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『ポケモン不思議のダンジョン』目が覚めたらポケモンに…ハードなストーリー展開はシリーズ唯一無二

マグミクス / 2021年11月17日 7時10分

『ポケモン不思議のダンジョン』目が覚めたらポケモンに…ハードなストーリー展開はシリーズ唯一無二

■新路線を打ち出した「ポケモン不思議のダンジョン」シリーズ一作目

 ついさっきまでごく普通の日常を送っていたはずなのに、何かしらのきっかけで別次元の世界に飛ばされてしまい、今までとは違う人生を送る羽目になる……。こうした「異世界転生」と呼ばれるジャンルは2010年代後半を境目に浸透し始めました。特にライトノベルやアニメ作品(ラノベの映像化がメイン)はその傾向が顕著です。2021年時点ではもはや定番を通り越し、アニメ&ラノベ市場における異世界モノは飽和状態を迎えていると言っても過言ではありません。

 この記事でご紹介する『ポケモン不思議のダンジョン 赤の救助隊・青の救助隊』(以下、ポケモン不思議のダンジョン)もまた、「ポケットモンスター」(以下、ポケモン)シリーズにおける異世界転生……もとい「ポケモン転生」モノの名作。本作には通常の「ポケモン」と一線を画するユニークな世界が広がっていました。

 本作は2005年11月17日に任天堂より発売されたダンジョンRPGで、「トルネコの大冒険」シリーズに端を発するローグライク要素(ダンジョンのランダム生成など)を継承しているのが特徴です。基本的な流れは「ポケモンの依頼を受ける→パートナーポケモンと一緒にダンジョン攻略→依頼達成→イベント進行」というもの。それまでの「ポケモン」シリーズと異なり、本作でしか見られないシステムが大々的に採用されています。

 なお、青の救助隊(ニンテンドーDS)・赤の救助隊(ゲームボーイアドバンス)とプラットフォーム別に2バージョン用意されていますが、出現ポケモンなどの違いは特になく、どちらを選んでもフルに本編を楽しむことができました。

 本作の物語は、名もなき主人公が3体のうち1体のポケモンを手にして旅立つ……のではなく、プレイヤー自身がポケモンとして目覚めた瞬間から幕を開けます。プレイヤーもとい主人公は「自分がもともと人間だった」という事実は覚えているものの、どうしてポケモンになったのか、ポケモンとして生きる目的といった大事なことは一切覚えていません。

 何もかもがあいまいなまま、見知らぬ森のなかで途方にくれていた主人公。そこへ一匹のポケモンが駆け寄り、「自分と一緒に困ったポケモンたちを助ける救助隊を結成しないか?」と持ちかけてきました。この誘いに乗った主人公はパートナーポケモンと共に救助隊を結成。助けを求めるポケモンに手を差し伸べるため、そして自分がポケモンに転生した原因を突き止めるため、駆け出し救助隊として第一歩を踏み出します。

 上述の通り、本作は「不思議のダンジョン」シリーズからシステムの大部分を踏襲しているものの、「ポケモン」シリーズのターゲット層やローグライクになじみのないライトユーザーを意識した結果か、難易度は比較的マイルドにまとまっている印象です。『風来のシレン』や『トルネコの大冒険』ではダンジョンに挑むたびにレベルがリセットされていましたが、『ポケモン不思議のダンジョン』はプレイ経過に関わらず、パーティーのレベルを維持したままダンジョン攻略にチャレンジできます。また、ゲームオーバー時の全ロスト(お金・アイテム類・レベルリセット)も緩和されており、ダンジョン内で倒れてしまった場合でも、アイテムの一部を持ったまま帰還することができました。

■ポケモン視点で描かれる味わい深いストーリー

ニンテンドーDS用ソフト『ポケモン不思議のダンジョン 青の救助隊』(任天堂)

 バランス調整を施した上でローグライク要素を移植し、なおかつ「ポケモン」シリーズ固有のシステム(わざ・とくせい・もちものなど)を丁寧に取り入れた本作。ほかにも登場ポケモンが実に386体という多さや、本作のために描き下ろされたアニメーションパターンなど注目ポイントが目白押しですが、”ポケモン視点で描かれた味わい深いストーリー”も本作を語る上で欠かせないファクターです。

 従来のシリーズタイトルで言葉を発していたのは人間(ポケモントレーナー)で、使役される側のポケモンたちは鳴き声や行動によって意思を伝えることはできても、はっきりとポケモンの口から言葉を喋るシーンは描かれていませんでした(一部の人語を喋るポケモンを除く)。しかし、『ポケモン不思議のダンジョン』の主役は人間ではなくポケモン。それゆえに、作中ではただ鳴き声が擬音として会話ウインドウに表示されるのではなく、言葉を通してポケモンたちが感情豊かに語りかけてくるのです。

 小さくか弱いながらも、救助隊の勇姿に理想像を重ねる「キャタピー」。仲間になった途端に関西弁で話し出す「カクレオン」。ポケモンたちに知恵を授ける長老的な立場の「ナマズン」……などなど、ここでは語りきれないほどキャラクターの立ったポケモンたちが登場し、”新米ポケモン”である主人公の活躍ぶりに信頼を寄せ始めます。

 ところが物語が進むにつれて、主人公は周囲のポケモンたちから言われもない濡れ衣を着せられてしまうのです。救助活動を応援してくれていたポケモンたちでさえ、「主人公が世界に災いをもたらす元凶」というウワサに流されてしまう始末。活動拠点を追われた主人公は苦しい環境に耐えながらも、自分の手で世界を脅かす災害を食い止めようと奔走します。

 記憶喪失+人間の肉体消失というハードな展開にはじまり、やっと周囲に認めらたかと思いきや、打って変わって非難にさらされる厳しい現実に。それでも諦めずに濡れ衣をはらいのけ、世界を滅ぼそうとする大災害に立ち向かう……。本作は「ポケモン」シリーズの外伝という立ち位置ながらも、重厚なストーリーが秘める唯一無二の魅力は頭ひとつ抜けていると言って過言ではないでしょう。

(龍田優貴)

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