1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

角川映画祭で上映の傑作SF『ファイブスター物語』と『戦国自衛隊』が残した逸話

マグミクス / 2021年11月19日 7時10分

角川映画祭で上映の傑作SF『ファイブスター物語』と『戦国自衛隊』が残した逸話

■5つの星を巡る壮大な物語

 2021年11月19日(金)から、角川映画31作品を一挙上映する「角川映画祭」が東京、埼玉で、12月からは大阪でも開催されます。『時をかける少女』『W の悲劇』など80年代の話題をさらった作品や、角川映画第1作となる『犬神家の一族』のデジタル修復4K版、そして『幻魔大戦』などをはじめとするアニメ映画も上映されます。

 今回は、映画祭で上映される作品のなかから、当時多くの観客を魅了し、現在も記憶に残り続けるSF作品を2本紹介します。

●『ファイブスター物語(ストーリーズ)』

 永野護先生のSF大河マンガ『ファイブスター物語』第1話にあたる部分を1989年に劇場アニメ化した作品で、監督は『機動戦士ガンダム』や『うる星やつら』の作画監督も務めたやまざきかずお氏です。

 主人公のレディオス・ソープは運命の女神の名を付けられたファティマ・ラキシスのマスターを決めるお披露目会に参加するため、惑星アドラーに降り立ちます。しかしお披露目会を仕切るユーバー大公はラキシスをわが物としようと画策しており、ソープはラキシスを救出すべく乱入します。岩だらけの砂漠めがけて逃げ出したソープとラキシスでしたが、ユーバー大公の軍勢に追い詰められ、抱き合いながら立ちすくみます。

 絶体絶命の窮地に陥ったかに思えたふたりでしたが、これはソープにとって計算ずくの状況でした。ソープの呼びかけに応じ、大地を割って現れた黄金色の巨大な騎士「ナイト・オブ・ゴールド」に乗り込んだふたりは騎士とファティマとしての姿を示し、ユーバー大公旗下の軍勢をせん滅するのです。

 本作のキャラクターデザインと作画監督を担当したのは、後に『天空のエスカフローネ』や『宇宙戦艦ヤマト2199』など多くの作品で辣腕を振るった結城信輝氏。力強さと繊細さを併せ持つ結城氏の作画は当時のアニメの水準をはるかに上回っており、1980年代の最後を飾る傑作アニメとして強い存在感を放ちました。

 また、主題歌「瞳の中のファーラウェイ」を歌唱したのは、当時アイドル歌手として活動し、後に演歌歌手として不動の地位を築いた長山洋子さん。さらに、ヒロイン・ラキシスの声を担当したのは、後に永野氏の妻となる声優の川村万梨阿さんであることも、本作を語る際には忘れてはなりません。

 余談ではありますが上映前は併映の『宇宙皇子(うつのみこ)』がクローズアップされており、『ファイブスター物語』の注目度は低い状態でした。しかし、『宇宙皇子』目当てで劇場を訪れたところ、『ファイブスター物語』の素晴らしさに触れて絶賛し、そのままファンになる方が多かったと言われています。

■自衛隊が戦国時代で発砲、「逸話」を残した戦車も

●戦国自衛隊

映画『戦国自衛隊』で、千葉真一演じる伊庭陸尉の場面 (C)KADOKAWA 1979

 作家・半村良氏が1971年に発表した原作をもとに製作され、1979年の年末に公開されたのが千葉真一氏主演の『戦国自衛隊』です。千葉氏演じる伊庭義明三等陸尉以下、21名の陸上自衛官及び海上自衛官は、突然発生した超常現象に巻き込まれ、補給地ごと戦国時代へとタイムスリップしてしまいます。

 長尾平三景虎(史実では後の上杉謙信)と遭遇した伊庭たちでしたが、自分たちがタイムスリップした事実を受け入れ切れずにいた状態で景虎と敵対する軍勢の襲撃を受け、死者を出してしまいます。否応なしに戦国時代にいることを受け入れざるを得なかった伊庭でしたが、動揺した部下たちは次々に落伍してしまうのです。

 錯乱して仲間に殺されるもの、無断で隊を離れ殺されてしまうもの、戦国時代で生きる覚悟を決めたもの、クーデターを起こそうとして村々を荒し、射殺されるもの。

 それぞれがそれぞれの決着を迎えるなか、伊庭は近代兵器を使って戦国の世で天下を取り、現代に戻ろうと画策します。川中島で武田信玄の軍を打ち破り、京都へ向かおうとした伊庭でしたが、頼みの近代兵器は武田軍の肉弾戦法により次々と失われてしまいます。

 ヘリコプターは乗り込んできた武田勝頼により搭乗員を殺害され墜落。戦車も装甲車も動きを封じられた伊庭は、馬を奪い本陣に切り込み、信玄と勝頼を討ちとります。しかし銃以外の近代兵器を失い、多くの隊員も戦死。わずか6人にまで減らされた自衛官たちは、もう使えなくなった戦車を湖底に沈めて荒れ寺へと身を寄せ、最期の時を迎えるのでした。

 本作を語る際にしばしば語られるのが、作中に登場する「61式戦車」です。実に見事な車両ですが、自衛官が日本人に武器を向けるという作品の性質上、自衛隊の協力を得ることはできず、レプリカが製作されました。

 この61式戦車は本作の撮影終了後にも映画『僕らの7日間戦争』やドラマ『さとうきび畑の唄』(米軍戦車役)などでも登場しており、テレビ特番の『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』などにも姿を見せています。2019年の時点では国内某社で保管されており、イベントでの貸し出しも行われているそうです。

※「角川映画祭」は、2021年11月19日(金)より、EJアニメシアター新宿、テアトル新宿、ところざわサクラタウン・ジャパンパビリオンホールBで上映予定。12月17日(金)より、シネ・リーブル梅田でも上映予定です。上映スケジュールなど詳細は各劇場の公式サイトなどをご確認下さい。

(早川清一朗)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください