『遊郭編』神崎アオイが戦わない理由 蝶屋敷のアニメオリジナル描写に注目

■原作よりも優しい？　縁の下の力持ち・神崎アオイ

　2021年12月5日に放送されたTVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』第1話で、遊郭への任務と称して、音柱・宇髄天元に誘拐（？）されそうになる、蝶屋敷の神崎アオイ。鬼殺隊士のひとりでありながら、彼女は鬼の討伐には出ていません。意外と忘れられがちなその理由や、アニメで細かく描写された彼女の魅力を紹介します。

　神崎アオイは、蟲柱・胡蝶しのぶの住む蝶屋敷にて、きよ・すみ・なほという3人の少女とともに鬼殺隊のサポートをしています。自分の考えを表に出せないカナヲとは対照的に、ハキハキとした性格でテキパキ仕事をこなす彼女ですが、鬼の討伐をしないのには、ある理由がありました。

●彼女が鬼の討伐へと行かない理由

　鬼殺隊の隊士となるには、最終選別を受け生き残る必要があります。彼女は水の呼吸の使い手で、霞柱・時透無一郎と同じ時に選別を受け生き残ったことが『鬼滅の刃 公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』で明かされています。しかし、彼女自身は「運よく生き残っただけ」と語り、以来鬼と戦うことの恐怖から、討伐には参加しませんでした。

　その後、彼女は隊士のケガの治療や機能回復訓練などのサポート役へと回ります。単行本第6巻、第48話「蝶屋敷」の最後で記載されている「大正コソコソ噂話」では、柱合会議で壊された禰豆子の入る木箱をアオイが修理した様子が描かれています。

　カナヲが自分の名前を決めるとき、変な名前候補を選びそうになったところを必死に止めたのもアオイです。自分の意思をハッキリ主張できなかったカナヲが、こともあろうか柱の行動を制止してアオイを守ろうとしたのも、彼女を慕う気持ちがそれだけ大きかった表れと言えます。

　このように、アオイは物語のさまざまなシーンで、縁の下の力持ちとして活躍しているのがうかがえます。それでも彼女は、戦いに参加できない自分のことを「腰抜け」と卑下します。宇髄天元にムリヤリ任務へ連れて行かれそうになったときも、怯えた表情をしていたことから、かなりの恐怖を覚えていることが伺えます。

　単行本やアニメ1期「竈門炭治郎 立志編」では、炭治郎からの言葉もあり、そんな自分への劣等感がだいぶ薄れていくような描写が見られました。

●神崎アオイの優しさが見えるアニメオリジナルのシーン

　原作マンガやTVアニメ1期でのアオイは、そのハッキリとした性格からくる気の強さが目立ちます。アニメの「遊郭編」では、そんな彼女の優しさをより補完するシーンが追加されていました。

　炭治郎が刀を失くしたことで、激昂する刀鍛冶の鋼鐵塚。きよ・すみ・なほとアオイは、彼が大好きなみたらし団子を与えその怒りを抑えます（このシーンの鋼鐵塚もかわいらしいので必見です）。

　その話を聞いた伊之助は、「俺も食いてえ！」と叫びます。それを聞いたアオイが、あきれた表情をしながらも笑顔で「後で買っておきますから」と、快くその求めに応じました。原作では描かれていなかったけれど、「ああ、こういう会話もあったのかな」と思わせてくれる日常シーンに、心がほっこりします。

　戦闘シーンでは登場しないものの、アオイなど鬼殺隊を支える重要人物は意外と多いです。今回のアオイのように、キャラクターの魅力を感じられるワンシーンが追加されるのも楽しみですね。

（サトートモロー）