ファミコン・衝撃的すぎなゲームオーバー3選「死にざまが豊富」「ツッコミどころだらけ」
マグミクス / 2021年11月22日 17時10分
■ゲームプレイをある意味で彩ったゲームオーバー画面
時代やタイトルを問わず、コントローラーを握りしめるプレイヤーの感情を大きく揺さぶる「ゲームオーバー画面」。「もうここからゲームは進みません」という意味をシンプルにテキストで知らせるものや、タイトルによって特定の演出を踏まえてゲームプレイに失敗した旨を伝えてくるなど、その種類は実にさまざまです。
この記事ではファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)向けソフトのなかから、思わず二度見してしまうレベルの奇妙なゲームオーバーシーンを独断で3つピックアップ。具体的なシチュエーション(ゲームオーバーにいたる経緯)などを交えながらご紹介します。
●『シャドウゲイト』(1989年)
最初にご紹介するのは、1989年3月に発売された『シャドウゲイト』です。もともとはMacintosh用のポイントクリック型アドベンチャーゲームでしたが、発売元のケムコが国内向けに手直しを加え、ファミコン用に移植しました。
本作における主人公(プレイヤー)は由緒正しき血統を受け継ぐ勇者として、世界を危機に陥れる魔王「ワーロック」を打倒すべく、諸悪の根源が潜む魔城「シャドウゲイト」へと足を踏み入れることになります。
ここまでは「王道を往く中世ファンタジーアドベンチャー」と受け取ることもできる本作。ところが、本編の内容はシリアスさが目立つと言うより、”主人公の豊富すぎる死にざま”がかえってユニークさをかもし出していました。
その最たるものが、所持している道具を主人公自らへ使う「セルフ」コマンドの仕様です。例えば鋭利な剣を手に入れた際、セルフを選んでしまうと、なぜか自身の左胸に刃を突き立てて失血死。「刃物をセルフ(自身)に突き刺すわけがない。きっと使用不可のテキストが表示されるはずでは?」というプレイヤーの思惑をあっさりと突き放し、あっけなくゲームオーバー画面へと直行してしまうのです。
ほかにも「松明を体に当てて大やけど」・「窓から脱出するつもりが勢いあまって転落死」などなど、死にざまのバリエーションに事欠かない『シャドウゲイト』。ゲームオーバー時の珍妙なテキスト文「ざんねん?わたしのぼうけんはこれでおわってしまった?」に加え、メインウィンドウに映るリアルな死神のドット絵がいまだに脳裏から離れません。
●『美味しんぼ 究極のメニュー三本勝負』(1989年)
続いてピックアップしたいのが『美味しんぼ 究極のメニュー三本勝負』。こちらは累計発行部数が1億3500万部を超えるグルメマンガ『美味しんぼ』をモチーフとしたアドベンチャーゲームです。いわゆる「キャラゲー」に属する作品であり、本編は「原作の人気エピソード+本作オリジナルエピソード」の計3章で構成されています。プレイヤーは原作でもおなじみの「山岡士郎」を操作し、実の父親である「海原雄山」との料理対決に挑みます。
基本的なゲームの進め方は「NPCと会話して手がかりを入手」や「画面内の気になる箇所を調べる」といった具合で、システム自体はオーソドックスなアドベンチャーゲームという印象。しかし、原作ではお目にかかることのない、と言うより描かれていない”すっとんきょうなゲームオーバー”が本作を「バカゲー」として昇華させています。
警官に向かってひたすら「アンキモ!」と叫び続け、あげくの果てに逮捕される。究極のメニュー作りに必要なアンキモを手に入れたものの、素手で解体しようとしてなぜか腕を折る。極めつけは「とつぜん、よのなかがイヤになってしまったようです」(原文ママ)と言い放ち、食材のアンキモを放流して勝負を投げ出してしまう……など、最序盤の第1章だけでもツッコミ必至のゲームオーバーシーンが盛りだくさんです。
そしてゲームオーバー時の画面には、原作でもなかなか見ることのできない”頭を抱えて地面にしゃがみ込む山岡”の姿がシュールに描かれています。ゲーム本編のBGMに用いられているクラシック楽曲(『美味しんぼ』とは特に関係なし)も、本作の奇妙さを加速させる一因と言ってよいでしょう。
●『鉄腕アトム』(1988年)
最後に取り上げるのは『鉄腕アトム』。1988年2月に発売された横スクロールアクションゲームで、プレイヤーは主人公の「アトム」と一緒にマップ内のギミックを解き明かしつつ、各ステージのゴールを目指していきます。パンチとジャンプを駆使するだけでなく、アトムの原動力である「ウラン」(核燃料)を主体とした体力システムが特徴的。また上記の『美味しんぼ』と同じく原作ありきのキャラゲーゆえ、本編にはアトムを開発した「お茶の水博士」もサポートキャラクターとして出演しています。
そんな『鉄腕アトム』のゲームオーバー画面はとにかく悲哀。気になる内訳は「アトムと書かれた墓石の前に佇むお茶の水博士」と「夜空に浮かぶGAME OVERの文字」。トドメと言わんばかりにバックでかかる物憂げなBGMもプレイヤーの喪失感をさらに後押します。
ちなみにステージによっては”GAME OVERの代わりに特殊メッセージが差し込まれる”という芸の細かい仕様も。普通に遊んでいる際のコミカルなテイストとゲームオーバー時のギャップが際立っているため、「鉄腕アトム」由来のキャラゲーにおいても異色なタイトルと言えるではないでしょうか。
(龍田優貴)
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