『ポワトリン』と『トトメス』どっち派だった？ 美少女アイドルが怪人や悪魔と戦う！

■ポワトリンかトトメスか？花島優子か堀川早苗か？

　1981年から93年まで、フジテレビ日曜朝9時枠では「東映不思議コメディシリーズ」という特撮番組が放送されていました。1988年から女性アイドルをヒーローに起用する作品へ方針転換し、大ヒットしたのが、1990年1月スタートの『美少女仮面ポワトリン』でした。

●愛ある限り戦いましょう！　命、燃え尽きるまで！……『美少女仮面ポワトリン』

　東京の下町に住む高校生の村上ユウコは近所の神社で神様と遭遇して美少女戦士ポワトリンとなり、町内と、ついでに宇宙の平和を守るよう命じられます。ユウコはポワトリンに変身し、町の厄介者や変人、妙な怪人に立ち向かうのです。

　ポワトリンの基本任務は町内の平和を守ることです。敵は派手な身なりの若者の髪をバリカンで丸刈りにする「怪人バリカン婆々」、お墓参りをしない人を懲らしめるために住職が娘を変身させた「お彼岸ライダー」など、近所の奇人変人や突発的に誕生した怪人です。時事的な話題をテーマに悪役を作る話が多く、コメディタッチで愉快に見せつつ視聴者に問題提起するような内容でした。

　ポワトリンはコスチュームも男子ウケを意識してミニスカートで、さらに目元を覆う仮面を着けたことで魅惑的に映りました。勇ましい剣士のごとく悪と戦う反面、敵にいたぶられピンチに陥ったり、ときには負ける弱さも見せたりと、応援したくなる要素がちりばめられていました。男子はもちろん、強い少女ヒロインに憧れる女の子ファンも増え、グッズもヒットしたそうです。視聴率は平均15％を超える人気でした。

　ポワトリン役は花島優子さん。このころフジテレビが開設していた「乙女塾」というタレント育成講座の3期生で、歌手デビューと同時に主演に抜擢されブレイクしました。ポワトリンの衣装でバラエティ番組にゲスト出演することも増え、ポワトリンの決めゼリフである「愛ある限り戦いましょう！　命、燃え尽きるまで！」や「たとえ○○が許しても、この美少女仮面ポワトリンが許しません！」を使いこなしてスタジオを沸かせていました。

●美しく戦いたい、空に太陽がある限り……『不思議少女ナイルなトトメス』

　シリーズは1年で変わり、 1991年1月には『不思議少女ナイルなトトメス』がスタートしました。あるとき、高校生の中島サナエが墓参りで誤って壊してしまった墓石から、51のナイルの悪魔が逃げ出します。いにしえの時代に悪魔を封印させたのはサナエの祖先である初代トトメス。サナエは2代目トトメスとして命を受け、散らばった悪魔たちを捕獲することになります……。

　中島家はエジプト人が祖先なので、さまざまな設定がエジプト絡みです。壊した墓もスフィンクスとピラミッドの形をしているなど、いろいろとムチャな世界観でしたが、コメディなので面白い要素として見られました。戦う相手はナイルの悪魔ですがそこはあまり重要視されておらず、4月には「桜の木とダンゴにのりうつり、浮かれる人びとの心を奪う悪魔」、12月には「サンタクロースを信じない子どもに、誰も信じられなくするプレゼントを配る悪魔」などが出てきて悪さをします。悪魔はみんなドジでマヌケでどこか憎めないキャラですが、トトメスは問答無用に技を使って悪魔を封印するのでした。

　トトメス役は「乙女塾」5期生の堀川早苗さん。『トトメス』が始まる前からファンは多く、同作でさらに増加しました。『ポワトリン』の花島さんは明朗快活な印象でしたが、堀川さんは優等生美人タイプで、ちょっと大人びた妖艶な雰囲気に惹かれた男子は多かったと思います。変身したトトメスの顔の下半分を隠すフェイスベールは「美人度3割増しになる」とされるアイテムなので、これも効果的だったのでしょう。最高視聴率は17．3％、すばらしい数字です。

　同じ「乙女塾」から起用されたふたりのアイドル、花島優子さんと堀川早苗さん。ファンの間では、どっちの作品が良かったか？　どっちが可愛いか？　といった激論が交わされることもありましたが、当のふたりはけっこう仲が良かったらしいです。少女ヒーロー『美少女仮面ポワトリン』と『不思議少女ナイルなトトメス』、あなたはどっちが好きでしたか？

（石原久稔）