しの怒りの表情、そのうえおばあちゃんに向かって強い言葉を使うことに恐怖と戸惑いで呆然としてしまいました。
おばあちゃんは怯えなのか、申し訳なさなのか、悲しそうな表情で「おばあちゃんだから分からないよ……」と、か細く答えたのを憶えています。おばあちゃんにとっては「ひどい」エピソードですが、子供にとってのファミコンは感情がむき出しになるほど重要な存在だったのです。
■小学生最大のプレイスポットから「出禁」を宣告される!?
難易度が高いことで有名な『ロックマン』。当時は全滅してもコンテニューのような復帰システムはなかった 画像は『ロックマン クラシックス コレクション 1+2 ? Switch』(カプコン)
●駄菓子屋のおばあちゃんに暴言を吐き出禁
筆者が小学低学年の頃。近所の駄菓子屋さんに30分50円でファミコンが遊べるスペースがありました。このプレイ料50円は、店主に手渡しで支払うもので、それゆえ30分というのが店主の目視確認で行われ、往々にして時短されるあいまいな制限時間でした。この駄菓子屋さんはソフトもいくつか備えていて、そこには筆者を含む友人グループが誰も持っていない『ロックマン』がありました。このゲーム、子供には難易度が高く、50円がほいほい吸い込まれていった記憶があります。
そんな駄菓子屋さんを舞台に事件が起きたのです。
あるとき友人と3人で夢中になって『ロックマン』をプレイ。何回もやり直し、30分を過ぎるたび50円の支払いをしながら順調に進め、初めてドクターワイリーのステージに突入しました。我々3人は初めて見るステージにわくわくしながら、「今日こそ全面クリアできるかも……」と唾を飲み込んだ瞬間、店主のおばあちゃんが「そろそろ30分だよ」と残酷な通達。僕らのポケットには残された50円はなく、延長できずに無慈悲な強制リセットがされてしまいます。愕然とする3人……。すると最後にプレイしていたB君が声を張り上げ「今まで時間短くしてきた分の金、返せババア!」となじったのです。その後も興奮しながらB君が口汚くののしっているとおばあちゃんは「もうあんたは来なくていいよ! もう来るな!」と出禁宣言。悔しさもありましたが、B君のあおりをくい全員、人生初の出禁を受けざるを得ませんでした。
●母がファミコンを引退する日
小学低学年の頃、我が家にファミコンがやってきました。ソフトは『ピンボール』と『ドンキーコングJR.』で、テレビの画面でゲームができるという斬新さに子供心は踊りっぱなしでした。毎日遊んでいましたが、ひとり遊びが寂しくなり、そんなときは母を誘い2人でプレイすることも多くありました。母はよく付き合ってくれましたが、コントローラーを持ちながら体が右に揺れたり、左に揺れたり。時には腕を振り上げるなど、その不器用な挙動が面白くていじって笑っていました。
あるとき、学校から帰ってくると、珍しく母がピンボールに興じており、黙って見ているとやっぱり体を揺らし面白い動きをするので笑っていると、母は不意に電源を切り止めてしまいました。以後、母をファミコンに誘っても「お母さん、上手にできないから……」と寂しそうにこぼし遊んでくれなくなりました。
あの日、母がひとりでファミコンをしていたのは、きっと笑われないようにこっそり練習していたのだと思います。寂しそうに「上手にできない」と語ったあの表情……いまだに脳裏に刻まれています。
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(南城与右衛門)
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