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今週の金ロー『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』 「花言葉」が示すキャラの人間性

マグミクス / 2021年11月5日 11時50分

今週の金ロー『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』 「花言葉」が示すキャラの人間性

■花の名前が付けられた主要キャラクター

 ヴァイオレットの花言葉は、ご存じでしょうか? ヴァイオレットこと紫スミレの花言葉は「貞操」「愛」となっています。人気アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公ヴァイオレットにぴったりの花言葉となっています。

 ヴァイオレットが勤める郵便社のホッジンズ社長のファーストネームはクラウディア で、花言葉は「思いやり」です。先輩ドールのカトレアには「魅惑的」、配達員のベネディクトには「旅人の喜び」という意味があります。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主要キャラクターたちは花の名前となっているので、それぞれの花言葉を調べてみるのも楽しみです。

 2021年11月5日(金)放送の「金曜ロードショー」(日本テレビ系)は、2019年に劇場公開された『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 -』のノーカット地上波初放送となっています。先週放送された『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 特別編集版』に続き、手紙の代筆を請け負うヴァイオレットと職場の同僚たちが活躍することになります。

■「騎士姫」として人気者になるヴァイオレット

 かつては少女兵として戦場で戦った過去を持つヴァイオレットですが、郵便社で働くことで人間的に成長していく様子がTVシリーズでは描かれました。今回は「外伝」ということもあり、ヴァイオレットがTVシリーズでは見せなかった意外な一面がクローズアップされます。

 公開恋文の代筆で王家からも認められるようになったヴァイオレットは、育ちの良い子女が集まる全寮制の女学校に家庭教師として派遣されることになります。ヴァイオレットが教育係を務めるのは、貴族に引き取られて間もない同世代の女の子・イザベラです。実はイザベラは孤児として育ち、あいさつや食事のマナーなどを身に付けていません。そこでヴァイオレットは、イザベラがデビュタント(社交界デビュー)を果たすまでの3か月間を一緒に寄宿舎で過ごすのでした。

 無口な印象のあるヴァイオレットが女子校になじむことができるのか心配ですが、軍隊で過ごした経験のあるヴァイオレットは規律のある団体生活が苦にはならないようです。毅然とした美しさを見せるヴァイオレットがイザベラに仕える様子は、「騎士姫」として女子生徒たちの間で評判になります。

 何でも完璧にこなすヴァイオレットに、最初は反発していたイザベラですが、ヴァイオレットが孤児であること、戦場で別れたギルベルト少佐を忘れることができずにいることを知り、態度を改めます。ままならない人生を送っているのは自分だけではないことに、イザベラは気付いたのでした。

 教育係と教え子という関係のふたりでしたが、少しずつ距離を縮め、一緒にお風呂に入り、髪を結い合い、同じベッドで眠れぬ夜を共に過ごすことになります。ヴァイオレットに心を許せる同性の友達ができたことに、ファンもほっこりとさせられます。ヴァイオレットからダンス指導を受けたイザベラが、舞踏会に臨むシーンは物語前半の大きな見どころです。

■愛する人から呼ばれることで意味を持つ「名前」

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン特別編集版』ビジュアル (C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 TVシリーズのヴァイオレットは、上司であるホッジンズ社長や先輩ドールのカトレアらに支えられ、一人前のドール(自動手記人形)へと成長を遂げました。『外伝』のヴァイオレットは、逆に教える立場に回ります。これまでの体験で学んだことは、他の人に教えることで体系化されていきます。人間味を増したヴァイオレットに導かれ、イザベラは映画『マイ・フェア・レディ』(1964年)のオードリー・ヘップバーンのように美しい淑女へと変わっていきます。

 ヴァイオレットもイザベラも孤児として育ち、ヴァイオレットはギルベルト少佐と生き別れ、イザベラは血がつながっていないものの妹同然に一緒に暮らした幼い少女・テイラーと別れたという共通点があります。ヴァイオレットもイザベラもつらい過去を持っており、それゆえにふたりは強い信頼関係で結ばれることになります。シスターフッド・ムービーとしての趣きがあります。

 イザベラの孤児時代の名前は、エイミー・バートレットでした。仲良くなったヴァイオレットに、イザベラはエイミー・バートレット時代の過去を打ち明けます。バートレットとは洋梨のことで、花言葉は「慰め、癒やし」です。また、「エイミー」という名前は物語後半のキーワードにもなるので、ぜひ覚えておいてください。

 名前とは単なる識別記号ではなく、愛する人から呼ばれることでさまざまな感情が発露する大切な言葉であることが物語られていきます。

■「生きた証」としてのクレジット

 京都アニメーションが制作した『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 -』が編集作業を終えて完成したのは、2019年7月17日でした。あの放火事件は、その翌日に起きています。世界中を震撼させた事件の大きさから、公開が危ぶまれましたが、同年9月6日に劇場公開され、初日満足度調査で1位になるなどファンから高い評価を受けています。

 京アニでは1年以上の経験を有するスタッフのみ作品にクレジットすることが慣例となっていましたが、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 -』には制作に関わったすべてのスタッフの名前が「生きた証」としてエンドロールにクレジットされています。

 事件によって、多くの尊い命が奪われ、また残された人たちも心に深い傷を負っていることでしょう。時間を巻き戻して、つらい過去をなかったことにすることは残念ながらできません。アニメーション制作に情熱を注いだスタッフの想いを、作品を通して受け止めることしか私たちにはできません。

 ヴァイオレット(紫スミレ)の花言葉は「貞操」「愛」ですが、スミレ全般の花言葉は「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」となっています。手紙の代筆業を営むヴァイオレットが、これからも「小さな幸せ」の種を、世界中に撒き続けることを願います。

(長野辰次)

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