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「漫画家のペンネーム」面白すぎる由来 想像の斜め上をいく意外な理由も

マグミクス / 2021年11月9日 11時50分

「漫画家のペンネーム」面白すぎる由来 想像の斜め上をいく意外な理由も

■ペンネームには物語がある

 生まれた子供につける名前は、親からの最初のプレゼントだと言います。優しい子になるように、みんなに愛されるようになど、生涯の幸せを祈って親は誰しも頭を悩ますものでしょう。

 では、漫画家のペンネームは? 「作品」という我が子を世に出すための大事な名前ですから、きっと悩みに悩んで「これ!」と決めたのではないでしょうか? と調べてみると、期待に反して意外な由来がザクザク出てきました。

●「志」を込めたペンネーム

 まずは正統派であろう「志」を込めたペンネーム。代表格は『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などで知られる巨匠・松本零士(まつもと・れいじ)先生です。本名は松本晟(まつもと・あきら)ですが、「晟」は難しい漢字で読みにくく、さらに名前としてはよくあるのでインパクトに欠けると、ペンネームをつけることにしたそうです。「零」には無限大の意を、「士」には、母方が武士の家系ということもあって侍の意を込めて「無限大の侍」をイメージしたのだとか。平成22年に旭日章を受賞した際にはインタビューで「今ほど漫画が市民権を得ていない時代。刀をペンに持ち替えた終わりなき浪人。そんな覚悟がないと漫画家になれませんでした」と、ペンネームへの並々ならぬ思いを語っていました。

『呪術廻戦』の作者である芥見下々(あくたみ・げげ)先生も、ペンネームに意思を込めたひとりです。といってもこちらはかなり様子が違います。芥見先生は、かつてクリーニング店でアルバイトをしていた経験から「世の中はへりくだった方がいい」と学んだそうで、あえてゴミやクズなどを意味する「芥」の文字を使ったのだそうです。下々という名前も、「下手にでて譲った方がいい」という考え方を強調しているそうで、作風とのギャップに驚かされます。

●「大好き!」を込めたペンネーム

 マンガの神様・手塚治虫(てづか・おさむ)先生は大の虫好きで、小学校5年生の頃すでに本名「手塚治」の後ろに「虫」の字をつけてしまいました。当初はそのまま「おさむし」と読ませていたそうです。というのも、あまたいる虫のなかでも手塚先生が一番好きだったのがオサムシという甲虫だったのです。一見するとグロテスクなオサムシですが手塚先生は、目玉が大きくて首が細長く、肉食で夜行性という特徴は自分にそっくりだと、気に入っていたのだとか。ちなみに「おさむ」読みに戻したのは、プロのマンガ家になってからだったそうです

 映画化もされた『溺れるナイフ』の作者・ジョージ朝倉先生のペンネームにも大好きが詰まっています。その名前から男性作家と間違われることもありますが、れっきとした女性作家の朝倉先生。ではなぜ男名前かというと、『科学忍者隊ガッチャマン』の「コンドルのジョー」が大好きで、ジョーの本名「ジョージ浅倉」の一文字を変えてペンネームにしたからなのだそうです。

「大好き」が込められた名前には、愛着もひとしおでしょうね。

■勘違いされて定着したペンネームも

●本人的にはトホホな2大巨匠のペンネーム

 昭和初期に『のらくろ』大ブームを起こした田河水泡(たがわ・すいほう)先生。あの手塚治虫先生も幼少期に『のらくろ』の模写をしてマンガの練習をしたそうですから、日本マンガ界の父ともいえる存在です。そんな田河先生の本名は高見澤仲太郎(たかみざわ・なかたろう)。堅苦しい名前では漫画家にふさわしくないと考え、苗字のローマ字「TAKAMIZAWA」を「TA(田)」「KA(河)」「MIZ(水)」「AWA(泡)」に分けて田河水泡としたのだそうです。ただし先生が考えた読み方は「たかみずあわ」だったのに、みんなが「たがわすいほう」と読むため、自分でも折れて「たがわすいほう」でいいや、となってしまったのだとか。ご本人としては少々残念なペンネームだったようです。

『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげる先生は、その気もないのに勝手にペンネームがついてしまったトホホなケースです。本名を武良茂(むら・しげる)という水木先生は、漫画家になる前は紙芝居作家をしながら「水木荘」(地名に由来)というアパートを経営していたのですが、紙芝居業の社長が一向に名前を覚えてくれず、「水木さん、水木さん」と呼ぶので、いつしか「水木しげる」になってしまったのだそうです

●配慮が生んだペンネーム

『モテキ』の久保ミツロウ先生は女性作家で、もともとは「久保美津子」という本名で描いていましたが、ホストクラブを題材にした作品『3.3.7ビョーシ』の連載を機に男性のようなペンネームに変えました。久保先生によると、「女の漫画家が取材でホストクラブに入りびたるなんていい気なもんだ」と思われるので、余計な詮索をされないよう配慮したのだとか。また、「将来、大人のマンガを描くことも視野に入れて(男性のような名前にした)」と語ったこともありました。今よりもさらに厚かったジェンダーの壁によってできたペンネーム、ということでしょうか。

 暑苦しいほどの熱血マンガで知られる島本和彦先生は、本名を「手塚秀彦」といいますが、マンガの神様・手塚治虫先生をリスペクトするあまり、手塚姓を名乗るのは恐れ多いとペンネームを使っているのだそうです。本名なのに……とは思いますが、島本先生ご自身がきっと島本作品の主人公たちのように「度が過ぎるほど思い込んで実行する」性格なのでは、と思わされ、ニヤリとしてしまうエピソードです。

 ペンネームの付け方には、それぞれの事情あり。ちなみに『鬼滅の刃』の吾峠呼世晴先生は本名のアナグラムという説があるもののハッキリしていません。いつか機会があったら教えていただきたいものです。

(古屋啓子)

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