声優・銀河万丈、1982年の誕生日に改名 ギレンの演説が心に刺さる
マグミクス / 2021年11月12日 6時10分
■2021年でデビュー45周年
11月12日は声優・銀河万丈(ぎんが・ばんじょう)さんの73回目の誕生日です。おめでとうございます! 2021年でデビュー45周年を迎える万丈さんは威厳あるバリトンボイスで主に悪役を担当することが多く、『機動戦士ガンダム』のギレン・ザビや『装甲騎兵ボトムズ』のジャン・ポール・ロッチナなど印象的な役を数多く演じています。また吹き替えやTV番組『開運!なんでも鑑定団』などナレーションでも活躍を続け、多くの声優の模範となっています。
さて、銀河万丈さんは声優になる前の大学時代、放送研究会に所属しラジオドラマの制作を行っていたそうです。その後テアトル・エコーの養成所で俳優としての基礎を学び、演じる面白さに目覚めました。しばらくの間は友人と劇団を作っては潰し、作っては潰し……
ということを繰り返していたそうですが一念発起し、青二プロダクションへテープを持ち込んで売りこみ、声の仕事をするきっかけをつかみました。
1976年のTVアニメ『UFOロボ グレンダイザー』の科学長官ズリル役で声優デビューを果たした万丈さん(当時は「田中崇」名義)ですが、このときすでに28歳。声優としてはかなり遅めのデビューとなりました。新人の頃は演技や収録に苦労し、先輩から台本を投げつけられたり厳しいことを言われたりしたこともあったそうです。特に故・富田耕生氏(2020年に死去)からは色々なことを教わったと後に語っています。
デビュー直後は苦労したものの、順調に仕事を増やして行った万丈さんは、1979年に『機動戦士ガンダム』のギレン・ザビ役に出会います。知性は高くとも自らの目的のためなら父親を殺め、愛する弟の死すら政治に利用する冷血漢を見事に演じました。特にガルマ・ザビの葬儀での演説は極めて印象的で、その後もゲームや朗読などで新たに収録されるほどの人気を得ています。
■1982年の誕生日「銀河万丈」に改名
主人公キリコ・キュービィの宿敵ジャン・ポール・ロッチナ役 TVアニメ『装甲騎兵ボトムズ』キービジュアル (C)サンライズ
現在、私たちになじみのある名前である「銀河万丈」に改名されたのは、1982年の誕生日となります。名付け親は当時占い師として活躍され、現在でも霊能者として活動を続けている王麗華さん。「銀河という大宇宙を大いに泳いでください。宇宙より愛を込めて」と共にプレゼントされ、当時の仲間たちからは驚かれたそうですが、今では完全に浸透した名前となっています。
そして1983年『装甲騎兵ボトムズ』で万丈さんはナレーターと、主人公キリコ・キュービィの宿敵ジャン・ポール・ロッチナ役を務めあげます。特に高橋良輔監督が書き上げた原稿の文学性と情感のニュアンスを丹念に読み取りながら語り上げたナレーションは、今なお語り継がれる傑作として知られています。
また、2018年に放送されたTVアニメ『ポプテピピック』11話後半パートでは、キリコ役の郷田ほづみさんと共演。ピピ美役を担当しましたが、DJ役を務めた際に繰り出したアドリブと思われる「アゲアゲアゲアゲ アゲアゲアゲアゲ」のインパクトは強烈で、あ然茫然とした方や、腹筋崩壊させられた方も多いのではないでしょうか。
幅広い活躍を長年続けておられる銀河万丈さんですが、なかでも代表的な仕事と言えば、『開運!なんでも探偵団』のナレーションでしょう。「驚きの鑑定結果はCMの後!」の方と言えば、声優に興味のない方でも「ああ、あの人!」と理解してもらえる、銀河万丈を代表する仕事と言えるでしょう。
ゲームの世界でもさまざまな役を演じている万丈さんですが、特に印象深いのは1989年に「PCエンジンCD-ROM2」で発売された『イースI・II』でナレーションと魔王ダームを演じていたことです。まだゲームに人の声が入ることは珍しかった時代、なじみある万丈さんの声がゲーム内で流れた時のインパクトは、今も忘れることはできません。
アニメ・ゲーム・特撮・吹き替え・ナレーションと声優が必要とされる世界のすべてで活躍を続けておられる万丈さん。これからも末長く重厚なバリトンボイスを聞かせていたただければ幸いです。
(早川清一朗)
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